研究

東工大ニュース

導電性ナノファイバーネットワークを利用したフレキシブルで割れない透明導電フィルム

2014.07.10

概要

東京工業大学の松本英俊准教授、戸木田雅利准教授、坂尻浩一特任准教授、東啓介院生らの研究グループは、簡便かつ安価な製造法で得られるフレキシブルで割れない透明導電フィルムを開発した。

研究の背景

透明導電フィルムは、光と電気を通すことのできるフィルム材料であり、ディスプレイや太陽電池などのデバイスで用いられている。現在、利用されている酸化インジウムスズ(ITO)はコストが高く供給量に限界があり、脆弱で曲げ耐性もないため、代替物材料が強く求められている。

研究成果

エレクトロスピニング法(用語1)によって作製される髪の毛の100分の1~1000分の1の細さを持つ繊維「ナノファイバー」をマスクとして、金属蒸着フィルムをエッチング処理する、超薄型、軽量、フレキシブルで割れない透明導電フィルムの作製方法を初めて確立した。これまでにITOと同等の高い可視光透過率(80%)と高い導電性(45Ω/sq=表面抵抗率)を示す高分子フィルムの作製に成功している。このフィルムの表面には、アルミニウムナノファイバーからなる導電性ネットワークが形成されており、ナノファイバーとフィルムの密着性も良好である。フィルムの光透過率と導電性はファイバー径とネットワーク構造の制御によってカスタマイズすることができる。導電材料としてアルミニウムを用いることで既存のITO代替技術より低コストで透明電極フィルムを作製できることも大きな強みである。アルミニウム以外の金属の利用も可能である。

今後の展開

我々の開発した透明導電フィルムは、ITO代替材料としてデバイスの低コスト化に寄与するだけでなく、将来的にはフレキシブルデバイスを含む携帯から大型パネルに至るまで各種電子デバイスへの応用が期待できる。具体的には、薄型テレビ、インタラクティブタッチパネル、スマートフォン、タブレット端末、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子、電磁シールド、機能性ガラスなどが有望な用途である。

用語説明

(用語1) エレクトロスピニング法
数千~数万ボルトの高電圧を利用した超極細繊維の連続紡糸技術。常温、大気圧という穏やかな条件下で髪の毛の100分の1~1000分の1の細さを持つ繊維「ナノファイバー」の製造が可能。

導電性ナノファイバーを利用したフレキシブルで割れない透明導電フィルム
導電性ナノファイバーを利用したフレキシブルで割れない透明導電フィルム

エレクトロスピニング法を用いた金属蒸着フィルム表面へのナノファイバーマスクの作製
エレクトロスピニング法を用いた金属蒸着フィルム表面へのナノファイバーマスクの作製

導電フィルム表面のアルミニウムナノファイバーネットワーク
導電フィルム表面のアルミニウムナノファイバーネットワーク

論文情報

論文タイトル:
Facile fabrication of transparent and conductive nanowire networks by wet chemical etching with an electrospun nanofiber mask template
雑誌名:
Materials Lettes
DOI:
執筆者:
東啓介、坂尻浩一、松本英俊、姜聲敏、渡辺順次、戸木田雅利
所属:
大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻

お問い合わせ先

大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻
准教授 松本英俊
TEL/FAX: 03-5734-3640
Email: matsumoto.h.ac@m.titech.ac.jp

同専攻 准教授 戸木田雅利
TEL: 03-5734-2834 FAX: 03-5734-2888
Email: mtokita@polymer.titech.ac.jp