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東工大の学生が開発した超小型人工衛星"TSUBAME"宇宙へ向けて旅立つ

2014.10.21

「宇宙開発」というと、国際宇宙ステーションのような大型宇宙建造物がすぐに思い浮びますが、東工大にはそのまったく逆を行く、「超」小型衛星の開発に情熱を燃やす学生たちがいます。

松永三郎 連携教授(大学院理工学研究科機械宇宙システム専攻)、谷津陽一 助教(同 基礎物理学専攻)と、東京理科大学の木村真一 教授のチームが開発した人工衛星 "TSUBAME" は、東工大として4機目となる大学発の超小型衛星であり、独自に開発した高速姿勢制御装置を軸とした新しい地球観測技術の実証、超小型衛星を用いた本格的な宇宙観測の実現を目標としています。通常の衛星が1トンを超えることも多いのに対し、超小型衛星は100kgを下回るような規模の衛星を指します。今回取り上げる"TSUBAME"は、50cm四方、50kg級の衛星です。

衛星組み上げを行う相模原市 宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所には、不眠不休で黙々と最終調整を行う学生たちの姿がありました。

この衛星は、東工大松永研が世界ではじめての超小型衛星CUTE-Iを打ち上げた翌年に、松永研・河合研チームが衛星設計コンテストに出品し、見事設計大賞に輝いた「偏光X線観測衛星 燕」が設計のベースになっています。CUTEシリーズ開発の背後で要素技術開発が進められ、2010年からは実際に打ち上げるフライトモデルの開発が始まりました。

CUTE-Iの打ち上げから11年、「大学生が人工衛星をつくるのはもはや当たり前」という時代を東工大の学生たちが切り開いてきました。その彼らにさえも、新規技術満載のTSUBAME開発は「実現不能」と思われるほどの過酷を極めましたが、構想から10年の歳月を経てついに宇宙へ向けて飛び立ちます。

TSUBAME本体。4枚の太陽電池パネルが取り付けられています

TSUBAME本体。4枚の太陽電池パネルが取り付けられています

TSUBAME軌道上イメージ図

TSUBAME軌道上イメージ図

衛星軌道上での天体観測シーケンスを確認する学生たち
フライトピンを外す(衛星の主電源スイッチを入れる)TSUBAMEプロジェクト・マネージャーの松下君(修士2年)

(左)衛星軌道上での天体観測シーケンスを確認する学生たち。(右)フライトピンを外す(衛星の主電源スイッチを入れる)TSUBAMEプロジェクト・マネージャーの松下君(修士2年)

開発に参加した学生の中には、工学部機械宇宙学科の授業「機械宇宙プロジェクトA」で、超小型人工衛星プロジェクトを経験した人もいました。

最終テストを終えたTSUBAMEは無事、完成しました。打ち上げは10月末以降の予定です。

輸送前のTSUBAMEを囲んで

TSUBAMEには、この衛星のために開発された機器が複数搭載されています。

  • 超小型コントロールモーメントジャイロ(CMG)
    CMGとは、回転するコマの軸の向きを変えることでトルクを発生し、衛星の姿勢制御を行う機器のことです。従来、国際宇宙ステーションなどの大型構造物に搭載されてきた実績がありますが、松永研では、超小型衛星にも搭載できるような超小型CMGを新規開発し、TSUBAMEによって軌道上での動作を実証する予定です。
  • X線偏光観測装置
    数十億光年という遙かかなたの宇宙でブラックホールが誕生する時に放射される強烈なガンマ線閃光現象「ガンマ線バースト」を観測します。主検出器であるX線偏光観測装置は世界でもほとんど例のないX線エネルギーバンドにおける偏光観測という新しい観測手法により、ブラックホール誕生の瞬間に迫ります。
  • 地球観測用高解像度可視光カメラ
    地球の一点を継続監視して地上・海洋・雲などの高解像度画像を撮影します。CMGを用いて必要なポイントを向くことが可能で、災害監視などへの応用が期待されます。

搭載機器とミッションの詳細は、リンクよりご覧ください。