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鳥人間コンテスト2013優勝!Meister インタビュー

2013.09.05

9月4日に日本テレビ系列で放送された「第36回鳥人間コンテスト2013」。東京工業大学ものつくりサークル"Meister(マイスター)"が人力プロペラ機・ディスタンス部門に出場し、飛行距離20,399mで見事優勝を果たしました。Meisterは同大会本選にこれまで18回出場しています。3大会ぶり、5度目の優勝です。

今回はMeister(人力飛行機部門)の優勝メンバーの皆さんに、制作からフライト当日までを振り返っていただきました。


部室の前で、表彰状と共に

主将(代表) 木崎一宏さん (制御システム工学科3年生)
設計(全体設計) 渡邉郁弥さん (制御システム工学科3年生)
パイロット 齋藤 圭汰さん  (化学科3年生)
プロペラ班リーダー(主任) 森 義樹さん (機械科学科3年生)
プロペラ班設計 三原昴大さん (情報科学科3年生)
翼班設計 室伏梨穂さん (制御システム工学科3年生)
翼班メンバー 小畑明穂さん (機械知能システム学科3年生)

フライトを終えて、また優勝という結果について、率直な感想を聞かせてください。


木崎さん

木崎:まずはストイックに制作に打ち込んだ1年間が報われたという気持ちです。Meisterでは2年生の夏から3年生の夏をメインに活動します。人力飛行機については40名ほどが関わっていて、週6~7日は活動しています。みんなのいいところを出し合って、満足できる結果を得ることができました。

今年の機体の特徴はどんなところですか。


全体設計: 渡邉さん

渡邉:今回意識したのは「パイロットにやさしい機体」ということです。フライトの時にはパイロットが主役ですから。空力などの性能については、Meisterの機体は過去の積み重ねからかなり洗練されています。今回はこれまで十分に気を配ってこなかったところに取り組みました。たとえばパイロットが座るシートの位置は、数ミリずれるだけでまったく感覚が変わるんです。シートとぺダルをどんな位置にしたら良いのか、自転車屋さんと相談したりして改善してきました。 他には、初めての取り組みとして、フライトシミュレータをOBの協力のもとで自作しました。人力飛行機ならではの不安定な挙動を再現することで、パイロットのイメージづくりを助けることができたと思います。

設計や製作に必要な知識はどうやって仕入れるのでしょうか。

渡邉:残念ながら東工大には航空工学科が無いので(笑)自分で本を読んで勉強です。鳥人間業界で有名な本を参考にしたりします。
三原:プロペラ班では、設計から推力だけを要求されます。要求された値を実現するために、航空力学の英文の論文をひいてきて読んだりします。

制作の上で苦労した点はどんなところですか。

:・・・いっぱいあるよね(笑)
室伏:翼(ヨク)のポイントはいかに折れにくく、かつ軽くできるかということです。翼班ではスタイロフォーム(翼に張るスチロールの板)を1.2ミリの厚さに削る手作りのスライサーを代々使っているのですが、この機器の調子が悪くて徹夜の作業になったりしました。
:プロペラ班では、制作に使う型の作り方を従来と変えたこともあり、型がうまく仕上がらないことがありました。型を手作業で削ったり、修正するのには苦労しました。
木崎:作る数は部品によっていろいろです。4月から6月末かけて、テストフライトを繰り返し行いますが、桁(けた:飛行機の骨組み)や翼は損耗するので修理しながら使います。プロペラは4枚くらい作りますし、フェアリング(コクピット周りを覆う発泡スチロール製の外装)については、テストフライト期間はテープで補強しながら使い、本番用にもう1台新しいものを作ります。


プロペラ班: 森さん(左)・三原さん(右)

■20 kmのフライトを振り返って

大会当日のフライトはいかがでしたか。


優勝カップをかかげる斎藤さん

木崎:気象条件が非常に良かったです。当日(7月28日)午前9時の天気は曇り、気温は30℃くらいでした。本来は7番目に飛ぶ予定でしたが、直前に順番が繰り上がって6番目のフライトでした。ちょうど凪で、絶好の条件で飛ばすことができました。自作の高度計が不調だったり、GPSが利かなくなったり、途中から交信もできなくなるなど、トラブルもありましたけど。通常は高度5~6 mでの飛行ですが、14 kmあたりでは高度1.5 mくらいで飛んでいたと思います。
小畑:途中で少し着水したりして、ハラハラでした(注:機体の一部が着水しても再び浮き上ればセーフ)。
木崎:スタートして数キロのところで、メンバーが待機しているプラットホームからは機体は見えなくなります。小さなモニター越しに応援します。
最終的には折り返しの途中で落ちてしまいましたが、テストフライトでは折り返しの練習ができないという事情もあります。旋回半径が80 mくらいあるので、滑走路では危なくて無理なんです。パイロットはよくやったと思っています。途中にある島を回避したり、うまく操縦していました。

渡邉:ボートで落下地点に迎えにいったとき、パイロットがすごい勢いで泣いていて、どう声をかけていいか困りましたけど(笑)。パイロットは2時間漕ぎ続けられるように1年間ストイックにトレーニングを積んでいたし、足もつっていなかったので、まだまだ行けたという気持ちがあったんだと思います。


大会当日

木崎:力をつけるトレーニングと長時間漕ぎつづけられるスタミナをバランスよくトレーニングするのは大変だったようです。部室でもくもくとエアロバイクを漕いでいる姿をよく見かけました。ずっと禁酒生活だったしね。
小畑:Meisterのスキー旅行にもケガを心配して行かなかったくらいでした。
木崎:今頃は海外で羽を伸ばしていると思います(笑)。

■Meisterの学生生活

学生生活についてお聞きします。学業との両立や進路についてはどうですか。

一同:勉強か・・・(笑)
木崎:テストやレポートなどはみんなで協力して乗り切っています。機械宇宙などの授業は課題が多くて大変ですが、その分野に強いメンバーが多いので、相談しながら対策できるのはいいところだと思います。
ここにいるメンバーは全員修士課程に進学する予定です。専攻はバラバラですし、Meisterで得た知識が直接は使われないと思いますが。
ただMeisterとして経験したことは、必ずどこかで活きると思っています。僕はMeisterで代表をやってみて、人をまとめる仕事に面白さを感じているし、将来はそういう職業に就きたいと思っています。
渡邉:これから研究室に入ると忙しくなりますが、OBの方からも「Meisterより忙しいことはないから!」と言われているのできっと大丈夫です(笑)


翼班: 小畑さん(左)・室伏さん(右)

■未来のMeisterたちへ

みなさんは今回のコンテストで引退ですが、3年間の活動を終えた心境を聞かせてください。

木崎:活動を通して、ものつくりセンターの教職員の方をはじめ、OBの方や企業の方など、たくさんの人にお世話になりました。協力することの大切さを実感できました。メンバーの良いところを出し合えたおかげで、満足できる結果を出せたと思います。
渡邉:正直に言って、こんなに暇な夏休みは初めてなので、これでいいのかなぁと。
室伏:満足する引退です。1年生とも仲良くなれましたし。今度からOGとして差し入れを持っていきます。
:1年生の時は辞めたいくらいきつかった時もありましたが・・・
小畑:1年生が来なくなっちゃうから、そういうのやめて(笑)
:でも慣れてからは楽しかったし、大変だからこそ満足できています。

最後に、未来のMeisterたちへメッセージをお願いします。

木崎:何かに夢中になりたい人にはぴったりの場所です。大勢でわいわい作業する翼班や、流体計算で貢献できるフェアリング班のように、いろいろな人が集まって、みんなでいい方向に向かっていきます。アイデアが現実になるまでのプロセスと、達成感を味わってほしいと思います。
小畑:優勝はそのおまけですよね。
渡邉:なにより「人が乗る飛行機を作る」なんて、普通は一生できない経験ですから。

引退した3年生に代わり、これからは2年生がメインに活動します。8月末からは、来年のコンテストに向けて泊まり込みの作業をするメンバーも。Meisterたちの次の挑戦は既に始まっています。


プラットフォームからテイクオフ

Meister(人力飛行機部門)2~3年生メンバーの年間スケジュール

パイロットは1年間を通じてトレーニングを積み、設計通りの出力で2時間は漕ぎ続けられる体力とパワーを身につけることが要求される。

8月-9月 ・前年の反省点を活かして機体の設計
・試験翼、プロペラの型などを制作
・翼の負荷テスト など
10月-3月 ・テストフライト用の部品を制作
 プロペラなど、部品によっては複数制作する
4月-6月 ・空港の滑走路にてテストフライト
 テストフライトは金曜深夜〜土曜早朝にかけて
 行われる。今年は 7回のテストフライトを行った。
7月 ・コンテスト本番

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