研究

東工大ニュース

魚が淡水中のわずかな栄養素を取り込む機構を解明

2014.02.24

要点

  • 淡水魚はえらを介して淡水中のわずかなナトリウムイオンを栄養素として取り込む
  • ナトリウムイオン吸収はアンモニウムイオン排出と交換で行われ、今回、その交換輸送を担うタンパク質 (交換輸送体) を特定
  • 魚類の淡水適応機構の解明、ヒト腎臓のアンモニア排出機序理解の手がかりになる

概要

東京工業大学とメイヨー医科大学 (米・ミネソタ州) の研究グループは、淡水魚のえらで働くNa+/NH4+ 交換輸送体を初めて特定し、その活性を明らかにしました。淡水魚のえらは淡水中のわずかなイオンを栄養素として吸収することができます。淡水からのNa+ 吸収はNH4+ 排出と交換で行われるという説が70年前に提唱されましたが、その分子実体は特定されておらず、長い間専門家の間で議論されてきました。今回、ゼブラフィッシュのえらに発現するNa+/H+ 交換輸送体 (NHE3) をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させて活性を解析し、NHE3はNa+/NH4+ 交換輸送体としても機能すること明らかにしました。この結果は、排泄物の排出 (NH4+) と交換に栄養素 (Na+) を吸収する優れた省エネシステムとしてNHE3が機能することを意味し、魚類の淡水適応機構や進化のさらなる解明も期待されます。

掲載雑誌名、論文

掲載雑誌:
American Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology
表題:
Na+/H+ and Na+/NH4+-exchange activities of zebrafish NHE3b expressed in Xenopus oocytes
DOI番号:
要旨:

図 NH4+、CO2排出が淡水産硬骨魚のNa+、Cl- 吸収に変換される仕組み。

図 NH4+、CO2排出が淡水産硬骨魚のNa+、Cl- 吸収に変換される仕組み。赤字は本研究で活性が明らかになった経路で、それ以外は他の報告による。排泄物として体内で生じたCO2やNH3はえらにおいて脂質膜やガスチャネルを介して排出されると考えられるが、Na+、Cl- 取り込みの駆動力にもなる。NH4+ は体液側細胞膜(basolateral膜)のK+ channelやNa+/K+-ATPase からも取り込まれる。NHE, Na+/H+ exchanger 3; AE, anion exchanger; NKA, Na+/K+-ATPase。

お問い合わせ先
大学院生命理工学研究科 生体システム専攻 助教 加藤明
TEL 045-924-5726 FAX 045-924-5824
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