東工大について

平成25年度大学院入学式 式辞

平成25年度 大学院入学式 式辞

本日、ご来賓ならびに本学役職員・部局長のご列席のもと、平成25年度大学院入学式を挙行できますことは本学全構成員の大きな慶びであります。本日、大学院1,843名の諸君が入学いたしました。修士課程1,522名、専門職学位課程29名、博士課程292名です。まずは、入学された皆さんに「入学おめでとう」と申し上げます。東工大は諸君の入学を心から歓迎するとともに、これまで学業を支えてこられましたご家族の皆様に心から敬意を表したく存じます。

皆さんは東工大あるいは各大学の学部あるいは修士を終えられ、また社会人として、東工大の修士課程あるいは博士課程へ入学されました。本日は皆さんそれぞれにとって次なるステップへのスタートラインであり、新たな気持ちで東工大の生活を始めてほしいと思います。まずは、より高い目標を設定して日々自分を鍛え続けることが大事です。

さて、本学は大学院として、大岡山、すずかけ台、田町の三つのキャンパスに6つの研究科を擁します。ただし、理工学研究科では、理学系と工学系がそれぞれに運営されています。したがって皆さんはそれぞれ他の5つの研究科、生命理工学研究科、総合理工学研究科、情報理工学研究科、社会理工学研究科、イノベーションマネジメント研究科を加えて実効的には7つの研究科に所属して大学院生活を送ります。研究室での活動は所属する専攻・研究科が中心になりますが、研究科・キャンパスを越えた学生間の交流は皆さんの将来に大きなプラスになります。ぜひ行動範囲を広げてほしいと思います。

本学学部を卒業し修士課程へ進学する皆さんはすでに卒業論文レベルで築いた各自の専門性をさらに深めることが基本です。本学以外の学部を卒業して本学の修士課程に入学する皆さんの中にはこれまでの専門を離れて新たな科学技術分野に挑戦される方も多いと思います。いずれの場合でも修士課程は2年が標準ですから自分の目指すものに向かって積極的な姿勢で進まなくてはなりません。特に修士終了後に就職を目指す皆さんは就職活動期間をどのように過ごすかを含めて、この2年間でどのように自分を高めることが出来るかを真剣に考えながら進んで欲しいと思います。企業が期待する理工系人材は、しっかりとした専門基礎力を持っていること、修士論文研究の目的と意義について理解していること、国際社会で力を発揮するための素養と積極的な姿勢を持っていること、そして自らの将来をどのように描いているかについてしっかりと語ることが出来る人材を求めています。勿論就職試験の時期までの短時間でこれらを完璧に身につけることなど不可能ですが、その時企業が見るのはこれらの能力の取得や、自分の将来像について前向きに取り組んでいるかというところです。就職は皆さんの人生のゴールではありません。東工大の大学院生としての自覚と、自分の将来を見据えて積極的に様々な能力を身につける熱意を持って、より高い目標に挑戦し続けて欲しいと思います。

修士課程修了後に博士課程に進学を考えている皆さんは、本学が用意している4つの新しい学位プログラムへの所属を積極的に目指していただきたいと思います。明日以降早々にガイダンスがあると思いますが、それらは「グローバルリーダー教育院」、「環境エネルギー協創教育院」、「情報生命博士教育院」、そして「グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント教育院」です。これらの教育院は文部科学省の博士課程教育リーディングプログラムで採択されたもので、全国の24大学で44のプログラムが走っています。これらは我が国における博士課程教育がこれまで専門領域の深堀りに偏っていたため必ずしも社会が要請する人材を輩出できていないという問題意識に基づいて専門分野の枠を超えて産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを育成しようという事業です。産業界との連携を積極的に取り入れた修士から博士までの連続教育プログラムであり、経済的支援も充実しています。修士課程入学後半年間に募集と選抜がありますから注目していただきたいと思います。

博士課程に進学・入学する皆さんにはまず何より、従事する研究分野において世界をリードする研究を手掛けていただきたいと思います。その中で学位取得後の自分の活躍すべき場所をしっかりと考えていただきたいと思います。将来自分は国内外の大学、あるいは研究機関での世界最先端の科学技術研究に取り組む研究者を目指すのか、あるいは産業界に身を置いて今人間社会が直面する環境・エネルギー問題、食糧問題、大規模災害の予知と対策等々にグローバルな意識を持って取り組む科学技術者となるのか、会社を立ち上げる起業家になるのか等、その他にもいろいろな活躍場所があるはずです。自分の長所や短所を発見し、見つめて自分が将来どこにいるべきかを在学中に意識することは非常に大事なことです。博士とはそれができる人たちでなければなりません。

本学にこの4月からイノベーション人材養成機構を立ち上げます。本学が今までに取り組んできた多くの、そして様々なレベルでの人材育成プログラムで培ったキャリア教育のノウハウを活かして、博士課程の皆さんがどのようなキャリアパスを選択するか、そのために専門力以外にどんな能力が必要かのガイダンスを提供します。積極的に利用してほしいと思います。博士人材は本学が社会に向けて輩出する最高級の人材であるべきです。東工大で博士号を目指す皆さんはその自覚と熱意をもって、自らをどこまで鍛え上げられるかに挑戦してほしいと願っています。

最後に、自由な雰囲気の東工大でのびのびと、そして他の人のことを思いやる高潔なる人物として成長して欲しいと願って式辞といたします。

平成25年4月3日

東京工業大学長 三島良直