東工大について

平成27年度 学部 学位記授与式式辞

平成27年度 学部 学位記授与式式辞

本日、ご来賓ならびに本学役職員・部局長のご列席のもと、大岡山キャンパスにおいて、平成27年度学部学位記授与式を挙行できますことは、本学全構成員の大きな慶びでございます。晴れて学士の学位を授与される皆さん、おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。海外からの留学生の皆さんは日本での勉強と研究を無事終えられほっとなさっておられると思います。そして、本日ご列席のこれまで学業を支えておいでになり、この日を迎えられましたご家族の皆様には深く敬意を表したく存じます。

今日、2016年3月28日、新しい学士が1,060名誕生しました。将来に大きな可能性を秘める皆さんが、新たな学位取得者として今年創立135周年を迎える本学の歴史に新しいページを開くことは、大学にとりましても大きな慶びです。

学部を卒業し、就職して社会人となられる皆さん、大学院に進学する皆さんはそれぞれに夢と希望を持って将来をみつめていることと思います。学生生活を終え、社会人となる皆さんは日本一の理工系総合大学である東京工業大学の卒業生としての誇りを持ち、そして本学で培った専門基礎力をベースにして、与えられた業務に果敢に取り組むとともに柔軟な思考力を身に付けて様々な場面で社会貢献を果たすべく、気概を持って前進してください。そしてこれから大学院へ進学する皆さんは、これまでの学部での学びで培った基礎力をもとにそれぞれの分野での専門力を高め、2年後、あるいは5年後には社会人として我が国の、そして世界の人間社会の持続可能な発展に向けて、新しい社会を切り拓く役割を果たす気概を身につけた人材に育つことを期待しています。これまでの延長として学生生活を続けるのではなく、将来自分を最も活かせる活躍場所と役割に対する夢を意識しながら充実した大学院生活を送ってほしいと願っています。

さて、間もなくやって来る4月は我が国の科学技術政策にとっても大きな節目となります。20年前の1996年以降、我が国は5年ごとに「科学技術基本計画」を策定し、国として育てるべき科学技術分野や課題を設定するとともに、その実現を担う人材育成の方針を明確にしてきました。我が国の科学技術予算はこの計画に基づいて1期、5年ごとに当初計画で17~25兆円を計上し、この3月で第4期が終了したところです。4月に開始する第5期の科学技術基本計画は第4期後半の様々な関連委員会の検討をベースとして、内閣府の総合科学技術イノベーション会議が昨年1年以上をかけて設計し、今年1月末に閣議決定されました。その内容は多岐にわたりますが、大きく3つに分けるとすれば、1)現在我が国が抱えている経済・社会的課題への対応、2)未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組、そして3)その両方に必要な科学技術イノベーションを生み出す仕組みとこれを担う人材育成がその骨格です。これまでの第4期までの取り組みと比較して第5期基本計画の特徴といえるのが2番目の「未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出に向けた取り組み」です。近年ICTの進化等により、社会・経済の構造が日々大きく変化する「大変革時代」の到来といわれています。

このように将来に向けての見通しが立ちにくい中で、我が国が産業競争力を維持・強化して持続可能で安心・安全な社会を構築していくためには、未来の産業創造や社会変革に先見性を持って戦略的に取り組んでいかなければなりません。したがって第5期科学技術基本計画では自らが大きな変化を起こし、大変革時代を先導していくことを目指すため、非連続なイノベーションを生み出す取組を進めるとしているのです。このような考え方が国の政策として示される中で、科学技術をベースとして、これからの社会での貢献を果たそうとしている皆さんへの期待は大変に大きなものがあります。それぞれが社会や大学院で自らの専門性を磨きながら目指すべきものは新しい社会を切り拓くことにあるべきことはすでに述べました。大いに野心と挑戦する気概を育ててください。すべての挑戦の、成功以外の結果は失敗ではなく、すべて経験として生きるのが若者の特権です。

今日東京工業大学から羽ばたく皆さんはこのような社会からの期待に応え、信頼される人間となるために、自信を持って何事にも積極的に挑戦してください。教養を含めた幅広い知識と柔軟な考え方、グループで作業が出来る協調性等々、幅広い能力を付けるための努力を惜しまず、東工大の卒業生がグローバル社会において世界のトップレベルの若者たちと力を併せて持続可能な社会を作り、守り、そして人々が平和で幸福に暮らせる環境を作り出すことに貢献してくれることを信じています。

最後に、皆さんの明るい未来を心から祈って式辞といたします。

平成28年3月28日
東京工業大学長 三島良直