国際交流

デザイン思考ワークショップ d.school comes to Tokyo Tech

d.school comes to Tokyo Tech 2015

スタンフォード大学卒業生は多くのベンチャー企業を立ち上げています。Google、Sun Microsystems、Cisco、Yahoo!など数え上げるときりがありません。彼らのアイデアの創出を支えているのが、Hasso Platner Institute of Design at Stanford(通称 d.school)と呼ばれるデザインスクールであり、このd.schoolが提唱している発想法が「デザイン思考」です。東工大でもイノベーターを養成すべく、複数の専攻で「デザイン思考」を取り入れた授業を行っていますが、さらに昨年からは、本場d.schoolから講師を招いて、英語による講演と2日間の集中ワークショップを行っています。

スタンフォード大学 スタンフォード大学
d.schoolの入り口 d.schoolの入り口

多様性を意識したメンバー構成

今回のワークショップには、東工大に加え、東京大学、一橋大学、早稲田大学、慶應義塾大学から理系・文系のさまざまな分野の学生48名が参加しました。講師は、プログラム担当のトーマス・ボース氏、環境デザインの専門家のスコット・ウィットフト氏、医療系出身のデイヴィット・ジャンカ氏が務めました。

ワークショップの様子1
ワークショップの様子2

ワークショップの様子

第1日目

デザイン思考のポイントとインタビューの練習
デザイン思考の5つのステップ図

デザイン思考の基本5ステップ

まず、デザイン思考の基本である「共感」「問題定義」「創造」「試作」「検証」の5つのステップについて学び、インタビューする際のポイントをおさえます。

チーム分けとテーマの理解

今回のテーマは、「都会人の日々の中にある遊び:playを再設計する」。都会に住む人々のニーズや思いを掘り起し、「遊び」に新たな価値を提供するサービス・仕組み・機器を提案することが目的です。学生は4人1組、12グループに分かれて、テーマに沿って取り組みます。

街頭インタビュー

学生は、自由が丘を行き交う人々に「play」について尋ねます。最初のステップ、「Empathize:共感」です。こちらの意図を手短に説明し、了解を取ってからインタビューを始めますが、初対面の人々の本音を引き出し、相手の立場でその意味を理解するのは簡単ではありません。

街中でのインタビューの様子1
街中でのインタビューの様子2

街中でのインタビューの様子

問題点の洗い出しと考察

インタビュー結果をもとに、チーム内で考察や解釈を共有し問題点を探ります。2番目のステップ「Define:問題定義」です。インタビューした人々の既知および未知の問題点をあぶり出し、その意味を探り、解決策の糸口を見つけます。

第2日目

問題点の本質の明確化
ワークショップの様子3

前日の「問題定義」のステップで、あぶり出された問題点を、バリューラダー(価値観のはしご)という手法を使ってさらに掘り下げてその本質を明確化し、可視化していきます。

「なに?」や「なぜ?」で始まる問いを繰り返し、物事の本質に迫っていく手法
解決策のアイデア出しと選定
ワークショップの様子4

問題定義の次は、「Ideate:創造」です。既存の枠組みを超える解決策を目指し、たくさんのアイデアを出します。ここでは実現性や技術的な課題はあまり考慮する必要はなく、批判も行いません。チーム内で、こんな風になったらいい、これがあると面白い、といったアイデアを自由に上げていき、インパクトのあるアイデアをひとつ選定します。

解決策の試作
ワークショップの様子5

次は、その解決策を「かたち」にするステップ「Prototype:試作」です。ボール紙、紙コップ、モール、割り箸などを使い、コンセプトを具現化していきます。ここで重要なのは、機能ではなく、ユーザーが使う場面とユーザーにもたらす効果という点です。

検証と最終試作
ワークショップの様子6

最後は「Test:検証」で、アイデアの有効性を試します。今回は、学外の社会人5名の方がユーザーとなり、試作の評価とフィードバックを行いました。それを元に試作品を修正し、チームごとに最終試作品を寸劇スタイルで発表すると、講師や他の学生から疑問点や改良点のコメントが飛び交います。

参加した東工大生からのコメント

有子山 俊平
大学院社会理工学研究科価値システム専攻修士課程2年

2日間のワークショップで行ったことは、先行研究がない、人のニーズが焦点、という点を除けば、問題定義→アイデア創造→試作→検証、という普段私たちが行っている「科学」と変わりない作業でした。しかし、「異分野の人と協働して迅速に問題解決にあたる」という点は大きく異なりました。これほど刺激的で知的興奮に満ちたワークショップは初めてでした。この濃密な特訓を、ぜひ多くの人に体験して欲しいと思います。

辻 理絵子
大学院理工学研究科国際開発工学専攻博士課程2年

昨年に続き2回目の参加でした。回を重ねる度に、デザイン対象となる人にとっての課題の本質を発見し解決策を提案するために、情報をどう解釈して、何をヒントに新たな発想へつなげればよいのかが整理されていきます。ワークショップは、d.schoolの現役講師陣から直接指導を受けられるだけでなく、これまでの疑問をぶつけて理解をより一層深められる貴重な機会です。今までデザイン思考に触れたことがある人にこそ参加してほしいワークショップです。

今後の展開

デザイン思考は、あらゆる場面で応用できる問題解決のための思考法であり、繰り返し行うことで理解が深まります。d.school講師ボース氏は、「最も重要なことは、自分たち自身で方法を考え、行動を実際に行うことです。私たちの講義やデモンストレーションを通して学ぶだけではなく、実際のプロジェクトにするところがポイントです。このワークショップを通し、学生自身の研究や作業に役立てることができると気づいてくれる機会になればと考えています」と話しています。今後も継続してワークショップを実施していく予定ですので、ぜひご期待ください。

d.school講師と参加メンバー d.school講師と参加メンバー

本ワークショップは、グローバルリーダー教育院(AGL)outer主催で行っています。