国際交流

国際大学院プログラムの学生たち

国際大学院プログラムの学生たち

東工大では、日本語能力を要求せず、英語能力があればカリキュラムを履修して学位取得ができる、留学生に特化した「国際大学院プログラム(IGP:International Graduate Program)」を2007年から実施しています。IGPで提供されるコースの多くは、国際的課題となっている分野を専門としており、修了すると、修士または博士の学位が取得できます。また、専門分野以外にも、教育・文化などの講義や日本語講座を準備し、修了後も日本で活躍を目指す学生のための工夫がなされています。今年10年目を迎えたIGPで学ぶ4人の学生が、プログラムの魅力などについて語ってくれました。

ヒャムスルン・ガンチメグ(モンゴル)

ヒャムスルン・ガンチメグ

  • 所属・学年
    物質理工学院材料系博士後期課程1年
  • コース
    IGP(A) 「グローバルな視点を持った課題解決・分野横断型人材育成プログラム(IPISE)」
  • 出身大学
    モンゴル国立大学

IGPを選んだ理由を教えてください。

留学にはもともと興味を持っていました。数々の発見や技術が生み出される日本の大学の研究レベルが高いことは知っていたので、日本を中心に留学先となる大学を調べるうちに、東工大のIGPについて知りました。東工大のウェブサイトには、入学手続きやプログラムの詳細など、私が知りたい情報があふれていて、読んでいてわくわくしました。しかし、最終的に入学の決め手となったのは、やはりIGPがアジア圏では珍しい英語だけで行われるプログラムであること、そして修士博士一貫コースがあることの2点でした。

IGPの良さや難しさについて教えてください。

ここに来てから確実に自分が変わってきていると思います。新しい知識を習得し、自分の専門分野の国際的課題に対する視野が広がり、専門家としても人間としても成長できていると感じています。恵まれた研究・学習環境の中、日々、指導教員と課題について相談したり、研究室の仲間と議論を交わしたりしながら、国際的な課題の解決策を探ることなど、私のやりたかったことがここで実現できていると感じています。

当然、最初のうちは、言葉や文化の壁もありましたし、私自身の知識や経験の浅さもあってつらいと思うこともありました。しかし、そんな時も、研究があったからこそ、自分の欠点や弱点と向き合い、専門家として、またひとりの人間として高みを目指すことを忘れずに乗り越えられてきたのだと思います。私の日本語はまだまだですが、それでも日本の文化や言葉への理解が深まるごとに、日々の生活が楽しくなっています。

研究室のメンバーと
研究室のメンバーと

大岡山駅伝に参加
大岡山駅伝に参加

これからIGPを目指す人たちへメッセージをお願いします。

東工大にはやりたいことができる環境があり、そしてそれをサポートしてくれる人たちがいます。指導教員や研究室の仲間の力を借りて、日々の課題に丁寧に向き合って解決し、乗り越えていくことで、目標とする夢に一歩一歩近づいていってほしいと思います。

ポスター発表
ポスター発表

実験室
実験室

MRS学会での発表
MRS学会での発表

口頭発表
口頭発表

トミー・ケロラ(スウェーデン)

トミー・ケロラ

  • 所属・学年
    大学院情報理工学研究科計算工学専攻博士後期課程3年
  • コース
    IGP(A)「日本とともに先端ITをリードする人材育成プログラム」
  • 出身大学
    シャルマーズ工科大学

IGPを選んだ理由を教えてください。

2011年、ACAP海外交流学生として初めて東工大を訪れた際、受入研究室で画像認識や統計的パターン認識の面白さに触れました。その翌年、「イメージネット大規模視覚認識チャレンジ2012」という画像認識コンテストに出展された、自律して画像理解するコンピューターの能力を評価するという技術に惹かれて、画像機械学習に興味を持つようになり、それがIGPの博士後期課程への入学につながりました。画像認識分野の研究は、最近になって理論研究やハードウェアの性能が向上し、自動顔認識や画像分割などの実用的な作業にその技術が使われるようになってきました。将来的にはこういった技術を応用して、データ入力などの単純作業にかける時間を軽減できるソフトウェアを開発したいと思っています。

研究室のメンバーと訪れた河口湖
研究室のメンバーと訪れた河口湖

東工大の友達と鎌倉へ
東工大の友達と鎌倉へ

IGPの良いところと大変なところを教えてください。

大きな魅力のひとつはスーパーコンピューターのTSUBAMEです。画像認識の研究を進める上で解析が必要なデータ量は爆発的に増えているため、幅広く研究を行うためにはスーパーコンピューターの高速計算機能は不可欠なのです。もうひとつは、研究に必要なものが研究室にすべてあるという点です。

IGPでは独立した研究者として、自ら設定した研究テーマに沿って仮説、検証、結論までの実施計画を立てて研究を進める知識や技術が求められます。講義で出される課題と違って、研究を進める上で明確な判断基準はありません。自分の課題やデータを客観的に分析し、仮説を証明できる可能性があるかどうかを見極めていかなくてはなりません。未解決の問題の解決方法を探ること、そしてそのために必要な知識や技術を身に付けること、それが私にとってのIGPの魅力であり難しさです。

これからIGPを目指す人たちへメッセージをお願いします。

自分のやりたい勉強や研究について指導教員とよく話し合い、自分が情熱を傾けられる研究課題を見つけてください。新しい研究を進めて行くのは、地道で骨の折れる作業です。しかし、その作業を日々楽しむことができれば、いつか大きな喜びにつながります。東工大には研究に必要なリソースが揃っています。大志を以ってすれば、不可能なことはありません。

チャヅミ・カビラナ(スリランカ)

チャヅミ・カビラナ

  • 所属・学年
    大学院理工学研究科国際開発工学専攻修士課程1年
  • コース
    IGP(A)「持続可能な発展のための国際高等技術者育成特別プログラム(SEP)」
  • 出身大学
    モラトゥワ大学

IGPを選んだ理由とその魅力を教えてください。

学士課程修了後、やはり大学院に進もうと決めました。評価の高い東工大にはもともと興味を抱いていましたが、スリランカで行われた留学説明会で私が現在所属するSEPの紹介をした花岡伸也准教授の言葉に心を動かされました。もちろん、最先端の研究環境や設備にも惹かれました。私にとってのIGPの最大の魅力は、なんといっても幅広いカリキュラムがすべて英語で学べる点です。他にも、さまざまなインターンシップや交換留学プログラムを通して、修了後に指導する立場で関わることになる国際プロジェクトでの経験を積めること、また指導教員のレベルが高く、イノベーション創出のための指導が行われていること、研究意欲を刺激する最新の研究設備などがあります。

大学院入学式大学院入学式

SEPサテライトセミナーのグループメンバー
SEPサテライトセミナーのグループメンバー

SEPサテライトセミナーでのグループ発表で第3位に
SEPサテライトセミナーでのグループ発表で第3位に

IGPで大変なこととはどんなことですか?

IGPでは、講義や課題、試験、グループワークといったさまざまな方法で知識の幅がどんどん広がっていき、学術環境も大変先駆的です。一方で、学生は自らの研究課題をどう進めて行くか自分で判断することが求められるため、目標とする成果を導き出すために度重なる修正や調整の努力を惜しまない忍耐強さが求められます。また、世界中から集まる優秀な留学生との競争的環境の中で、IGPの多くのコースが焦点をおく国際的課題に関する動きにアンテナを張り、正確な知識を常に更新していく必要があります。

研究室のボウリング大会
研究室のボウリング大会

研究室のお花見
研究室のお花見

これからIGPを目指す人たちへメッセージをお願いします。

先駆的な研究環境で刺激を受け切磋琢磨しながら修士課程、博士後期課程の学位取得を目指したいと考えているなら、IGPは最適なプログラムです。あらゆる分野の知識や競争力となる強みを効率的に味方につけ、それを社会に還元することができます。

ベン・セットラー(米国)

ベン・セットラー

  • 所属・学年
    大学院理工学研究科建築学専攻修士課程1年
  • コース
    IGP(A)「日本の地震減災技術による国際貢献を担う高度技術者の育成プログラム(EEP)」
  • 出身大学他:プリンストン大学、アラップ社(設計エンジニアリング事務所)を経てIGP

東工大のIGPを選んだ理由を教えてください。

私はカリフォルニア州の出身ですが、ニュージャージー州のプリンストン大学に進みました。その後、アラップ社の構造設計者として何ヵ国かで国際建築プロジェクトに関わりました。その間、2010年と2011年にニュージーランドのクライストチャーチで起きた大規模地震による被害とその後の長期間に及ぶ再建を目の当たりにしました。これに大きな衝撃を受けた私は、地震による被害を軽減させる設計知識や技術を身に付けたいと考え、大学院に戻ることにしました。

アラップ社でかかわったシンガポールでスタジアム建設プロジェクトアラップ社でかかわったシンガポールでスタジアム建設プロジェクト

この分野で有名なのは日本ですが、その中でも東工大は秀でています。他にもニュージーランドのカンタベリー大学や米国カリフォルニア大学バークレー校も有名ですが、高性能な耐震設計やシステムを開発し普及させている専門家たちの知識が継承されている東工大に魅力を感じました。そんな時、同僚から竹内徹研究室を勧められたのです。

若き技術者としてピーター・ライス氏のもとで学んだ竹内教授は、新日本製鉄で座屈拘束ブレース(BRB)の開発に貢献、そしてこれまでに素晴らしい構造設計を数多く生み出してきました。東工大だけでも、大岡山キャンパスの附属図書館、緑ヶ丘1号館レトロフィット(改修)、元素戦略研究センター、地球生命研究所などを手がけており、竹内教授の斬新な構造概念が表現されている建物を見ることができます。

竹内研究室のメンバーと緑ヶ丘1号館レトロフィットの前で竹内研究室のメンバーと緑ヶ丘1号館レトロフィットの前で

IGPのどんなところが好きですか?

東工大の大学院の教育システムはオックスブリッジ・チュートリアルシステムに似ていて、米国のものとは大きく異なります。ここでは研究室を拠点に、日々指導教員によるメンタリングを受け、毎週のミーティングで仲間と各自の研究について話し合います。また、日本では建築構造学は建築学分野に入るので、広く建築学の講義も取ることができるところも気に入っています。

研究室のセミナー
研究室のセミナー

研究室の鍋パーティー
研究室の鍋パーティー

IGPで学んだことを将来どのように活かしていきたいですか?

博士後期課程修了後は、ここで身に付けた耐震設計に関する広い知識を現場で活かしたいと思っています。日本の構造設計の手法や哲学は、世界で標準的とされているものと大きく異なります。日本では、高性能振動減衰システムが驚くほど広く普及していて、ごく一般の建物にも使用されています。また、国内の企業社屋やマンションなどには当たり前のように高度の耐震設計が施されています。このような高度な耐震設計やシステムを世界に広げていくことで、地震被害の軽減に貢献したいと考えています。

研究室の仲間と実験研究室の仲間と実験

オックスブリッジ・チュートリアルシステム

「オックスブリッジ」とは、英国のオックスフォード大学とケンブリッジ大学を指す合成語。両大学とも、専攻とは別に所属するカレッジ(学寮)システムを採用しており、授業は「チュートリアル」と呼ばれる個別指導を中心に行っている。

SPECIAL TOPICS

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2016年8月掲載