国際交流

TiROP

TiROP

TiROPの概要

東京工業大学では、世界有数の理工系大学と連携し、学生交流を通じてネットワークを構築する取組を行っています。

2011年度より実施している「グローバル理工系リーダー養成協働ネットワーク(TiROP(タイロップ): Tokyo Tech International Research Opportunities Program)」は、カリフォルニア工科大学、カーネギーメロン大学、マサチューセッツ工科大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンといった17校の世界トップ大学をパートナー大学とし、双方の学生の派遣・受入を行う留学プログラムです。TiROPは文部科学省の「大学の世界展開力強化事業(タイプB-I)」の採択を受けています。

TiROPの大きな特徴は、東工大とパートナー大学との共同指導による研究に重点を置いていることです。世界のトップレベルの大学での教育・研究交流を通して、文化の相互理解を深めることで、卓越した科学技術の素養を持つグローバル人材を育成することを目標としています。

パートナー大学について

TiROPでは、以下に挙げる世界トップ大学をパートナー校としてプログラムを運営しています。

TiROP

東工大への留学 — サマープログラム

サマープログラムとは

TiROPでは、「サマープログラム」と「大学院共同指導プログラム」を通し、パートナー大学から学生を受け入れています。

「サマープログラム」は、6月から8月にかけて東工大で開催される「研究」を基軸とした夏期集中プログラムです。 学生は、東工大で関心のある研究室に所属し、そこで短期研究のプロジェクトに参加します。研究の他には、日本語習得プログラムや茶道、落語などの日本文化体験イベントも用意されています。2014年は、16校のパートナー大学から24名の学生が参加しました。

お茶会

お茶会

落語ライブ

落語ライブ

参加学生の声

ザン ポール(Paul ZHANG)
カリフォルニア工科大学 Computer Science/Department of Computer Science 学部3年
日本語習得プログラムを受講している時の様子

日本語習得プログラムを
受講している時の様子(中央がポールさん)

私は「安全性の高いランプ型量子秘密分散法」について研究しました。 これは、例えば、USBメモリーなどを電車に忘れてしまっても機密情報が漏れないように情報を分散して記録する量子力学を応用した方法です。 そして、その成果を大学院理工学研究科通信情報工学専攻 松本隆太郎准教授と共に、学術誌「Quantum Information Processing」に投稿し、掲載されました。 松本先生の丁寧な指導のおかげで、私は日本の教育やアカデミックな世界を知ることができました。将来もう一度日本に来たいと思います。 また、これからも学問を探求する決意ができました。

バルガヴァ アンチャル(Anchal BHARGAVA)
カーネギーメロン大学 Mechanical Engineering, Technical Writing, Global Engineering/Mechanical Engineering Department 学部4年
最終発表の様子

最終発表の様子
(アンチャルさん)

東工大はとても実用的な研究を行っている大学で、さまざまな科学分野でのプロジェクトが豊富にあります。 アメリカにはこうした大学はあまりありません。私は、飛行機やエンジンに興味があったため、ジェットエンジンの燃費を良くする翼型熱交換器の研究を行いました。 そして、サマースクールが終わる頃には、ANSYSを用いたコンピュータシミュレーションができるようになりました。 このプロジェクトを通して知識や視野を広げることができました。

スミス ロバート ローレンス(Robert Lawrence SMITH)
マサチューセッツ工科大学 Computer Science/ Department of Electrical Engineering and Computer Science 学部4年
コンピュータールームにて

コンピュータールームにて
(手前がロバートさん)

ディズニー映画に代表されるアニメーションキャラクターの早い動きを3次元CGで表現するための研究を行いました。 研究室やTiROPの仲間たちのサポートのおかげで、2か月間の滞在の終わりには、「3次元CGにおいても、対象が動く際のモーションブロー(動きによる画像のぼけ)を利用してモデルの形状変形を行うことで、2次元のディズニー映画のような効果を表現できるのではないか」、というひとつの成果を得ることができました。 研究について、前向きなフィードバックをたくさん得たことで、プログラム終了後も研究を継続する励みとなりました。 私は、MITで大学院を終えた後、TiROPで学んだことや経験したことを活かし、日本で仕事をしたいと考えています。

ソルバ アリアンア ミレーナ(Arianna Milena SORBA)
インペリアル・カレッジ・ロンドン Physics/Physics Department 学部3年
研究室にて

研究室にて
(右から3人目がアリアンアさん)

私は、研究テーマとして地球惑星科学分野の月磁場をとりあげました。 特に、人工衛星により観測された小規模な月磁気異常を研究し、月にかつて双極子磁場(棒磁石周囲の磁場に相当)が存在したかどうかを検証しました。 太古の月にあった双極子磁場の方向が時間とともに変化した証拠を見つけた時は、本当に感動しました。 他にも、大学の生活サポートやアドバイスはもとより、日本語のレッスンや茶道のような楽しい文化体験がありました。 また、私が滞在した研究室のメンバーは、食事や花火大会などに誘ってくれるなど、とても親切でした。 東工大と東京は、私がこの夏に研究を行う上で最高の場所でした。 こうした経験は、私の自信や自立、そして新しい環境への適応能力を伸ばしてくれました。 私は現在、博士号の取得を考えており、東工大で培った研究スキルが役立つことを願っています。

東工大からパートナー大学へ — 短期派遣

短期派遣とは

TiROPでは、「研究と授業」「研究中心」「短期派遣」という3つの留学タイプにより、パートナー大学へ東工大生を派遣しています。

「短期派遣」は、東工大の学部生が米国のパートナー大学を約10日間訪問するものです。海外の大学を体験し、パートナー大学の教員から直接指導を受けることで、実際の研究内容や生活環境を理解することができ、将来の長期留学の準備となる経験を提供するプログラムです。 2014年度は、MITとジョージア工科大学を訪問しました。

参加学生の声

松尾 博史(まつお ひろし)
工学部機械科学科 3年
帰国後の報告会での発表

帰国後の報告会での発表
(松尾さん)

MITの工作機械が並ぶ工房であるHobby Shopが印象的でした。 東工大の工房と比べて金属加工用の工作機械の種類の差は、それほどありませんでしたが、木工用機械や3Dプリンターが充実しており、研究にはさほど関係ないものも趣味として自由に製作していました。学生たちの勉強への熱意を強く感じました。 そして、意外にも、日本での授業の雰囲気とさほど変わらない授業が多かったことに驚きました。 この派遣に行く前は、漠然と留学できれば良いかなと思っていましたが、大学院から直接海外留学することも視野に、進路を考えたいと思うようになりました。

加藤 健太(かとう けんた)
工学部機械科学科 3年
MITのHobby Shop

MITのHobby Shop
(中央が加藤健太さん)

ジョージア工科大学での授業聴講では、機械要素設計に関して東工大よりも時間をかけて深く学んでいたのが印象に残りました。 機械は使い続けることによる消耗や疲労があるため、設計者には部品の寿命に関する知識が必要です。 これを製図などと絡めながら勉強していくのではなく、独立した科目として設定されている点に、大きな違いを感じました。 また、3Dプリンターが手軽に使えるなど実践することが重視されており、長期的な研究に集中しやすい環境が整えられている点も印象に残りました。 海外を見ることで、世界中のライバルと競争していることを改めて実感することができました。

加藤 北都(かとう ほくと)
生命理工学部生命科学科 4年
MITの図書館

MITの図書館
(中央が加藤北都さん)

ジョージア工科大学で、授業を聴講して感じたのは、学生が授業に取り組む姿勢が非常に積極的だったことです。 授業中に先生の話を遮って質問する学生や先生からの問いかけがあると必ず誰かしらが発言するのは、日本ではあまり見ることができない光景でした。 キャンパスにはアトランタオリンピックで使われた建物が至る所で活用されており、水泳の競技に使われたプールや選手村は、学生が利用するプールや寮として利用されていたことが驚きでした。 また、MITでは、研究室を訪問し、ラットやサルを使った行動実験を通して、ドーパミンなどの神経伝達物質の発現量を計測することで脳の活動を調べる実験を見学しました。 東工大とは違う雰囲気、所属している研究室にはない実験器具・手法を見ることができたことは、大きな刺激となりました。

さらなる国際化へ向けて

TiROPでは今後も、国際的視野の拡大や国際的リーダーへ向けた意識づけ、国際的なプロジェクト推進能力や問題解決能力を獲得することで、国境を越えて活躍する人材育成を行っていきます。

また、2014年に東工大は、日本の国際競争力を強化するため世界レベルの教育研究を行う大学を重点支援する「スーパーグローバル大学創成支援」(文部科学省補助金事業)に採択されました。こうした事業と共に、海外の卓越した大学との連携を進め、さらなる国際化を進めていきます。

動画:TiROPサマープログラム参加者の声

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2014年12月掲載

お問い合わせ先

東京工業大学 総務部 広報課

Email pr@jim.titech.ac.jp