研究

東工大ニュース

本学教員および本学学位取得者が第33回井上学術賞、井上研究奨励賞を受賞

2017.02.03

東工大の教員3名および本学学位取得者2名が、公益財団法人井上科学振興財団(以下、井上財団)の第33回井上学術賞・井上研究奨励賞を受賞しました。

井上学術賞は、井上財団により自然科学の基礎的研究で特に顕著な業績を挙げた50歳未満(申込締切日時点)の研究者に対して授与されるもので、賞状および金メダル、副賞200万円が贈呈されます。第33回の同賞では、関係する36学会および井上財団の元選考委員や井上学術賞の過去の受賞者などの154名に候補者の推薦を依頼し、そこから25件の推薦を受け、選考委員会による選考を経て5件が採択されました。

井上研究奨励賞は、自然科学の分野で過去3年間に博士の学位を取得した37歳未満(申込締切日時点)の研究者で、優れた博士論文を提出した研究者に対して授与されるもので、賞状および銅メダル、副賞50万円が贈呈されます。今回は、関係242大学に候補者の推薦を依頼したうち42大学から142件の推薦があり、選考委員会における選考を経て40件が採択されました。

贈呈式は2017年2月3日に開催される予定です。

上記の賞を受賞した東工大関係者は以下のとおりです。

井上学術賞

村上修一 理学院 教授

受賞対象となった研究テーマ:ベリー曲率の物理とトポロジカル絶縁体・トポロジカル半金属の理論研究

村上修一 理学院 教授
村上修一 理学院 教授

本研究では、ベリー曲率と呼ばれる数学的構造が固体の性質にどう発現するかを理論的に追究し、その結果、トポロジカル絶縁体の最初の例としてビスマス薄膜を提案したり、またトポロジカル半金属の概念を提唱し深化させたりする成果を挙げ、それらは後に実験で検証されました。抽象的な数学的構造からの予言が実際の物質で実証されることに自然の神秘を感じます。自分の研究が新分野の創造・発展の一助となったことはうれしい限りです。本賞受賞を大変嬉しく思いますとともに、お世話になりました共同研究者の皆様、研究室のスタッフ・学生含め、多くの方々に深く感謝申し上げます。この賞を励みに、今後も新しい物性現象の理論的探索を進めていきたいと思います。

井上研究奨励賞

井上中順 情報理工学院 助教

受賞対象となった研究テーマ:大規模映像資源のための高速・高性能なセマンティックインデクシング

井上中順 情報理工学院 助教
井上中順 情報理工学院 助教

本博士論文では、映像の中から物体・動作・シーンといった人間にとって意味のある対象を検出する「セマンティックインデクシング」に取り組み、音と画像の情報を組合せたマルチモーダルなシステムを提案しました。評価実験では、本学のスーパーコンピュータTSUBAMEを活用することで、大規模な映像認識実験を実施し、提案したシステムの有用性を示しました。この度、名誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。博士後期課程の指導教員である篠田浩一教授、研究室のメンバーをはじめ、研究を支えてくださった方々に、この場を借りて深く感謝申し上げます。

酒井佑規 テキサス大学オースティン校 研究員(博士号の学位取得は東工大)

受賞対象となった研究テーマ:単層物質とその複合系の物性研究

酒井佑規 テキサス大学オースティン校 研究員(博士号の学位取得は東工大)
酒井佑規 テキサス大学オースティン校 研究員(博士号の学位取得は東工大)

近年、原子一層分の厚みを持つ単層物質が注目されています。本研究では主に、異なる種類の単層物質を組み合わせた新規複合物質の設計と、その基本的性質の解明を行いました。その結果、単層物質の組み合わせ方次第で様々な興味深い性質を示し得ることが明らかになりました。指導教員の斎藤晋教授、および研究留学を受け入れてくださったカリフォルニア大学バークレー校のマーヴィン・コーエン教授、スティーヴン・ルイエ教授をはじめ、博士後期課程での研究を支えてくださった共同研究者の方々に心より感謝申し上げます。この受賞を励みに今後も研究に邁進する所存です。

田原弘量 京都大学 化学研究所 助教(博士号の学位取得は東工大)

受賞対象となった研究テーマ:半導体に生成された励起子のコヒーレント過渡現象

田原弘量 京都大学 化学研究所 助教(博士号の学位取得は東工大)
田原弘量 京都大学 化学研究所 助教(博士号の学位取得は東工大)

本研究では、半導体の光励起状態に対してコヒーレンス(量子状態の位相の干渉性)が消失するメカニズムを明らかにしました。従来の測定法では観測が困難であった初期過程を測定するために新しい分光法と解析法を開発し、非従来型メカニズム(非マルコフ緩和メカニズム)の解明に成功しました。本研究は、固体光物性において本質的かつ普遍的な現象を明らかにしたもので、固体の光機能制御につながることが期待できます。本研究についてご指導いただきました南不二雄教授、小川佳宏助教をはじめ、研究室の先輩、同期、後輩、そして大学院生活を陰ながら支えてくれた家族に感謝しています。本賞を励みに、より一層研究に精進したいと思います。

キム・ジョンファン 元素戦略研究センター 助教

受賞対象となった研究テーマ:発光ダイオード用新規アモルファス酸化物半導体の設計と開発

キム・ジョンファン 元素戦略研究センター 助教
キム・ジョンファン 元素戦略研究センター 助教

博士論文研究では、新規アモルファス酸化物半導体を物質設計し、これを用いた新たな発光素子を開発しました。近年、有機ELは様々なところで注目されておりますが、未だ消費電力、生産コスト、寿命などに改善すべき重大な課題を抱えています。本研究の新規アモルファス酸化物半導体を用いた有機EL素子は、それら課題を解決できる非常に優れた発光特性を示しました。今後、低コスト、長寿命、省エネのより優れた発光素子の誕生が期待されます。この度は、名誉ある賞をいただき大変光栄です。熱心なご指導を下さった細野秀雄教授、神谷利夫教授、平松秀典准教授、また、研究室メンバー、友人および家族にこの場を借りて深く感謝申し上げます。これを励みに、今後も研究に精進する所存です。

関連リンク

2月8日17:00 タイトルと本文に誤りがあったため、修正しました。