教育

グローバル理工人育成コース ―国境を越えて活躍するエンジニアを育てる―

グローバル理工人育成コース ―国境を越えて活躍するエンジニアを育てる―

世界規模の課題解決に取り組むためには、高度な科学技術の素養を持つ理工系の人間もまた、異なる文化圏の人々と顔を突き合わせ、相手を理解し、また自分をアピールしながら、同じ目的に向け邁進できるような力が求められます。そのような力を持つ人材を育成すべく、本学には標準課程の履修に加え選択することができる「グローバル理工人育成コース」があります。

グローバル理工人になるための、4つのプログラム

本コースには、東工大に入学してきた学士課程の学生を対象にした初級・中級コースと、修士課程を対象にした上級コースがあります(上級コースは2017年4月より新設)。

グローバル理工人育成コース

育成すべき能力
  • 国際意識
  • 英語力・コミュニケーション能力
  • 異文化理解力・チームワーク力
  • 課題発見・解決力
  • 実践的能力
  • 国際教養
  • 国際リーダーシップ
  • 発想力・価値想像力
  • 国際共同研究基礎力
対象者
学士課程在籍者およびグローバル理工人育成コース上級の所属要件を満たさない修士課程在籍者または専門職学位課程在籍者が対象です。コース所属後は、初級からスタートし、初級の修了要件を満たした段階で中級へ進みます。
修士課程在籍者または専門職学位課程在籍者であり、所属要件を満たしている方が対象です。

東工大に入学する学生は、必ずしも最初から、高度な英語力とコミュニケーション能力を持っているのでも、ましてや国際舞台での経験がある訳でもありません。初級・中級コースの所属生はグローバル理工人になるための基礎を身に付けるべく、次の4つのプログラムに取り組みます。

1. 国際意識醸成プログラム

1. 国際意識醸成プログラム

グローバル理工人の導入として、国際的に活躍する卒業生や留学生とのコミュニケーションを重ねながら、国際的視点で考えることの重要性と、多様な人々との調整力を学びます。

2. 英語力・コミュニケーション力強化プログラム

2. 英語力・コミュニケーション力強化プログラム

海外の大学等で勉強するのに必要な英語力の修得を行います。またTOEIC®、TOEFL®の受験機会やe-ラーニングによる自主学習の場を得ることができます。

3. 科学技術を用いた国際協力実践プログラム

3. 科学技術を用いた国際協力実践プログラム

国や文化の違いを越えて協働できる能力、複合的な課題について、その本質を見極めて解決策を提示できる能力を育みます。人文・社会分野の科目、外国人招聘教員によるプログラム等により、修得した知識を実際の問題に適用できる実践力を養成します。

4. 実践型海外派遣プログラム

4. 実践型海外派遣プログラム

海外留学及び事前事後の教育を通じて、危機管理も含めて海外で主体的に行動できる能力の修得を目指します。プログラムには、短期派遣と長期派遣の2種類があります。

各プログラム所定の単位取得に加えて、次のいずれかの語学力(TOEIC®750(680)以上、TOEFL iBT®80(72)、TOEFL ITP550(533)以上、IELTS6.0以上/英検準1級以上※1)を身に付けること、そして、ポートフォリオ(達成度評価)による学生個々が修得した能力の評価と、面接による習熟度及びグローバル人材の資質を備えているかの評価を受けることとし、すべての要件を満たすことで、コース修了が認定されます。

上級コースでは、これまでに培った国際性に関する基礎力をもとに、国際教養、国際リーダーシップ、発想力・価値想像力、国際共同研究基礎力などを養います。

※1
()内は初級について

所属生・修了生インタビュー

グローバル理工人育成コースを履修する中で得られたもの、新たな発見や気持ちの変化について、所属生・修了生にインタビューをしました。

研究プロジェクトのまとめ役として

所属生:玉木彩子さん
生命理工学部 生命工学科 3年

入学式で配布された東工大のパンフレットを読んでいる時、本コースに興味を持ちました。将来は海外で活躍したいという思いがもともとあったのですが、高校時代には具体的な活動実績が無かったので、プログラムとしてステップアップの目安があると達成しやすいかなと思い所属を決めました。

1年生の時に初めての留学としてイギリス超短期留学プログラムを経験し、2年生では「実践型海外派遣プログラム」としてiGEM世界大会※2に参加しました。ここではプロジェクトリーダーをつとめましたが、研究のまとめ役をするというのは初めての挑戦で、プロジェクトをどう計画し、たくさんある仕事をチームにどう割り振り、かつ情報共有して進めるかを考えるのがとても大変でした。

私たちのチームは、一般の方にも合成生物学に親しんでもらいやすいように、「白雪姫」をテーマに選びました。これは大腸菌におけるタンパク質生産の制御につながる研究で、大腸菌の遺伝子組換えを行い、童話の白雪姫のストーリーになぞらえた4部分について達成を目指すものでした。例えば、リンゴにあたる物質がきたら大腸菌の増殖が止まる、王子様によって復活する…といったように。プロジェクトは2016年4月~10月の約半年の間で実施され、大会では、東工大として10年連続となる金賞をいただくことができました。

ヨーク大学にてヨーク大学にて

iGEM世界大会のポスターセッションにてiGEM世界大会のポスターセッションにて

将来については、研究者・技術者の道ももちろん考えているのですが、人と人をつなげる営みも好きなのだと、大学に入ってから思うようになってきました。理工系としての知識を活かして、「尖った」人たちの面白いアイデアを社会に還元し、サイエンスと社会をつなぐような仕事に就くことも考えています。

※2
The International Genetically Engineered Machine Competitionの略。マサチューセッツ工科大学で行われる合成生物学の大会で、合成生物学分野における「生物学版ロボコン」にも例えられる国際大会。

チームの課題に科学技術の解釈を加える

修了生:片岡裕介さん
物質理工学院 材料系 修士課程1年

(学部時代に本学無機材料工学科に所属し、本コースを修了)

実は大学に入った時は、留学などあまり海外には目が向いていませんでした。その後、国際意識醸成プログラムで参加した留学生TA(ティーチング・アシスタント)とのグループワークをはじめ、色々な人と出会っていく中で、「こんな風に考える人もいるのか」「日本ってこう思われているんだ」という意外な発見があり、自分が今まで持っていたイメージとは違う知見を得られることが段々と分かってきました。最初のイギリス派遣では不安や抵抗もかなりありましたが、実際に行くことで得られる発見や気づきが面白くなって、自分でプログラムを見つけて参加するようになりました。

学外プログラムでタイに行った時の写真。左はチャオプラヤ川沿いにて撮影、右はオーガニックの洗浄液を作成する実演を行った時の様子。

学外プログラムでタイに行った時の写真。左はチャオプラヤ川沿いにて撮影、右はオーガニックの洗浄液を作成する実演を行った時の様子。

学外プログラムでタイに行った時の写真。左はチャオプラヤ川沿いにて撮影、右はオーガニックの洗浄液を作成する実演を行った時の様子。

学外プログラムでタイに行った時、何人かでチームを組んでタイの水問題について課題解決に取り組み、最終的に地元政府へ提言を行うという機会がありました。そこで複数の大学の人たちが集まってつくったチームには、国際環境や国際政治・経済を専門にしている人の参加が多く、私のような理工系の人があまりいないことに気付きました。政治・経済専門の人は制度づくりやコスト面から問題の洗い出しを行う傾向にありますが、新たな技術やテクノロジーの面ではやはり知識が少ないので、私が加わることで科学技術を活用したアドバイスや、この問題は科学技術の観点からこう解釈することができるよ、という視点をつくる役割ができたと思います。

結果として私たちのチームのプレゼンがコンペティションで金賞を取ることができ、問題に対しての根本的な解決を目指す上で、理工系の知識や技術は大きな武器の1つになるということを実感しました。

東工大ならではの魅力的なグローバル人材の育成に向けて

グローバリゼーションにともない、私たちをとりまく環境は海外とより密接なつながりを持つようになりました。2013年のコース開設当初は所属生が200人あまりだった本コースですが、海外へ出ていこうという意志を持った東工大生が徐々に増え、現在では約1,200人が所属するところとなっています。

全地球的な考え方が求められる時代の中で、高度な専門性と豊かな人間性を兼ね備え、世界を舞台に活躍する気概と実力をもった人材の輩出を目指します。

SPECIAL TOPICS

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2017年8月掲載