東工大について

平成25年度学部入学式 式辞

平成25年度 学部入学式 式辞

本日、ご来賓ならびに本学役職員・部局長のご列席のもと、平成25年度学部入学式を挙行できますことは本学全構成員の大きな慶びであります。本日、学部1,108名の諸君が入学いたしました。まずは、学部に入学された皆さんに「入学おめでとう」と申し上げます。東工大は皆さんの入学を心から歓迎するとともに、これまで学業を支えてこられましたご家族の皆様に心から敬意を表したく存じます。

皆さんは入学試験の難関を突破し、東工大への入学を果たしました。しかし、これは新たな挑戦の始まりです。夢と希望を胸に東工大の生活を始めてほしいと思います。

本学には、理学、工学、生命理工学の3つの学部があり、それぞれの学部がさらに専門の学科に分かれています。7つの類によって入学した諸君は一般的な基礎課程を経て、専門の学科に進み徐々に専門の勉強を増やしていきます。さらに大学院として、実質的には7つの大学院研究科があります。現在、90パーセント以上の学部卒業者が大学院に進学しているのが本学の特徴です。

さて、大学における学びの姿勢はこれまで皆さんが高校で勉強してきた姿勢と大きく異なります。これまでは将来の進路について無限の可能性がある皆さんにとってこれからの人生で必要な基礎学力を身につけるために決められた時間割に従って授業や演習を学んできました。その意味では学びの姿勢は全体的に受身であり、大学進学に向けて皆さん自身が選択したことは、理系に進むか、文系に進むかであり、そして志望する大学に合格するためにはどの科目をどのレベルまで高めなくてはならないかを、模試や志望大学入試の過去問を解いて判断していくという、答え合わせを判断基準とする学びが多かったことと思います。

今、理系を選択し本学に入学した皆さんは、これから受験時に選択した類の中で2年次からさらなる専門性を選んで学科所属することになります。1年次の一般的な基礎課程においては講義・演習の形態は高校の時に比べてそれほど変わりませんが、学びの姿勢において重要なことは2年次以降に自分の専門を選択するため、そして希望の学科に所属して学ぶために必要な基礎力をつけることであって、2年次に進学するために必要な条件を満たすことが目的ではないことです。このような姿勢はより高い専門性を学ぶ3年次、4年次においてはさらに重要になります。すなわち、大学での学びの姿勢は自分がこれからどの分野を専門とし、将来社会に出てどのような役割を果たすのかを考えながら積極的に必要な能力を身につけるべく挑戦していくことにあります。何を教わるのかではなく、目標を立てて、そのために何を学ぶかを自分で考えて決めることが重要なのです。

一方、これからの理工系人材はそれぞれの分野で、世界を舞台に活躍することが要請されています。これは今や人間の営みが国境を越えて地球規模に広がっていること、すなわちグローバル社会においては世界中の異文化の人たちの共同作業が必要となり、特に人間社会が直面している環境・エネルギー問題、食糧問題、高齢化社会における医療や高齢者の生活の質確保などの解決は科学技術の進歩によるところが大きいためです。より具体的には我が国の企業がその国際競争力を維持するため、製造所、事業所を世界に展開していることも世界で活躍するグローバル人材が必要な理由です。この期待に応えるために皆さんに必要なことは確かな専門基礎力に加えて、人文学・社会科学の素養を含めた教養を持つことも重要です。これは自国の文化に対する誇りを持つために、また異文化を理解する上で重要なことです。本学はそのための人文社会系科目が充実しており、皆さんが興味を持ち、身につけたい教養を学ぶための環境は整っています。さらにこれからの皆さんには何より語学力が必要です。皆さんの将来の舞台は世界です。英語でコミュニケーションをするための必要条件としてはTOEICやTOEFLといった 国際的に通用する外部テストで良い点を取る必要があるでしょう。本学ではそのために必要な学習の仕組みが用意してありますから、是非とも本気で取り組んで卒業までにこれら外部テストのスコアを自慢できるようになって欲しいと思います。そして将来自分の専門を活かして国際舞台で活躍するためには外部テストのスコアが高いことは十分条件ではありません。英語による自己主張やディスカッションに慣れる必要があります。これに必要な訓練は何より海外を経験することです。本学には留学をはじめ様々な海外経験ができるメニューと経済支援が揃っています。1年程度の留学はその後の人生にとって非常に有益なものとなりますが、夏休みを利用して海外の大学のサマースクールに参加するといった短期間の経験もとても重要です。是非とも学部の早い時期で利用されることを勧めます。

さて、このようにお話しをしていくと、あれもやれ、これもやれと言われているように聞こえるでしょう。しかし、繰り返しますが大学での学びの姿勢は言われてやるのではなく、常に向上心を持ち、目標に向けた自分のための学習方針を考え、実行するところにあります。サークル等の課外活動も含めて、是非とも一人ひとりが専門基礎力と豊かな人間性、そして国際性を身につけてもらいたいと願っています。皆さんの一人一人が東工大生としての自覚と、自分の能力を高めようという熱意を持って、沢山のことに挑戦して有意義な学生生活を送ることを願っています。

最後に、改めて入学のお祝いを申し上げ、式辞といたします。

平成25年4月3日

東京工業大学長 三島良直