東工大ニュース
東工大ニュース
3月5日、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにおいて、博士課程教育リーディングプログラム「第1回ビジネス構想コンペティション~学生と企業人との協創~」を開催しました。文部科学省大学振興課と本学の4つの博士課程教育リーディングプログラム「環境エネルギー協創教育院(ACEEES)」、「情報生命博士教育院(ACLS)」、「グローバル原子力安全・セキュリティ・エージェント養成(U-ATOM)」、「グローバルリーダー教育院(AGL)」が、全国31大学62のリーディングプログラムに呼び掛けて開催したもので、産業界も高い関心を示し一般社団法人日本経済団体連合会に後援いただきました。リーディングプログラムに所属する学生自身が、自分の取り組んできた研究やプログラムで身につけた能力を社会でどのように活用できるのか知ること、産業界がリーディング学生と接することで、新しい大学院プログラムで育成された人材を知ることを主たる目的と位置づけました。
昨年の12月下旬よりおよそ1ヶ月間、全国のリーディングプログラムに所属する大学院生より、ビジネス構想の提案を募集し、書面審査を経てファイナリスト10チーム、ポスター発表9チームを選考しました。全国9大学14プログラムの計37名の学生が3月5日に提案・プレゼンテーションを競うこととなりました。
3月5日の「第1回ビジネス構想コンペティション」には、学生42名、産業界から43名、文部科学省・日本学術振興会からの参加者とプログラムオフィサーを合わせて9名、大学教職員36名、計130名が参加しました。三島良直学長の開会の辞に始まり、文部科学省の義本博司大臣官房審議官(高等教育局担当)よりご挨拶を頂戴しました。審議官は、「これからの大学院教育では、専門知識に基づきながら、文理を超えた幅の広い視野をもって、知のフロンティアや新しい価値を創造・開拓し、社会を牽引する人材を育成するものへと変化する必要がある」と述べられました。続いて、丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)が、開催趣意説明の中で、審査委員や学生提案のブラッシュアップのためメンターとして参加くださった多くの企業メンバーに対して、「学生との質疑や協働作業を行う中で、リーディングプログラムを通じて成長した学生の能力や情熱をご理解いただくとともに、さらには本人も気付いていないような能力を引き出していただきたい」と語りました。
引き続き、ファイナリストの10チーム(うち3件は留学生チーム、1件は日本人学生と留学生の混成チーム)が、4分間ずつの口頭発表により、提案の概要を紹介しました。地球環境、高齢化、少子化・保育、雇用、エネルギー、医療、IT活用、東京オリンピック・パラリンピックを利用した産業振興といった、今私たちが直面する大きな社会課題に対する斬新な提案が続きました。
その後、2会場に分かれ、ファイナリストの各チームには企業メンターが2名ずつ加わり、約3時間半をかけて提案のブラッシュアップを進めました。一方、ポスター発表の9チーム(うち2件は留学生チーム、2件は日本人学生と留学生の混成チーム)は、チームごとに審査委員2名1組×3巡の発表・質疑応答を行いました。2名1組の審査委員に対する質疑応答時間を20分間確保したことから、各審査委員の提案に対する理解は、口頭発表以上に深まりました。
ファイナリストと企業メンターによる提案ブラッシュアップ、ならびにポスター発表が終了した後、参加者全員がファイナリストによる最終プレゼンテーションと審査委員との質疑応答を傍聴しました。その前段で、本学イノベーションマネジメント研究科の西條美紀教授が、東工大とリバネスの協働で開発した提案ブラッシュアップの方法について説明し「学生のオリジナル提案に対して企業メンターが加わりチームとして提案書の「破壊と再構築」を大胆に進めました。スタートアップに必要な価値の創出とマイルストーンを明確にするために開発したワークシートやホワイトボードなどの小道具をもっとうまく活用して欲しい。」と話しました。ファイナリスト10チームの5分間の最終プレゼンテーションは全てが、午前中の論理的・優等生的なプレゼンテーションから、提案の独創性、事業化への具体的道筋、社会へのインパクト等を解り易く説明した印象深い事業提案に変身を遂げており、いくつかは提案内容そのものが大きく方向転換していました。
今回、書面審査、ポスター発表審査、ファイナリスト最終プレゼンテーション審査には、大学関係者(本学・東京大学・慶應義塾大学のリーディングプログラムのコーディネーター等、本学・早稲田大学のEDGEプログラムの総括責任者等)5名に、大手企業・ベンチャーキャピタル協会・原子力安全協会等の事業企画・研究開発・人材育成部門の管理職や、起業経験のある経営者等、産業界から審査委員14名が加わっていただきました。多彩な審査委員から繰り出される市場志向型の視点での質問は、発表者本人だけではなく、会場で傍聴する学生・教員の多くにも大きな刺激を与えました。
今回の挑戦的な試みとして、協賛企業が主催する「企業人との交流会」をイベントの間に挟みました。この交流会には、本コンペティションの企画・運営を行った株式会社リバネス、ならびに本コンペティションに大きな期待を寄せていたエディットフォース株式会社が協賛くださいました。ポスター発表会場やこの交流会場では、発表者の学生は、提供した自己紹介用の名刺を活かし、企業人に対して積極的に提案や自身のPRを行い、また、多くの企業人が学生に提案内容の詳しい説明を求めておりました。
ファイナリストに対して最優秀賞、優秀賞2件、特別賞、ポスター発表者にポスター賞3件の発表と表彰が行われました。審査委員長の経営工学専攻飯島淳一教授が、(1)課題の社会的・経済的重要性、(2)課題への取り組みの具体性・独創性、(3)提案の社会的効果・インパクト、(4)プレゼンテーションの完成度、(5)事業化の可能性、という5項目に対して5段階評価を行い、合計点の高い提案を上位表彰者とした経緯が報告されました。また、ファイナリスト特別賞は、審査委員19名が提案ブラッシュアップにより最も進化を遂げたと評価したチームに投票し、その投票数の最も多いチームに与えると加えられました。
以下の受賞者には、実行委員長である、本学大学院理工学研究科の岸本喜久雄工学系長より表彰状とトロフィーが授与されました。実行委員長は閉会の辞の中で、10時間にもわたるイベントへのご尽力に対する御礼を述べるとともに、「今後も多くの大学やプログラム、そして産業界の強い連携により、本コンペティションを育てていって欲しい」と語りました。
「Blast from the Past」チーム
「iFACTory」チーム
「CarryOtto」チーム
「Kakons」チーム
「bananapancake」チーム
「HBP ASK Learning Institute」チーム
「alertCorp」チーム