東工大ニュース
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理工学研究科応用化学専攻の大友明教授が第12回船井学術賞を受賞しました。
船井学術賞は情報技術、情報科学に関する研究について顕著な功績のあった者を褒賞し、わが国の情報技術、情報科学に関する研究の向上発展に寄与することを目的としており、国内の大学あるいは公的研究機関に所属する39歳以下の研究者を対象としています。
大友明教授
【研究題目】 透明酸化物半導体界面の高品質化と量子化伝導に関する研究
【業績概要】 「大友氏は、ZnO やSrTiO3 などのありふれた金属酸化物を用いて、極めて高品質の透明酸化物半導体界面を作製し、量子伝導現象を観測した。従来、GaAs やSi などのクリーンな半導体界面だけで量子ホール効果のような量子伝導の実現が可能であり、金属酸化物のようなダーティーな系では量子伝導が実現するとは全く予想もされていなかった。大友氏の行った研究は、酸化物の多様な機能を活用する新しいエレクトロニクス誕生への貴重なマイルストーンであると世界的に広く認知されている。また、このようなクリーンな界面を作製するために、大友氏は材料開発や薄膜技術の向上に非常に多大な貢献をしている。さらに、界面に電子を閉じ込め2次元電子を形成する原理が、通常の半導体ヘテロ構造とは全く異なっており、酸化物に特徴的な新原理を開拓した。」
今回の受賞をうけ、大友教授は次のようにコメントしています。
「大勢の方々のご支援の下、セラミックス材料で電子デバイスをつくることを目的に長年続けてきた研究を、広い視点で情報技術の発展につながるものとして評価いただきました。化学はものづくり、物理学はものわかりの学問とよく言われますが、今後も「つくる・測る・わかる」のステップで、研究室の仲間とともに使える材料を生み出していきたいと思います。船井情報科学振興財団は、大学を卒業し海外の大学院でPh.D.取得を目指す日本人学生を支援する奨学金制度などの奨学事業を行っています。褒賞式の会場で、実際に今年度派遣される大学院生に会う機会があり、彼らの志に強い印象を受けました。その出来事からも、今回の表彰を励みに若手研究者の育成により一層力を注いでいきたいと思っています。」
船井学術賞についてはこちら⇒ http://www.funai.or.jp/sinko/hosyo.html