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平成24年1月6日
新年のご挨拶
学長 伊賀 健一

2012年(平成24年)辰年を迎えました。新しい年が世界に、日本に、東工大にとって素晴らしい一年であることを願って、ご挨拶申し上げます。
まず、日本が大きな困難に直面した2011年を振り返ってみることにします。
3月11日、東日本大震災による津波が多くの人命を奪い、原子力発電所をも襲いました。本学は学部後期入試の前日であり、試験実施か否かの検討を含め、困難な判断を迫られました。繰り返される余震や電力供給の問題で、春の学位記授与式と入学式は中止としました。そのような中、当時の卒業生の有志諸君が「さくらプロジェクト」を立ち上げ、支援活動をいち早く開始しました。以後もさまざまな形で学生諸君のみならず、教職員のみなさんによる被災地支援の輪が広がりました。大学も同窓会の蔵前工業会と協力して募金活動、支援活動に乗り出しました。
震災後、電力供給不足問題が深刻な状況の下、全学で節電に取り組みました。震災直後は大幅な節電を実施し、その後、教育・研究活動への影響を最小限に留めながらも節電に努めてきました。現在は、大学HPのトップページにキャンパス別の電力使用量をリアルタイムで表示する消費電力の「見える化」を実施し、さらに「2つ電力のカット(ピークのシフトと総量低減)」を推進しております。構成員のみなさんの全面的な協力により、本学の節電目標値をクリアしてきております。
創立130周年を迎えた本学の2011年を振り返ってみたいと思います。
| 2月 | 「東工大英単」を発刊いたしました。これは、本学オリジナルの科学技術専門の英語単語集で、豊富な用例が魅力です。夏には被災地の高等学校353校へ進呈いたしました。 |
| 4月 | 百年記念館の展示部門を中心として「東工大博物館」が発足しました。 |
| 5月 | NHK放送Eテレ「テストの花道BENBUキャンパスツアー」で本学が取り上げられました。 |
| 6月 | 国際会議にて、東工大TSUBAME2.0がTOP500(スパコン性能ランキング)で世界5位に認定されました。その後「京」の登場で昨年から一つ順位を下げたものの、依然世界の五指を誇ります。省エネ・スパコンやアプリケーションの部門でも受賞が続き、高い評価を得ています。 |
| 7月 | 新図書館がグランドオープンしました。 |
| 8月 | 真夏のピーク電力超過を抑えるため、大学院入試に合わせて8月16日、17日を全学臨時休業としました。マサチューセッツ工科大学を舞台に開催されたIDCロボットコンテスト大学国際交流大会」において、本学学生の所属するチームが優勝しています。琵琶湖で飛んだマイスター機は今年第2位でしたが、機体はとても素晴らしい仕上がりで、パイロットの交代など幾多の困難を経て健闘しました。 |
| 10月 | 130周年記念式典を10月8日(土)に開催しました。800人を超える方々にご出席いただきました。式典では本学出身の作曲家である河野土洋特任教授作曲の「東工大ファンファーレ」が、東工大管弦楽団と混声合唱団コールクライネスによって初演されました。 |
| 11月 | 学生チームがiGEM世界大会で総合TOP10%入りし、iGEMer賞を獲得しました。国際生体分子ロボコン(BIOMOD)でも準優勝ほか、「総合準優勝」、「優秀ビデオプレゼン部門賞2位」、「プロジェクトアワード金賞」のトリプル受賞を達成しました。コールクライネスが全日本合唱コンクールで14年連続金賞、今年は最優秀賞も得ました。 |
| 12月 | 卒50年、卒20年同期会が開催され、卒業生が元気な姿をみせてくれました。第3回の「東工大・一橋大学合同移動講座」を福岡で開催し、500名もの参加があり大盛況でした。 |
現在、我々の前には多くの壁が立ちはだかっています。世界では総人口が70億人を超え、食料・水とエネルギーの不足、財政と政治の不安定、テロ、加えて気候変動による環境問題、各地で起こる大災害と飢饉などさまざまな難題に直面しています。また、日本はというと、東日本大震災、原発事故、度重なる豪雨、それに超円高による経済問題、TPP問題などがあります。長期的な課題としては、海外移転による国内産業の空洞化、超高齢化、国家財政赤字、国家安全保障、食糧自給率低下、年金・保険などにも問題は山積しています。
大学として国際化社会でリーダーシップをもつ人材養成へ全力で向かわねば、日本の国力が維持できません。
このようなグローバル社会において、東工大の教育体系改革を行う必要があると考えます。近年、喫緊課題を集中して研究・教育する全学横断的な組織を発足させました。「情報系教育研究機構」、「環境エネルギー機構」、「ライフ・エンジニアリング機構」の3つです。それら機構を基盤とし、博士課程教育の改革の取り組みを始めています。2011年12月に「環境エネルギー協創教育院」、「情報生命博士教育院」、「グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント養成」の3つのプログラムが「博士課程教育リーディングプログラム」として採択されました。2011年4月に発足した「グローバルリーダー教育院」では、少数精鋭の博士一貫教育がすでに始まっており、平成24 年度同プログラム採択を目指して、プログラム内容を研磨しております。
また、文部科学省世界展開力強化事業で日中韓交流事業「日中韓先端科学技術大学教育環(東工大、清華大、KAIST)」および米国大学との交流事業「グローバル理工系リーダー養成共同」の2件が採択されました。これよりバランスのよい世界的共同ネットワークが形成できます。これまで本学が提唱して進めてきた「東工大-清華大合同プログラム」および「アジア理工系大学トップリーグ(ASPIREリーグ)」、「AOTULE(Asia-Oceania Top University League on Engineering)」などにも弾みがつくと期待しています。
4年前小職が学長として着任したとき、「研究とともに教育が大学の使命であり重要視しなくてはならない」と述べました。今こそ、教育へ注力すべき時です。それには130周年事業で始まった「東工大基金」を充実させ、「教育、研究、貢献」の3本柱を大きく育てねばならないと考えます。すなわち、
今年から学部の入学試験の方式が少し変わります。募集人員のうち約9割を前期日程験で募集,残り1割については,後期日程(7類)及び新たに推薦入試(1類)・AO入試(2~6類)を行い,幅広く多様な人材を受け入れていきます。
5月には、初めての「ホームカミングデイ」を開催予定です。卒業生のみなさんに大学に帰ってきていただき、大学の近況をご紹介するとともに、交流を深めて世代を越えた東工大発人的ネットワークを作りたいと考えています。その頃には、現在建設中のいくつかの建物も完成していることでしょう。大岡山の環境エネルギーイノベーション棟(仮称)、すずかけ台の産学共同研究棟(仮称:通称J3棟)などです。大岡山の正門付近も旧図書館跡が整備されるに伴って装いを新たにします。
2012年、大学の陣容を整え、東工大が一体となって、さらなる発展を目指す所存です。改めてみなさまの強力なご支援、ご協力をお願いし、年頭の挨拶とさせていただきます。