研究

東工大ニュース

最古の人工プラスチック・フェノール樹脂が高屈折率透明樹脂に変身!安価で軽量なガラス代替材料や高性能レンズとして期待

2009.05.21

要約

理工学研究科有機・高分子物質専攻の東城裕介大学院生,小西玄一准教授は、新概念の重合法により立体規則性のフェノール樹脂を合成し,得られたポリマーから無色透明・高屈折率の高性能プラスチックガラスを作製することに成功しました.物性面では,CDやDVD表面の透明樹脂や新幹線N700系の窓などに利用されているポリカーボネートを凌駕する点も多く,さらに様々な高分子材料と優れた相溶性を示すことから今後、材料への応用が期待されます.熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂は1907年に実用化された人類最初の人工プラスチックですが、単独ではフィルム形成が難しくさらに着色が激しいため,高品質の熱可塑性高分子および光学材料のような高度な部材への応用展開は予想外でした.この成果は,高分子学会第58回年次大会の注目発表(約2100件の発表中9件)として選ばれ、5月14日の記者会見では東城君が研究発表を行いました.

研究の内容,背景,意義,今後の展開等

理工学研究科有機・高分子物質専攻の東城裕介大学院生,小西玄一准教授は、新概念の重合法により立体規則性のフェノール樹脂を合成し,得られたポリマーから無色透明・高屈折率の高性能プラスチックガラスを作製することに成功しました.物性面では,CDやDVD表面の透明樹脂や新幹線N700系の窓などに利用されているポリカーボネートを凌駕する点も多く,さらに様々な高分子材料と優れた相溶性を示すことから今後、材料への応用が期待されます.熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂は1907年に実用化された人類最初の人工プラスチックですが、単独ではフィルム形成が難しくさらに着色が激しいため,高品質の熱可塑性高分子および光学材料のような高度な部材への応用展開は予想外でした.この成果は,高分子学会第58回年次大会の注目発表(約2100件の発表中9件)として選ばれ、5月14日の記者会見では東城君が研究発表を行いました.

 本研究のポイントは以下の通りです.

(1)
フェノールをデザイン(化学修飾)してから重合するという新概念のフェノール樹脂合成法
(2)
隣接基効果を用いて世界初の立体規則性フェノール樹脂の合成に成功
(3)
フェノール樹脂単独から無色透明なフィルムの作製に成功
(4)
ポリカーボネートを凌駕する光学物性(屈折率,複屈折,色収差)を実現
(5)
ポリカーボネートをはじめポリスチレン,ナイロン,ポリプロピレンなどと相溶性を示すマジックポリマーの開発に成功
(6)
ポリマーブレンドにより得られる透明樹脂は,自動車や新幹線等の窓用の高強度・軽量プラスチックガラスとして利用できる可能性を示した.低燃費化による二酸化炭素排出の削減に貢献
(7)
ナノコンポジット化することにより,衝撃強度の高い材料の作製に成功。自動車や輸送材料の軽量化と安全性向上に貢献する可能性
(8)
100年以上前に開発された人類最初の人工プラスチックに新しい視点から取り組み,ブレークスルーを達成したこと

 本研究は新エネルギー・産業技術総合研究開発機構(NEDO)の産業技術助成事業(若手グラント)の成果です.

 記者会見の内容に関しては,高分子学会第58回年次大会(神戸国際会議場)が中止となったため,秋の学会で詳細を発表する予定です。

フェノール樹脂の歴史

フェノール樹脂の歴史

新しいフェノール樹脂の一例

新しいフェノール樹脂の一例

今回開発した透明樹脂

今回開発した透明樹脂