研究

東工大ニュース

力触覚を正確に再現するハプティックインタフェースを開発-バーチャルリアリティを身近に体感-

2012.03.15

要約

東京工業大学精密工学研究所の佐藤誠教授らは、VR(Virtual Reality)空間の物体の力触覚を正確に提示できる新型のハプティックインタフェース(用語1)「SPIDAR-I」(用語2)を開発した。従来のSPIDAR の位置・姿勢計算アルゴリズムを再検討して新たに最適設計を行い、ストリング(ひも)内蔵型で操作性に優れたインタフェースを実現した。

SPIDAR-I は掌に納まるパームサイズでありながら、忠実性の高い位置・姿勢計算と高解像度の力覚提示を実現している。SPIDAR-I を用いることにより、デスクトップ環境でVR世界との3次元ハプティックインタラクションを身近に体験することができる。

この成果は、3 月15~16 日に日本科学未来館(東京・お台場)で開催されるインタラクション2012で発表および期間中デモ展示される。

研究の内容,背景,意義,今後の展開等

背景

近年、計算機性能の飛躍的な向上により、3次元VR 空間をリアルタイムにシミュレートすることが可能になってきた。そこで、3次元空間内の物体と力覚インタラクションができるハプティックインタフェースが注目され、研究が進められている。これらのデバイスは手術や工業製品の組み立てにおける訓練からエンターテイメントなど幅広い分野で使用されている。

研究の経緯

同教授らはハプティックインタフェースの開発に取り組み、80 年代後半に基本となる4 本のストリングによる張力駆動型ハプティックインタフェースSPIDAR を提案した。その後、計測及び力提示の自由度を並進と回転の6 自由度に拡張したSPIDAR-G を開発した。これは8本の高剛性ストリングの端をグリップ(把持部)と結び、もう一方の端を高性能DC モータと結んで、モータの制御により、力触覚情報を再現すると同時にモータに取り付けたロータリーエンコーダによりストリングの長さを計測しグリップの位置・姿勢を計測する仕組みである。
しかしハプティックインタフェースがよりリアルな感覚をユーザーに与えるためには、位置・姿勢・力覚計算の精度を十分に高くする必要がある。SPIDARはストリングを使用するという特性上、その配置・構造が忠実性に影響を与える。そこで、SPIDAR-G を基本に、位置・姿勢計算の忠実性と力覚提示の高解像度性を向上させる最適設計を行い、新しいインタフェースの構造を求めた。

研究成果

新しく開発したハプティックインタフェースSPIDAR-I は、従来のSPIDAR-G に比べて十分にコンパクト(体積にして約30%縮小)であるが、構造の最適化による位置・姿勢の計測精度と高解像度の力覚提示性能の向上により、従来のシステムと同等もしくはそれ以上の位置・姿勢計測と力覚提示が可能となった。
特に、グリップの内側にストリングが配置されているため操作性が極めて優れている。以上ことからデスクトップ環境のハプティックデバイスとしての大きな可能性を秘めている。

今後の展開

SPIDAR-I を用いることにより、バーチャルリアリティ世界との3 次元ハプティックインタラクションを身近に体験することができるので、様々な応用展開が期待される。

SPIDAR-I

用語説明

  1. (注1)
    ハプティックインタフェース:
    人間と機械の間を結ぶヒューマンインタフェースのひとつであり、位置入力だけでなく力情報のフィードバック機能を有する機器を指す。バーチャル世界で物体を自由に操作しその物体の重みや障害物と衝突したときの感触をユーザに提示することができる。
  2. (注2)
    SPIDAR:
    グリップ、フレーム、ストリングで構成された張力駆動型ハプティックインタフェース。並進3軸及び回転3軸合わせて6自由度の位置・姿勢計測と力覚提示が可能。本学精密工学研究所において提案、開発された。

問い合わせ先

東京工業大学 精密工学研究所 教授 佐藤誠

Email: msato@pi.titech.ac.jp

TEL: 045-924-5050

FAX: 045-924-5016

本件に関するお問い合せ先
佐藤誠
精密工学研究所 教授
電話: 045-924-5050   FAX: 045-924-5016
E-mail: msato@pi.titech.ac.jp