東工大ニュース

第4回ELSI国際シンポジウム 一般向け講演会「宇宙に生命を探して」開催

RSS

公開日:2016.03.02

1月12日、東工大くらまえホールにて、第4回ELSI国際シンポジウム一般向け講演会「宇宙に生命を探して - Does water define a planet's habitability? -」を開催いたしました。

シンポジウムの様子
シンポジウムの様子

東京工業大学地球生命研究所(ELSI)では、年1回国際シンポジウムを開催しており、国内外から地球と生命の起源と進化に関わる研究者たちが大勢集まります。一般向け講演会は昨年度から始まったもので、ELSIの研究やこの分野の最新の話題について分かりやすくお伝えするために行っています。

今回の講演会では募集定員150名を超える申込みがあり、会場は満席となりました。東工大地球惑星科学科の臼井寛裕助教と、ワシントン大学/NASAアストロバイオロジー研究所のヴィクトリア・ミードウズ教授をお招きし、同時通訳を利用して講演を行いました。

臼井寛裕助教
臼井寛裕助教

臼井助教は「火星の水の歴史」について、最新の火星研究によって得られたデータを用いながら話しました。

まず初めに、観客にいくつかの天体の図を見せて、その中から火星を選んでもらいました。実際は、全ての図が別々の年代の火星を表したもので、火星は環境の変動が激しく、どろどろのマグマのかたまりであったり氷河で覆われていたりと、過去にはさまざまな姿をしていたと語りました。

火星の気候変動の歴史を読み解くには、岩石の調査が有効です。火星の探査が進んだことで、火星の岩石に残された水の跡や、そこから川の流れの強弱なども分かります。実際に過去には火星に海が存在し、出来ては消えを繰り返していたことも分かりました。

臼井助教の講演
臼井助教の講演

臼井助教は「火星の水の歴史」について、最新の火星研究によって得られたデータを用いながら話しました。

まず初めに、観客にいくつかの天体の図を見せて、その中から火星を選んでもらいました。実際は、全ての図が別々の年代の火星を表したもので、火星は環境の変動が激しく、どろどろのマグマのかたまりであったり氷河で覆われていたりと、過去にはさまざまな姿をしていたと語りました。

火星の気候変動の歴史を読み解くには、岩石の調査が有効です。火星の探査が進んだことで、火星の岩石に残された水の跡や、そこから川の流れの強弱なども分かります。実際に過去には火星に海が存在し、出来ては消えを繰り返していたことも分かりました。

また、日本では2022年に始まる火星の衛星フォボスのサンプルリターン計画※1が進んでおり、臼井助教もこの計画に参加予定です。火星衛星の起源、火星の形成、火星の水の起源などを明らかにすることを目指していると目標を語りました。

ヴィクトリア・ミードウズ教授
ヴィクトリア・ミードウズ教授

続いて、ヴィクトリア・ミードウズ教授が、太陽系外惑星の生命探査について話しました。

NASAのケプラー望遠鏡は、ここ数年で1000以上もの系外惑星を発見しました。

発見された系外惑星の多くは、地球とは全く違った環境で、太陽系の天体とは違う動きをしていました。地球や太陽系天体とは違う系外惑星の観測をすることで、生命が生まれそれを育むための温度、水、大気の条件が分かれば、地球は宇宙の中で特別な存在で地球にしか生命はいないのか、あるいは地球のような天体は宇宙にはたくさんあるのかといった、地球の特殊性と普遍性を知ることができるかもしれないと話しました。

ミードウズ教授の講演
ミードウズ教授の講演

NASAが計画しているトランジット系外惑星探索衛星(TESS)では、今まで以上に広い範囲で系外惑星を探し、それらの質量、サイズ、密度などをより正確に知ることが出来る予定です。また、JWSTミッション※2では、赤外線を用いて系外惑星の大気の化学組成を調べます。

ミードウズ教授は、どういった天体が生命を育むのに最も適した環境なのか、また、生命が存在する場合はどのようなシグナルがあり、どうやってそれをキャッチするかを探りたいと語りました。

一般向け講演会のテーマは、国際シンポジウムの主題に合わせて決めており、今回は宇宙における生命の可能性やその探査についてをテーマとしました。シンポジウムの主題は毎年変えていて、来年はまた別のトピックを取り上げます。一般向け講演会でも最新の研究成果や話題を提供する予定ですので、ご期待ください。

※1
火星衛星フォボスのサンプルリターン計画 : JAXA(宇宙航空開発機構)が計画している、2022年に火星の衛星「フォボス」に向けて探査機を打ち上げるミッションで、打ち上げには新型ロケット「H3」が利用される予定。火星の進化や衛星の起源を探るため、石や砂を採取し、打ち上げの約3年後に地球に持ち帰る計画である。
※2
JWSTミッション : アメリカのNASAによるミッションで、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)は、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として、2018年打ち上げを目標に開発が進められている。

お問い合わせ先

地球生命研究所 広報室

Email : pr-mail@elsi.jp
Tel : 03-5734-3163

RSS