研究

東工大ニュース

地球と金星は異なるタイプの惑星か?--地球型惑星の2つの進化類型を解明

2013.06.03

発表者

濱野景子 (東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 特任研究員)
阿部豊  (東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 准教授)
玄田英典 (東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻 特任助教(当時);
      現:東京工業大学地球生命研究所 研究員)

要 点

どのような成果を出したのか
地球型惑星が、早く冷却固化して海を形成するものと、長い間溶けたままでその間に水を失い干からびるものとの2タイプに、軌道によって分かれることを世界で初めて示した。
新規性(何が新しいのか)
今まで惑星の冷却速度は惑星質量で決まると考えられてきた。本研究では、形成直後の惑星の冷却と大気との形成・進化を整合的に検討し、初期進化が軌道によって非常に大きく異なることを明らかにした。
社会的意義/将来の展望
地球と金星がもともと全く異なるタイプの惑星である可能性を指摘し、さらに惑星の多様性の起源について全く新しい視点を提案した。また、この宇宙には形成後ずっとマグマに覆われた惑星が普遍的に存在する可能性が示唆される。

概 要

地球や金星などの地球型惑星の初期進化は、ほぼ全てが溶融したマグマの海(マグマ・オーシャン)の冷却固化が主要過程であると考えられている。固化の時間は惑星質量で決まり、現在は全く異なる姿であるが質量は同程度である地球と金星も、初期進化は似ていたと理解されてきた。

東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻の濱野特任研究員と阿部准教授、玄田特任助教(現:東京工業大学地球生命研究所 研究員)は、マグマ・オーシャンの固化、内部からの脱ガスと惑星外への散逸による大気量変化、さらにそれに伴う大気構造の進化とを組み合わせた結合モデルを用いて、固体惑星の冷却と大気の量や構造の変遷とを整合的に検討した。その結果、地球型惑星の初期進化が軌道によって大きく異なり、ある軌道を境に、短い時間で固化して海を形成する惑星(タイプI)と、固化に非常に長い時間を要しその間に水を失う惑星(タイプII)との2つに分かれることを世界で初めて示した。

本研究成果は、地球はタイプIに属するが、太陽に近い金星は地球とは異なるタイプIIの惑星である可能性があり、地球と金星の違いは軌道の差によって、初期進化過程で生じたという新しいシナリオを提示した。これは惑星の多様性の起源への新しい視点であり学術的に大きな意義を有している。また、タイプIIの惑星では形成時の水量に応じてマグマ・オーシャンの継続時間が長くなる。これは系外惑星系には形成後ずっとマグマに覆われた惑星が普遍的に存在する可能性を示唆している。

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