研究

東工大ニュース

脳の市民研究制度『BHQスクール』を開設

2017.01.25

脳の市民研究制度『BHQスクール』を開設
―脳を健康にするライフスタイルを発掘するシティズンサイエンスの立ち上げ―

東京工業大学及び京都大学が参加している内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT 山川プログラム)の企画の下、一般社団法人ブレインインパクト(理事長:山川義徳)(以下、「ブレインインパクト」といいます。)が、脳を健康にするライフスタイルを科学的に発掘するための活動の一環として、脳の市民研究制度『BHQスクール』を開始いたします。

BHQスクールでは、これまで専門家によって進められてきた脳の健康に関する研究に、一般の方々にも市民研究としてご参加いただきます。この市民研究では、ImPACT 山川プログラムが国際標準規格として提案している手法で開発された脳の健康指標(BHQ:Brain Healthcare Quotient)を用いることで、例えば、脳の健康状態に応じた食事や運動の方法、脳の健康を守るために最適な睡眠時間、脳の健康によい趣味や生活環境など、脳の健康を維持・向上させる様々なソリューションの発掘及び実証を行います。また市民による研究活動を専門家の視点からも科学することで、脳の健康に関する新しい研究の方向性も探索いたします。このようにBHQスクールを通じて、深い学術的知見を有する脳の専門家と多様な視点を持った市民の科学との交流という新たな研究開発スタイルを実践してまいります。

具体的に、BHQスクール参加者は、BHQ取得のためMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像法)による撮像を行い、「ご自身のBHQ」や「BHQから推定される脳年齢」等の情報からご自身の脳の健康状態を知ることができます。加えて、自らの生活改善によるBHQ変化を参加者同士で共有することで、脳によいライフスタイルの科学的発掘及び実証を進めるものです。

一般社団法人ブレインインパクトは、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI) 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「脳情報の可視化と制御による活力溢れる生活の実現」(プログラム・マネージャー:山川義徳)(本リリースでは、「ImPACT 山川プログラム」といいます。)の研究成果の社会実装を担う法人です。
脳の健康指数(BHQ)を通じた専門家の科学と市民の科学の交流

脳の健康指標(BHQ)について評価

ImPACT 山川プログラムでは、国際標準化団体ITUとWHOが連携し進めているeHealthの検討枠組みの中で、脳の健康指標の共有や取り扱いなどの標準規格の提案を行っています。その標準規格として提案する手法に基づき、脳画像から脳の健康状態を示すBHQ(Brain Healthcare Quotient)という指標を開発しました。

BHQスクールでは、参加者ご自身の大脳皮質の量を指標化したGM-BHQと、神経線維の質を指標化したFA-BHQを活用いただきます。GM-BHQは、脳の灰白質と呼ばれる領域の神経細胞の広がり具合を指標化したもので、様々な学習に対する頭の柔らかさを示していると考えられます。一方、FA-BHQは、脳の白質と呼ばれる領域における神経線維のまとまり具合を指標化したもので、脳における情報の伝達効率を示していると考えられます(下図)。BHQは病気の診断や治療など医療行為として活用されるものではありませんが、今後、BHQスクールで研究を進めることで、指標の確からしさや利便性の向上に努めます。また、多様な生活シーンに応じた新たなBHQの開発も行うことで、BHQが広く社会で利用されるものになるよう進めてまいります。

脳の健康指標(BHQ)について評価

BHQを通じた脳の健康状態の把握

ImPACT 山川プログラムでは、既に約150人分のBHQデータを解析し、全体的には年齢が高いほどBHQが低下する傾向があることを確認しました(下図)。これは年齢による脳の衰えを反映していると考えられ、BHQが脳の健康状態を表す指標として適切であることを示しています。

これらのデータを用いて、BHQスクールでは、参加者の皆様の脳が統計的に見て何歳程度に相当するかを推定脳年齢として算出いたします。それによって、実年齢に比べて脳の健康がどのような状態にあるかを把握することが容易になります。さらに、今回の制度を通してより多くの方のBHQを測定することで、将来的には加齢によって脳の健康がどのように変化するかなども明らかにできると考えています。

BHQを通じた脳の健康状態の把握

脳の健康によいライフスタイルの可能性

ImPACT 山川プログラムでは、これまでに、企業を対象とした「BHQチャレンジ」(旧「Brain Healthcare チャレンジ」 2017年より名称を変更)として、非医療分野の製品やサービスを用いた脳の健康によいアイデアを幅広く募集し、提案内容が脳の健康に与える影響を科学的観点から評価する活動を行ってきました。2015年の実施では、評価指標にGM-BHQとFA-BHQを用いて、オフィスでのストレッチやアートセラピーなど5つのアイデアについて、脳の健康への影響を評価しました(下図)。

BHQスクールではこれらのデータをもとに、参加者それぞれのBHQに応じて効果が高いと予測されるライフスタイル情報を共有いたします。参加者の方々にはその情報を参考にしていただき、ご自身のアイデアを持って研究を行っていただきます。このように、取り組みの全体的な結果も参加者で共有することで、個々人の職業や生活習慣に応じた脳の健康状態に応じたソリューションを明らかにしていきます。

脳の健康によいライフスタイルの可能性

BHQスクールでの市民科学の進め方について

BHQスクール参加者は、BHQ取得のためMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像法)による撮像を行い、「ご自身のBHQ」や「BHQから推定される脳年齢」等の情報からご自身の脳の健康状態を知っていただけます。加えて、自らの生活改善によるBHQ変化を参加者同士で共有することで、脳によいライフスタイルの科学的発掘及び実証を進めます。これら情報からご自身の脳の健康状態を知ることに加え、自らの生活改善によるBHQ変化についての情報を参加者同士で共有いただけます。情報の共有により、参加者個人それぞれが脳によいライフスタイルの科学的発掘及び実証を進めていきます。

BHQスクールは現在、招待制で取り組みの開発を進めています(ブレインインパクトが運営する、ImPACT 山川プログラムの成果の社会実装推進を議論する企業参加のコンソーシアム『B3C会議』の会員が主な参加者になっています)。一般の方の参加につきましては、もうしばらくお待ちください。
BHQスクールの取り組みについての取材等のお申込みにつきましては、ブレインインパクト問い合わせ先窓口(impact@bi-lab.org)までご連絡ください。

BHQスクールの企画・運営、大学の役割について

BHQスクールは、ImPACT 山川プログラムの企画の下、ブレインインパクトが運営を担い、京都大学、東京工業大学等と連携して開催いたします。各大学はそれぞれImPACT 山川プログラムに参加しており(研究責任者:京都大学こころの未来研究センター 特定准教授 阿部修士、東京工業大学科学技術創成研究院 教授 小池康晴)、本プロジェクトにはMRIの撮像拠点として参加し、複数拠点でも運用可能な標準的な脳情報の蓄積と解析の手法の開発等に取り組み、脳情報のインフラ基盤構築を進めます。今後もより多くの拠点に参加いただけるよう連携を進めてまいります。

一般社団法人ブレインインパクトについて

一般社団法人ブレインインパクトは、ImPACT 山川プログラムの研究開発成果の社会実装を加速することを目的の一つとして2016年3月に設立された法人です。当プログラムと連携し、異業種企業との共同研究支援の他、BHQチャレンジの活動支援、外部資金の調達、標準化や人材育成などの研究開発支援といった活動を行い、当プログラムの目標である脳情報を活用した新産業の創出の実現に向けた歩みを支援しています。

市民科学について
市民科学(シティズンサイエンス)とは、専門家だけではなく、一般市民も学術研究などの研究活動に参画することを意味します。
BHQレポート(サンプル)

BHQレポート(サンプル)

お問い合わせ先

一般社団法人ブレインインパクト 岡宏樹

E-mail : impact@bi-lab.org

広報センター

E-mail : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975