東工大について

平成24年度学位記授与式

自覚と熱意をもって挑戦を!

晴れて学士、修士および博士の学位を授与された諸君おめでとう。心からお祝いします。海外からの留学生の皆さん!日本での勉強と研究を無事終えられほっとなさっておられると思います。これまで学業を支えておいでになりました保護者の皆様に深く敬意を表したく存じます。

平成24年度 学位記授与式

本日、新しい学士が1,100名誕生し、1929年以来の学部卒業者の累積数は57,896名です。

また、修士の学位記を授与される修了者は1,494名であり、初めて大学院の修了者を輩出した1955年以来の累積数は46,084名になり、専門職学位記を授与される修了者は24名で、累積数242名となります。また、231名の博士課程修了者に博士の学位記を授与いたしました。これまでの博士の累積数は9,231名となり、論文博士を合わせると合計13,314名に達します。将来に大きな可能性を秘める諸君が、新たな学位取得者として本学の歴史に新しいページを開きました。

これから新しい人生をスタートする皆さんにとっては大きな環境の変化が待っています。

できるだけ早く新しい環境に溶け込み、皆さんがそれぞれの分野において身に付けた知識、手法、論理的な思考、そして新たな課題の発見とこれに取り組む柔軟な対応力等々を存分に生かして東工大出身者としての存在感を示してほしいと思います。特に企業においては自分自身の能力を遺憾なく発揮することに加えて、様々な部署で働く人たちとの協働作業の中で存在感を発揮しなくてはなりません。

そのためには自分の考えを専門性の異なる様々な人に理解してもらうための、いわゆるサイエンスコミュニケーション能力や担当する事業の進め方をグループ討議によってまとめていく協調性が必要です。さらに重要なことは、今や企業のほとんどがグローバル企業であり、世界を相手に世界の中で勝負し生き残っていかなくてはなりません。したがって、これから社会に出る皆さんは本学で身に付けた専門力と人間力をグローバルな環境で磨き、高める必要があります。

さて、21世紀に入ってから世界中で予測できないことが頻発しています。もちろん社会の変化には徐々に進行するものも多くありますが、突然生じる思いがけないことがあります。

特に21世紀に入ってインターネットに代表される急速に進む情報技術により、地球の隅々で突然生じる自然災害やテロなどについては生々しい映像とともに瞬時に伝えられるため、余計に緊迫感、恐怖感、絶望感が増幅される側面があります。それらの代表として2001年の世界貿易センターを標的にしたテロ、2年前の東日本大震災、そして多数の日本人エンジニアが巻き込まれた先日のアルジェリアでの化学プラントへのテロが挙げられます。

一方、人間社会の経済行動においてもいわゆる青天の霹靂と言えることが続けて起こっています。4年半前のリーマンショックは世界経済にとって青天の霹靂でした。2009年にはギリシャの政権交代をきっかけに始まる一連の経済危機による混乱は、スペインやイタリアのような大国に波及する気配であり、通貨ユーロは今後どうなってしまうのか不安を起こしています。そして昨年には世界をリードする家電大手の会社が続々と大きな赤字を出して経営危機に陥りました。誰もがあのシャープが、あのパナソニックがと信じられない思いをしました。このように今、人間社会全体がテロ行為、大規模災害、金融恐慌、経済危機等々の、まさに何が起こるか予測できない環境におかれていることを実感せざるを得ません。

このような状況で東工大出身の理工系人材としての皆さんが果たすべき役割は大変重要であり、社会が皆さんに期待するところ大であることを是非とも認識してください。これからの皆さんの人生設計、特に職業における選択と役割は、今のべたような世界中で起こりつつある変化への対応を念頭に置いて設計していくことが求められます。予測できない様々な事態、すなわち答えのない問題に対して果敢に取り組み、異文化の若者たちと協働して解決策を見出し続けていくことで持続可能な発展を遂げつつ、平和で、安全で安心な生活を営める人間社会を作っていくのが皆さんの役目です。

皆さんは日本一の理工系総合大学である本学の卒業生・修了生です。

そのことを胸に、社会に出る人、大学院に進学する人、それぞれに自覚と熱意をもって、世界を見ながら誇り高く、自分自身の新しい価値を育むための挑戦に取り組んでください。舞台は世界です。

私は、そして東工大はいつも皆さんを応援しています。

(学位記授与式は学部と大学院とに分けて行われました。本稿はそれらの式辞をまとめたものです。)