研究

東工大ニュース

2次元性エレクトライドを発見

2013.01.31

1) 電子が陰イオンとなっている電子化物(エレクトライド)で、電子が2次元の隙間に存在する物質を発見
2) カルシウム(金属元素)と窒素(電気を流さない)との化合物で、カルシウム金属より高い電気伝導度を実現
3) 電導電子が空間的隙間に存在するため極めてスムーズに可動(金属では原子核により抵抗を受ける)
4) ありふれた元素から構成される物質で銀や銅に匹敵する電導性を持つ物質がナノ構造の工夫で実現できることを明示(元素戦略)

【概要】
東京工業大学フロンティア研究機構の細野秀雄教授(元素戦略研究センター長兼任)と李氣汶(イ・キムン)博士らは、Ca2Nという化学式をもつ層状構造化合物が、新しいタイプのエレクトライド(電子化物)であることを発見した。
一般に結晶は陽イオンと陰イオンとからなる。この陰イオンの役割を電子が担う物質がエレクトライドである。細野グループは、最大の課題であった室温以上・大気中でも安定なエレクトライドを2003年にC12A7(12CaO・7Al2O3)を用いて実現し、それ以降、電子放出源、アンモニア合成触媒などへの応用を報告してきた。
エレクトライドは、電子が存在する場所はケージ(0次元)構造に限られていた。同グループは,コンセプトを拡張し、電子が2次元の隙間に存在する物質を探索していた。その際に、注目した候補物質がCa2Nであった。この物質は結晶構造も既知であったが、試料に問題が多く、固有の物性を評価ができていなかった。このため、Ca2Nがエレクトライドとして認識されることはなかった。
今回、同グループは、その結晶構造(図1)から、これが[Ca2N]+で構成される層同士を層間に存在する電子が結び付けているエレクトライドではないかと考え、研究をすすめた。合成法の工夫によって高純度な試料を合成し、単結晶の作製にも成功した。これを使って、電子・磁気・光学物性測定の測定を行い、その結果と理論計算から、すべての電子(e-)が層間に存在し、[Ca2N]+・e-という示性式で示される2次元のエレクトライドであることを発見した。この物質は試料全体が2次元電子ガスの結晶と見倣すことができ、電子が極めて動きやすいので、金属カルシウムよりも高い電気伝導度を示す。エレクトライドはC12A7のようにユニークな物性を有するので、高伝導性や触媒などいろいろな応用が期待される。
この成果は文部科学省元素戦略プロジェクト(拠点形成型)、および内閣府最先端研究開発プログラム(FIRST)により実施され、1月31日に英国科学誌Natureにてオンライン公開される。

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