東工大について

平成26年度 学部卒業生インタビュー

平成26年度学位記授与式に先立ち、学部を卒業する3名の学生に、東工大での大学生活について話をききました。

山﨑 浩也さん

#01

数学科で培った、
思考力や自己学習力を
生かしたい。

理学部 数学科 4年

山﨑 浩也さん

HIROYA YAMAZAKI

東工大を目指し、入学を決めた動機を教えてください。

一足先に東工大に進学した兄から、東工大の高い専門性の話を聞いて魅力を感じ、高校1年生のときから常に東工大を第1志望校として目指してきました。高校3年間ずっと東工大に憧れていたので、合格したときの喜びはひとしおでした。また東工大では、1年で幅広い理工系科目を学んでから学科を選ぶことができるので、理系科目全般が好きだった私にはこの点がとても魅力的でした。

大学生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

数学科のセミナーにて
数学科のセミナーにて

学業という点では、大学3年後期の位相幾何学の授業で、多面体のオイラー数(頂点の数−辺の数+面の数)が常に2であるという有名な定理が、一般化された形で証明されたことが印象的でした。数学科の講義では、中高生でも知っているような定理が、大学レベルの数学で証明されることがしばしばあり、驚かされます。

学業以外では、長期休暇を生かし、念願のメジャーリーグ現地観戦をしたことや、東工大の同期と何度も旅行に行ったことが印象に残っています。特に初めてのメジャーリーグ観戦では、ヤンキースのジーター選手を生で目撃できたほか、応援しているアスレチックスの選手からサインをもらうことができ、一生の思い出となりました。

東工大の同期4人で伊豆に旅行した時に食べた絶品の海鮮料理
東工大の同期4人で伊豆に旅行した時に食べた
絶品の海鮮料理

ニューヨークのヤンキースタジアムで念願のメジャーリーグ観戦
ニューヨークのヤンキースタジアムで
念願のメジャーリーグ観戦

卒業研究の内容を教えてください。

卒業研究として位相幾何学のMorse理論について研究しています。研究の主要な内容は、「Morse理論の基本定理」の証明とその応用です。高校では、関数の微分が0になる点の様子がわかれば、関数のグラフの形が決定することを習いますが、Morse理論の基本定理は、ざっくり言うと、「一般の図形」(球面など)上の関数の微分が0になる点の様子がわかれば、その図形の形が決定することを保証します。このように幾何学は、数学の他の分野よりもイメージが湧きやすいという良い点があります。

卒業後は、どのような将来を展望していますか?

卒業後は電機メーカーのSEとして働きます。多くの同期は大学院へ進学しますが、私は大学院ではなく、企業で働きながら様々なことを学びたいと考え、就職を選択しました。数学を直接生かせるわけではないですが、数学科で培った思考力や自己学習力を生かしていきたいと考えています。また将来的には、高校の数学の教員になることも考えていますが、まずはSEとして、社会人としての自分を磨いていきたいと考えています。

後輩に向けてのメッセージをお願いします。

数学や理科が好きな人にとって、東工大は宝の山です。図書館には無尽蔵とも思えるたくさんの本があり、世界で活躍する先生方から講義を受けられ、さらに素晴らしい理系の同期、先輩、後輩を見つけることができます。この宝を活用して、自分の学業を実りあるものにするとよいと思います。また、人生一度きりの大学生活なので、卒業後に「大学生活は最高だったぜ!」と思えるよう、学業だけでなく、自由な時間をフル活用して、自分の趣味に没頭したり、友人と遊び尽くすとよいでしょう。

李 呉寧さん

#02

思い立ったら即行動。
行動した瞬間から
世界が広がって行く。

工学部 国際開発工学科 4年

李 呉寧さん

WUNING LI

東工大を目指し、入学を決めた動機を教えてください。

小学生の時、中国の若者達が日本で留学生活を送る「私たちの留学生活」というドキュメンタリー番組を見ました。それ以来、国際交流や留学生活に憧れを持つようになり、日本という国に興味が湧きました。そして、私はその思いを胸に抱えて来日し、多国籍の日本語学校に入学しました。そこで、私は様々な国の出身の人々と交流しているうちに、グローバル社会の重要性を理解しました。

大学を探している時に、理工系に進みたかった私はまず日本最高の理工系大学である東工大を考えました。そして、調べているうちに国際開発工学科という学科を知り、興味を持ちました。他の大学にはまだない、東工大にしかない「グローバル社会で活躍できる技術者・科学者を育成する」ことを目的として設置されたことに惹かれて、東工大を目指すことを決めました。

日本語学校の入学式にて友人とのツーショット
日本語学校の入学式にて友人とのツーショット

日本語学校の友達と初めての海
日本語学校の友達と初めての海

大学生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

1年生のときに弓道部に入部し、約3年の間、部活動をしたことです。そこで、私は沢山の日本人の友達ができました。一緒に合宿に参加したり、試合に出たり、遊びに出かけたり、楽しい時間を過ごすことができました。厳しい先輩、優しい同輩、そして可愛い後輩たちには凄く感謝しています。

また、日本社会特有な上下関係の厳しさ、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の重要性、そして何より日本の伝統的な弓道の美しさ、弓道部での生活のおかげで私は沢山のことを感じ、学びました。これが私にとって最も印象的なことでした。一生の宝物です。

初めての道着
初めての道着

弓道部の友達とスキー
弓道部の友達とスキー

卒業研究の内容を教えてください。

私の卒業論文の題目は「集合知に基づく高精度多言語半機械翻訳に関する研究」です。今では国籍を問わず不特定多数の人々がネット上に集まることが可能になり、そしてこれからも、それが今よりもっと簡単にいつでもどこでもできるようになると考えられます。しかし、テキストを媒体として議論している限り、そこに言語の壁があります。本研究では、機械翻訳の際に生じる誤認識という問題を解決するために、文法や意味などの情報を付加したXML文書の自動翻訳機を開発し、多言語情報提供システムの構築を目指しています。

卒業後は、どのような将来を展望していますか?

将来は大学院を卒業後、まずエンジニアとして日本で就職し、また大学で学んだ知識を活かし、本拠地を日本において、海外で働く機会を逃がさず、積極的に頑張りたいと思います。そのために、まず、東工大の修士課程に進学して、さらに専門知識を深め、専門能力を身につけたいと思います。

また、私は大学3年の時にフィリピンでのフィールドワークに参加し、理論と実践の両方ができたとき、初めてその知識を身につけたといえることを実感し、凄く良い刺激を受けました。修士では東工大の交換留学制度を利用し、今度は欧米の大学に留学してみたいと考えています。

後輩に向けてのメッセージをお願いします。

「思い立ったら即行動」しましょう。一見難しそう、面倒くさそうなことでも、興味があったらとりあえずやってみることが大事です。たとえ結果は失敗に終わっても、その分確実に成長します。部活・サークル、留学、専門的な勉学、インターンシップ、アルバイト、東工大にはまさにそういう環境が非常に整っています。行動した瞬間に世界が広がって行くと思います。

山元 奈緒さん

#03

一つの出会いが、
新たな学びの場へと
つながっていく。

生命理工学部 生命工学科 4年

山元 奈緒さん

NAO YAMAMOTO

東工大を目指し、入学を決めた動機を教えてください。

中学1年生の時に受けた生物の授業がとても面白く生物分野に興味を持つようになったこと、偶然観たテレビドラマの題材であった科学捜査班の仕事に憧れを抱いたことがきっかけで理系に進むことを決めました。その後いくつかの大学のオープンキャンパスに参加し、広いキャンパスと充実した研究施設を持つ東工大に魅力を感じ、志望校の一つとして目指すことにしました。初めて訪れた大学が東工大だったことを思うと、深い縁があったような気がしてなりません。

大学生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

大学の様々なプログラムに参加したことです。東工大には、専門分野の研究以外にも様々な活動の場が用意されています。そのような機会を存分に活用しようと思い、リベラルアーツセンターの学生プロジェクト、英米短期派遣留学をはじめ様々なプログラムに参加しました。なかでも学部3年生の時にBIOMOD(国際生体分子デザインコンペティション)に参加し、ハーバード大学で研究発表ができたことは大変貴重な体験になりました。また、留学生団体に所属し、世界各国から訪れる留学生と交流することで異文化に触れ視野を広げることができたことも楽しい経験でした。研究室に所属してからの実験やレポート発表に追われる日々も初体験で大変印象的でした。

ボーイング社の見学
ボーイング社の見学

BIOMOD
BIOMOD

研究室のメンバーと
研究室のメンバーと

卒業研究の内容を教えてください。

近年、多種類の抗生物質に耐性をもつ多剤耐性細菌の出現と蔓延が世界的な問題となっており、抗生物質の新規開発が強く求められています。私の卒業研究では、今まであまり注目されていなかったTA(トキシン・アンチトキシン)遺伝子という、大腸菌をはじめ多くの細菌が持つ遺伝子に特異的に作用する抗生物質の探索を行いました。今後は、土壌細菌が産生する抗生物質に焦点を当てた研究も行っていく予定です。

卒業後は、どのような将来を展望していますか?

大学卒業後は東工大の修士課程に進学し、現在行っている研究を続けます。進学後には、カリフォルニア大学バークレー校に留学し、微生物のゲノム解析の最新技術を学ぶ予定です。帰国後は、留学中に学んだことを生かして現在の研究に新たなアプローチを見つけること、そしてその成果を修士論文以外にもまとめあげることを目標にしています。

後輩に向けてのメッセージをお願いします。

東工大は様々なことに挑戦する機会を沢山提供してくれます。常にアンテナを張って、関心のあることには積極的に参加することをお勧めします。一つの出会いが次のチャンスを生み、さらに新たな学びの場へとつながると思います。

山﨑さん、李さん、山元さんをはじめ、この春に東工大を卒業する皆さん、ご卒業おめでとうございます。
東工大での経験を生かし、世界を舞台にご活躍ください。東工大はいつでも皆さんを応援しています。

卒業生3名

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2015年3月掲載

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東京工業大学 総務部 広報課

Email pr@jim.titech.ac.jp