東工大ニュース
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公開日:2014.04.11
東京工業大学大学院理工学研究科の中村隆司教授と理化学研究所(理研)の研究グループは、中性子が非常に多い原子核でみつかっている「中性子ハロー(用語1)」「魔法数(用語2)の消失」、「強い変形」という3つの特異構造が、重いネオン同位体(用語3)「ネオン31」(31Ne)にすべて発現していることを定量的に明らかにし、これを統一的に理解することに成功した。
この研究は東工大、理研のほか、ソウル国立大学(韓国)、サレー大学(英)、日本原子力研究開発機構、カン素粒子原子核研究所(LPC-CAEN)(フランス)、東京大学原子核科学研究センター(CNS)、東京理科大学と共同で行った。研究成果は4月7日に米国物理学会の学術誌「フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)」電子版に掲載された。
用語説明
(1) 中性子ハロー
1個または2個の中性子が芯原子核から外にしみだして薄く雲のように大きく拡がった状態(図1は31Neの例). 中性子が非常に多い原子核に10種程度みつかっている。31Neはその中で最も重い原子核である。なお、日常用語としてのハロー(Halo)は日本語では暈(かさ)と呼ばれ、薄曇りの日に太陽や月に現れる光の環を指す。
(2) 魔法数
原子核は特定の中性子数や陽子数を持っていると、殻が閉じることにより、球形になり、より安定になる。安定核で知られている魔法数は2, 8, 20, 28, 50, 82, 126である。この機構はマイヤーとイェンゼンによって発見され、彼らはこの業績により1963年にノーベル物理学賞を受賞している。最近の不安定核の研究から、従来知られていた8や20などの魔法数が消失する一方、新しい魔法数も幾つかみつかり注目されている。
(3) 同位体
陽子数が同じで中性子数が異なる原子核(または原子)を同位体と呼んでいる。観測されているネオンの同位体は最も軽いものが17Ne(ネオン17)で最も重いものが34Ne(ネオン34)である。また、天然に存在するネオンの安定同位体は20Ne(ネオン20)、21Ne(ネオン21)、22Ne(ネオン22)の3種である。
Deformation-Driven p-Wave Halos at the Drip Line: Ne 31, T. Nakamura et al., Phys. Rev. Lett. 112, 142501 - Published 7 April 2014