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BEST(東京工業大学・チュラロンコン大学共同主催科学教育プログラム)実施報告

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公開日:2017.02.20

BEST(Borderless Education in Science & Technology(ボーダーレスな科学技術教育))は、本学の学士課程学生向けの授業であり、グローバル理工人育成コースの一環として実施されている「グローバル理工人概論4」の中で、タイ・チュラロンコン大学の学生と行う共同PBL(Problem Based Learning、課題解決型学習)の成果の一つとして設計された科学教育・国際交流プログラムです。

今年度の「グローバル理工人概論4」は、「科学教育とICT(情報通信技術)」をテーマに、東工大とチュラロンコン大学が遠隔のグループワークを実施し、日本とタイ両国の理数系教育の現状や課題、教育現場でのICTの活用状況などを比較し理解を促進しました。また、9月に東工大生がチュラロンコン大学を訪問、12月にはチュラロンコン大生が東工大を訪問し、テーマに関連する施設訪問やグループディスカッションを通じ交流を深めました。

12月16日には、チュラロンコン大生10名、東工大生5名と各大学の教員等4名がお茶の水女子大学附属高校を訪問し、タイのマターデイ高校と遠隔で共同の科学教育プログラムを実施しました。お茶の水女子大学附属高校からは23名、マターデイ高校からは24名の生徒が参加しました。

タイの紹介ビデオを見る参加生徒

タイの紹介ビデオを見る参加生徒

事前学習として、参加生徒をメンバーに含めたフェイスブックの非公開グループを作成し、その中で実験テーマである電磁力についての動画教材を視聴し、その理解度についてグーグルフォームでアンケートを実施しました。

プログラム当日は、チュラロンコン大生と東工大生のサポートのもと、グループに分かれて2つの実験を行いました。

実験で盛り上がる参加者達

実験で盛り上がる参加者達

実験で盛り上がる参加者達

1つ目の「モーターをつくってみよう」では、導入部の動画教材を視聴した後、電磁力で動くモーターをクリップなど身近なものを使って作ってみました。ただモーターを作って動かしてみるだけではなく、コイルの巻き方を変えたり、磁石とコイルの距離を変えたりすることでモーターの動きがどう変わるかといった実験前に出された課題にも取り組みました。

2つ目の「リニアモーターカーを作ってみよう」では、1つ目の実験と同様に、スポンジや下敷きなど身近なものを使ってリニアモーターカーの模型を作って動かしてみました。どうすればうまくスムーズに動くか、どうすれば速く走るようになるか、事前の課題に取り組みながらグループで実験を進めました。リニアモーターカーがうまく走り出したグループからは、歓声が上がりました。

モーターを作ってみよう
モーターを作ってみよう

リニアモーターカーを作ってみよう
リニアモーターカーを作ってみよう

フレミングの左手の法則を使い解説する様子
フレミングの左手の法則を使い解説する様子

2つの実験を通して、実験前に出された課題へのそれぞれの回答をグループで検討し、インターネット経由でマターデイ高校の生徒と結果を共有しました。マターデイ高校では、別の日に同じ内容の実験を実施し、プログラム当日は実験結果をお茶の水女子大学附属高校の生徒と共有しました。実験結果のほか、こうした電磁気力の技術を応用して私たちの生活にどのように役立てることができるかも考え、日本とタイの高校生が意見を交換しました。ディスカッションの場面では、各グループがタブレット端末を1台ずつ使用し、メンティメーターというリアルタイムでアンケートの投票・集計ができるインターネットサービスを利用しました。

テレビ会議システムも活用しタイの高校生と双方向で交流
テレビ会議システムも活用しタイの高校生と双方向で交流

別日にタイのマターデイ高校でも同じ実験を実施
別日にタイのマターデイ高校でも同じ実験を実施

インターネット経由でタイと意見を共有
インターネット経由でタイと意見を共有

タブレットでアンケートに回答する様子
タブレットでアンケートに回答する様子

科学実験を通じて、タイ人と日本人、高校生と大学生といった様々な若者の交流を深めることができました。

記念写真

記念写真

東工大生の感想

今回のプロジェクトに携わり、日本とタイの科学や教育に関する様々な問題を学ぶ貴重な機会になりました。また、高校生たちが実験している時の反応が素晴らしく、理解を深めるために実験は欠かせないと実感しました。今後もタイの友人たちとの交流を続けていきます。

教育プロジェクトの目的から方法、実施まですべて学生でつくりあげることはとても挑戦的ですが、東工大生・チュラロンコン大生ともこのプロジェクトへの参画を強く勧めたいです。異なる背景をもつ人々が協働して問題に取り組む経験をすることで、今後もっと大きな問題の解決につながり国の障壁を超えることができるようになると思います。

チュラロンコン大生の感想

参加した高校生たちは、実験やディスカッションを通して、科学が楽しいこと、科学が自分たちの生活に深く関わっていることを実感することができたと思います。日本とタイとの交流を加えたことで、実験がさらに楽しくなり、科学への理解や興味をより深めることができました。

今回は初めての試みのため改善できる点もいくつかあると思いますが、インターネット経由で実験やディスカッションによって科学を学ぶ手法は、今後もっと様々な場面や国で非常に効果的だと実感しました。

参加したお茶の水女子大学附属高校の生徒の感想

普通の実験イベントでは、考察しなかったりなぜ動くのかわからなかったりしますが、今回のイベントではモーターやリニアモーターカーが動く仕組みが最後までわかり大変有意義でした。また同時に、英語を話す練習や、タイの学生や東京工業大学の大学生と知り合いになれて何重にも楽しかったです。

苦手な物理の実験を英語でするということがとても不安でしたが、楽しく参加できました。物理も自分の身の回りで利用されていることを実感でき、もっと知る必要があると思いました。

英語ができることは学ぶ上で今後必要であることはもちろん、英語ができればもっとたくさんの人と交流できるんだとひしひしと感じることができました。

日本で習うことと同じことを、海外でも勉強していると思うと刺激を受けました。

参加したマターデイ高校の生徒の感想

日本人と友達になれてよかったです。もっと長く会話をしたかったです。

お問い合わせ先

グローバル人材育成推進支援室

E-mail : ghrd.info@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3520

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