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岩崎博史教授が2016年日本遺伝学会木原賞を受賞

2016.08.10

科学技術創成研究院 細胞制御工学研究ユニットの岩崎博史教授が2016年日本遺伝学会木原賞を受賞しました。

日本遺伝学会は、遺伝学の進歩を促しすぐれた研究業績を一般に知らせるために、学会賞(木原賞)と奨励賞という2つの賞を設けています。木原賞は、コムギの研究を中心に遺伝・進化学の分野で世界的な業績を残された木原均博士を称えて設立され、遺伝学の分野ですぐれた業績をあげた研究者に授与されます。

受賞理由

研究題目:「相同組換え※1における反応中間体※2形成機構に関する研究」

相同組換えはすべての生物にみられる普遍的な生命現象で、生物種の多様性獲得やゲノム安定維持において中心的な働きをしています。また、老化や発癌とも密接に関係しており、医学的にも重要な生理機能でもあります。相同組換えの根本的且つ中心的なステップは、リコンビナーゼというタンパク質によって相同な2分子のDNAがお互いの鎖を交換する反応(DNA鎖交換反応)です。岩崎教授は、分裂酵母をモデル系として、真核生物※3のRad51リコンビナーゼがどのようにDNA鎖交換反応を触媒するのか、長年にわたり、分子機構を解析してきました。その研究業績が高く評価され、今回の受賞につながりました。

岩崎教授のコメント

岩崎博史教授
岩崎博史教授

この度、今年度の日本遺伝学会木原賞受賞の報せを頂きました。本賞は、遺伝・進化研究で世界的な業績を残された木原博士を称えて設立され、30年以上続く歴史ある学会賞です。これまでに、多くの尊敬する先生や先達による輝かしい業績が表彰されてきました。このような方々と並んでこの度の栄誉に浴することは、大変光栄であると同時に、身の引き締まる思いでもあります。今回の受賞は、温かく見守りながら私を研究に導いてくださった先生や先輩、ともに研究を進めた学生や共同研究者など、多くの人のお陰であり、これらの方々に心から感謝いたします。ご恩に報いるためにも、さらに日々研究に精進し未解明の問題に果敢に挑戦するとともに、若い人たちをエンカレッジして分子遺伝学の面白さを伝えていきたいと思います。

※1 相同組換え

遺伝情報のシャッフリング。相同配列、すなわち、よく似た配列を持つDNA鎖間でDNA鎖の交換が起こり、遺伝情報が再編成される現象。

※2 反応中間体

化学反応の過程で、反応前物質が反応して反応の最終生成物を生成する間に生じる分子の状態。相同組換えの反応中間体としては、3本鎖DNA構造や2分子の二重鎖が互いに鎖を交換したホリディ構造が知られている。

※3 真核生物

核膜で囲まれた核を持つ細胞からなる生物をいう。ヒトなどの動物やイネなどの植物、パン酵母や今回モデル生物として用いられた分裂酵母などがこれに含まれる。核には染色体が収納されている。一方、核構造を持たず染色体が細胞質にむき出しになった細胞からなる生物は原核生物と呼ばれ、代表例として大腸菌がある。分子遺伝学は、主に大腸菌をモデル生物として用いた研究から進展してきた。相同組換えに関しては、大腸菌のリコンビナーゼであるRecAタンパク質の解析が先行し詳しく解析されてきたが、真核生物のリコンビナーゼであるRad51については未だ不明な点が多い。

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科学技術創成研究院 細胞制御工学研究ユニット 岩﨑博史

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