東工大について

平成25年度 大学院修了生インタビュー

学びを、夢につなげる

平成25年度学位記授与式に先立ち、大学院修士課程を修了する3名の学生に、東工大での大学院生活について話をききました。

グエン・フ・タンさん 大学院理工学研究科機械制御システム専攻

留学生として来日し、東工大を目指した経緯はどのようなものだったのですか?

 私はベトナム出身で、高校卒業までベトナムに住んでいました。高校は自宅から遠かったため、知り合いから譲り受けた日本製の自転車で通っていたのですが、中古にもかかわらず、舗装が遅れているベトナムの道路でも3年間支障なく使えた事に感動し、日本の"ものつくり"に興味が湧きました。
日本の技術を本格的に学びたいと思い、2006年に来日して日暮里の日本語学校に通い、日本語教育を受け始めました。日本語学校の先輩の中に東工大の方がいたのですが、勉強会などでリーダー的存在として活躍する姿に影響を受け、「自分も先輩のようになりたい」という憧れの気持ちと、「ものつくりの勉強を本格的にしたい」という気持ちから、東工大の入学試験を受けることに決めました。

大学院生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

 熱工学やエネルギー工学の立場から、先端機器の高度化をキーワードに研究を行う伏信研究室で燃料電池の研究をしました。伏信研究室では、研究の結果が出ると、学生も学会で発表させてくれるのです。大学や企業の研究者と同じ舞台で研究発表ができるのでやる気が出ましたし、学会に参加することによって自分の研究を客観的にふり返ったり、他の研究者と交流できたり、とてもためになりました。通常の授業においても、東工大では技術の最新情報が取り上げられ、日々刺激を受けながら勉強できました。
また、入学式の時に見たキャンパスの桜の美しさが心に残っています。ベトナムでは桃の花が咲きますが、あんなにきれいに咲く桜を見たのは初めてで、感動しました。

修士論文の内容を教えてください。

グエン・フ・タンさん

 題目は「PEFCカソード触媒層における酸素輸送抵抗:アイオノマーのEW※1RH※2の影響」です。次世代エネルギー・システムとして話題の固体高分子型燃料電池(PEFC)は、自動車や家庭への応用が進みつつありますが、普及するには更なる性能向上が必要で、PEFCにおける反応や物質輸送現象についての理解が不可欠です。本研究は、まだ十分に知られていない触媒層内の酸素輸送現象を研究対象にし、触媒層の材料物性値であるアイオノマーのEWや運転条件である相対湿度の影響を明らかにしました。

大学院修了後の、進路について教えてください。

 日本で自動車関係の会社に就職します。私自身、自動車など機械が好きなので、希望する分野の会社に就職することができて良かったと思います。
日本語学校と東工大で学んだ8年間、たくさんの方にお世話になったので、社会に出て一生懸命仕事をすることで、恩返しができたらと思っています。

後輩に向けてメッセージをお願いします。

 東工大は、専門的な勉強をする環境が非常に整っていると思います。最先端の分野でも大学が研究を全面的にサポートしてくれるので、ものつくりや技術について深く勉強するのなら、東工大がいちばんだと確信しています。
勉強や研究は大切なことですが、大学では学生同士の交流会などもたくさんあります。このような会に積極的に参加したりなど、大学以外の活動を幅広くすることで得られるものも多いのではないでしょうか。日本で学んでいるという意識を持ち、広い視野で大学生活を送ることが大切だと思います。

※1 EW (Equivalent Weight)

アイオノマー内のスルホ基1モル当たりのアイオノマーの質量

※2 RH (Relative Humidity)

相対湿度

石黒 けい さん 大学院総合理工学研究科物理情報システム専攻

東工大を目指し、入学を決めた動機を教えてください。

 高校時代は文系にあまり興味が持てず、将来は理系の大学に進学して情報系の学問を学びたいと思うようになりました。
情報系の勉強がじっくりできる大学を探すうちにたどりついたのが、東工大です。最初の1年間は教養的な学問を広く学び、そのあと専門的な事を学ぶ大学が多い中で、東工大は、1年生のうちから類で専門分野がおおまかに分かれ、早い段階から専門分野が学べるところに魅力を感じ、試験を受けることにしました。

大学院生活の中で印象的なことは、どんなことでしたか?

石黒 けい さん

 内川研究室に所属し、視覚-脳系がどのようにして「視覚世界」を創り出すのかという視覚情報処理・認識メカニズムを解明するとともに、その応用をめざす研究を行いました。これまで、私が学ぶ物理情報システムの学問は"理論が中心"というイメージがありましたが、研究室で実際に学んでみると、さまざまな分野の融合的な学問である事を認識でき、新しい発見でした。
私の場合、研究の原動力となったのは、"くやしさ"です。先輩から引き継いで再現実験を行ったのですが、条件をいろいろ変えてみても同じ結果にならないことがあり、もやもやした感情と闘いながら研究を続けました。
大変な事もありましたが、大学院に進んで研究を続けた事で、「ひとつの事を究めた」という自信を持てたと思います。

修士論文の内容を教えてください。

 「顔表情画像に対する随伴色残効」をテーマに、人間の視覚系における顔表情と色との間の情報処理過程の関係性について、心理物理実験を通じて調べました。

大学院修了後の、進路について教えてください。

 通信関係の会社に就職します。配属先は決まっていないので、自分がどんな内容の仕事をするのかはわかりませんが、6年間の大学生活で学んだものを少しでも活かすことができればと思っています。

後輩に向けてメッセージをお願いします。

 東工大の男女比は9:1くらいです。中高の6年間女子校に通っていたので、これまでとあまりにも違う環境に慣れることができるか心配でしたが、入学後1週間くらいで慣れました。女子の数は圧倒的に少ないですが、入ってしまえば何とかなると思います(笑)。
就職活動の時は、理系の女子対象の説明会がたくさんありました。女子学生の皆さんにとっては就職活動しやすい環境の大学だと思います。

小島 諒介 さん 大学院情報理工学研究科計算工学専攻

東工大をめざし、入学を決めた動機を教えてください。

 高校時代から理系のクラスで勉強していて、大学では数学系か情報系のどちらかを学びたいと思っていたのですが、当時、情報理論の基礎について書かれた専門書を読んで面白さを感じ、情報系に決めました。
たくさんある大学の中で東工大に決めたのは、私の場合、ひと言でいうと直感です。東工大の博物館・百年記念館のユニークな"かまぼこ型"の外観に衝撃を受け、自由な学風を一瞬にして感じとり、「この大学に入ろう」と決めました。

大学院生活の中で印象的なことは、どんな事でしたか?

小島 諒介 さん

 計算と学習の統合による人工知能の実現を目指して研究を行う佐藤泰介研究室に所属し、メンバーと共に「Naive Bayesモデルを用いた効率的なクラスタラベリング手法」などの論文を発表しました。
サークル活動ではロボット技術研究会に所属し、ロボット技術の研究やロボットづくりの手伝いをしました。ロボット技術研究会では「NHKロボコン」などの大きなコンテストをはじめ、グループに分かれてコンテストへの参加も積極的に行っているのですが、私自身は、勝ち負けを競うよりも自分が好きなものを作るのが性に合っていました。ですので、ソフトウエアの技術を使ってロボットをコントロールするなど、自分のペースで自由に作っていました。同じサークルに属する大学院やドクターの先輩から、ロボットに関する専門知識を教えてもらえてためになりましたし、6年間楽しく活動できたと思います。

修士論文の内容を教えてください。

 「プラン認識による系列データの解析」というタイトルで、Webページ来訪者の行動履歴からその背後にあると考えられる来訪者の目的を推定し、Webページの改善等に役立てることを目的とした研究です。この研究の背景としては、大容量の記録デバイスが安価で手に入るようになり、様々な履歴を保存出来るようになったことと、コンピュータの高速化により確率・統計を用いた複雑な計算が可能になったことが挙げられます。こういった研究を進めることで、人が読むには膨大過ぎる履歴データを様々な用途に役立てることが出来ると考えています。

大学院修了後は、どのような進路ですか?

 博士課程に進み、人工知能の研究を続けます。大学院を卒業し博士課程に進むことで、研究者としてやっとスタートラインに立つことができるというのが実感です。
思い返すと、私が研究者をめざそうと最初に思ったのは、中学生のときでした。エレベーターにのって上の階に行きたいのを間違えて下のボタンを押してしまい、キャンセルボタンがない事に気づいたとき、もっと役に立つエレベーターについて研究したいと思ったのです。研究とは、世の中のさまざまな仕組みに対して疑問を抱くところから始まるのだと思います。
これからも夢を持ち続け、自分が納得できるまで研究を続けていきたいと思っています。

後輩に向けてメッセージをお願いします

 東工大の魅力は、何といっても自由な学風だと思います。まわりと違った視点を持っていてもそれが認められますし、いい意味で個性的な学生がたくさんいます。このような学生と共に学ぶことによって、新しい世界が広がっていくのではないでしょうか。
世の中は、不思議な事であふれています。東工大で研究を志す人は、世の中に対する疑問を日々持ち続けて欲しいと思います。

平成25年度 大学院修了生インタビュー