研究

東工大ニュース

細胞分裂をひきおこす分子を解明 -癌や染色体異常の原因究明と治療に貢献-

2012.10.01

【要点】

  • 卵成熟/分裂期促進因子(MPF)の真実の姿を明らかにし、定説を覆す
  • 2001 年ノーベル医学生理学賞の主題の一つについて再考を提起

【概要】

東京工業大学大学院生命理工学研究科の岸本健雄教授らの研究グループは、細胞分裂の引金となる「MPF」(卵成熟/分裂期促進因子)の分子実体を突き止めた。従来、タンパク質リン酸化酵素「Cdk1」(サイクリンB-Cdk1)が MPF の実体とされていたが、同研究グループはそれだけでは不十分で、「Gwl」(グレイトウォール)という別のリン酸化酵素も必要であることを明らかにした。

これは MPF の分子実体について、その命名以来 40 年を経ての決着である。また MPF の分子実体は Cdk1 とする発見が 2001 年ノーベル医学生理学賞の主題の一つだったため、ノーベル賞に立脚した通念に再考と改訂を求める成果である。 Gwl はタンパク質リン酸化酵素に拮抗するタンパク質脱リン酸化酵素を抑える機能を持つ。細胞分裂ではもっぱらタンパク質リン酸化酵素が着目されてきたが、今回の発見はそれとは逆の効果を持つタンパク質脱リン酸化酵素の検討を促している。この視点の転回は、癌や染色体異常の原因究明と治療にインパクトを与えるものである。

この研究成果は、英国の科学誌「ネーチャー・コミュニケーションズ」に9月11日付けでオンライン掲載された。

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