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東工大が第25回地球環境大賞を受賞

2016.03.22

東京工業大学を含むECM共同研究開発チームが第25回地球環境大賞 日本経済団体連合会会長賞を7者と共同受賞しました。

株式会社竹中工務店、鹿島建設株式会社、株式会社デイ・シイ、日鉄住金高炉セメント株式会社、国立大学法人東京工業大学、太平洋セメント株式会社、日鉄住金セメント株式会社、竹本油脂株式会社

フジサンケイグループ主催の地球環境大賞は、「産業の発展と地球環境との共生」を目指し、産業界を対象とする顕彰制度です。地球温暖化防止や循環型社会の実現に寄与する新技術・新製品の開発、環境保全活動・事業の促進や、21世紀の社会システムの探求、地球環境に対する保全意識の一段の向上を目的としています。

受賞理由

ECM(エネルギー・CO2・ミニマム)セメント・コンクリートシステムの開発

「ECMセメント」を開発し、「ECMコンクリート・地盤改良体への適用技術」を確立したことで、従来に比べ建設時のCO2の大幅な削減が可能となり、低炭素社会の実現、サステナブル社会の構築へ大きく貢献できる点が評価されました。

ECMセメント
ECMセメント

開発の背景

コンクリートの主要な材料であるセメント(普通ポルトランドセメント)は、製造時に石灰石などの原料を高温で焼成するため、多くのエネルギーを必要とするほか、大量のCO2が発生します。セメントの製造にかかるCO2排出量は我が国全体の3%強を占めていることから、セメント製造に係る低炭素化が喫緊の課題となっていました。

「ECMセメント・コンクリートシステム」の概要

ECMセメントを用いた構造体

ECMセメントを用いた構造体

国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の助成のもと、鉄鋼製造副産物の高炉スラグ微粉末を60~70%混合する「ECMセメント」を開発すると同時に、コンクリート・地盤改良体構造物へ使用する汎用的な建設技術システムを構築しました。「ECMセメント」は環境性能に優れる一方で、長期耐久性や安定性など検証すべき課題がありましたが、今回の研究で従来セメントの製造時のCO2排出量を6割以上削減することに成功しました。「ECMセメント」を用いたコンクリート構造体、地盤改良体の開発により従来構造物より3~6割のCO2削減が可能となりました。セメントの材料成分・構成の最適化や、新規の化学混和剤の開発を行い、構造物への適用に向けてのコンクリート・地盤改良技術を開発することで、従来の品質・性能上の課題を解決しました。

2020年から開発成果を段階的に公開し、25年には一般公開する計画です。事業化と市場の確立が実現できれば、年間1,000万トンの供給可能量に対し、 20年には利用量110万トン(45万t-CO2削減)、30年には440万トン(180万t-CO2削減)までの普及拡大が予想されます。

ECMコンクリート打設状況
ECMコンクリート打設状況

今回の受彰を受けて、研究開発に関わった本学大学院理工学研究科材料工学専攻 坂井悦郎教授は以下のようにコメントしています。

この研究は、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の助成のもと、先導研究(自 2008年6月23日 ~ 至 2011年 2月28日:通算期間 2年8ヵ月)および実用化開発(自 2011年8月10日 ~ 至 2014年2月28日:通算期間 2年7ヵ月)として実施したものです。鉄鋼製造の副産物の高炉スラグを60~70%混合する「ECM(エネルギーCO2ミニマム)セメント」を開発すると同時に、コンクリート・地盤改良体構造物へ使用する汎用的な建設技術システム(ECMセメントコンクリートシステム)を構築しています。「ECMセメント」は環境性能に優れる一方で、長期耐久性や安定性など検証すべき課題が多くありましたが、今回の研究では、これらの問題点を解決し、従来セメントの製造時のCO2排出量を6割以上削減できる技術を開発しました。基礎研究の大学および材料製造会社と使用者である建設会社が連合し材料開発から実用化研究までを一貫してグループとして実施したことが特徴です。日本でも例を見ない研究体制です。材料、施工、構造と統合的な検討を行うために個別の検討会と総合検討会を組織し、綿密な情報交換を行って研究を進めたことが早期の実用化に結びついていると思います。なお、現在は日本スラグセメント・コンクリート研究会を組織し、本技術の普及活動を行っています。また、既に、この技術研究開発は、平成27年度地球温暖化防止活動環境大臣賞(技術開発・製品化部門)を受賞しています。

お問い合わせ先

理工学研究科 坂井悦郎

Email : esakai@ceram.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3368