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安藤真理事・副学長が平成28年度日本放送協会放送文化賞を受賞

2017.04.18

本学安藤真理事・副学長(研究担当)(専門分野:電磁界理論、アンテナ工学、無線通信)が、日本放送協会(NHK)の第68回(2016年度)日本放送協会放送文化賞を受賞しました。

放送文化賞は1949年度に設けられ、放送事業の発展に寄与し、放送文化の向上に貢献があった方々に毎年贈られるものです。今年度は、安藤理事・副学長(研究担当)、タレントのタモリ氏等6名の方が受賞し、贈呈式はNHKホールにて3月17日に行われました。

賞状等の記念品を授与される安藤理事・副学長(研究担当)
賞状等の記念品を授与される安藤理事・副学長(研究担当)

安藤真理事・副学長(研究担当)受賞コメント

受賞挨拶
受賞挨拶

この度は歴史ある放送文化賞をいただき、推薦いただいた方々、選考していただいた方々に感謝いたします。私は電波・アンテナの研究をしておりますが、放送文化という観点から、一番関わりの深い衛星放送を中心に書かせていただきます。

私は、1979年に大学院を修了しました。その前年に実験衛星である「ゆり」が打ち上げられています。3年後に大学に戻った時、放送文 化基金の研究助成を受けて進められていた、本学の私の恩師である後藤尚久先生の発明による 「平面型導波管スロットアンテナ」に関する研究に参加しました。ちょうどその2年後に「ゆり2号」という形となって衛星放送が始まったわけです。世界に先駆けての放送開始でした。 衛星放送は、たった100ワットで3万6千km離れた離島を含む日本全体を照らすものです。受信する側から見ますと、100倍以上の感度を持つ極めて高感度のアンテナで電波を受けるシステムです。また、むやみに隣国へ電波(干渉)を撒き散らすことは許されませんので、アンテナを設計する者にとって、これほどチャレンジングなテーマはありませんでした。それ以来、私は平面型アンテナの研究を続けております。先日スイングバイに成功し、金星に向かって旅をしている探査機「あかつき」や、火星に向かっている「はやぶさ2」に搭載されている、90 cm大の円形で1 kgに満たないような軽量のハニカムアンテナも、同じ形式のラジアルラインスロットアンテナであり、広川二郎准教授や学生と共に本研究室で設計し、NTスペース社とともに共同研究して開発したものです。搭載前の特性確認までを学内で行いました。これらの探査機が間もなく星々に到着し、このアンテナから遠い地球へ情報が送られてくる時が来るのを、我々はわくわくしながら待っております。

衛星放送に関して、私はNHK放送技術研究所の方々といろいろな場面で一緒に仕事をさせていただいています。実は、「ゆり2号a」という衛星を用いた世界で初めての放送衛星サービスが始まる1年前、最初の放送衛星では送信機が故障しました。私は、世界に先駈けて失敗したことは、成功と同様に、あるいはそれ以上に価値があることと考えています。未踏の技術の開発に主導的に携わったNHK放送技術研究所の方々のチャレンジングな姿勢と勇気に改めて敬意を表したいと思います。「直接衛星放送」そして「緊急警報放送」、「ハイビジョン」。NHKが先導して手掛けたこの3つの技術は歴史上偉大な電気・電子の業績ということで国際的にも評価され、「IEEEマイルストーン」の認定を受けております。

東京工業大学と放送との縁を幾つか述べさせていただきます。家庭用のテレビアンテナ「八木アンテナ」で知られる八木秀次先生は、東北大学に在籍していた時代にアンテナを発明され、後に本学の学長を務められました。高柳健次郎先生は本学卒業後、静岡大学で世界初の「電子的テレビ受信機」を発明されています。「温度無依存水晶振動子」は、通信、放送に不可欠な技術ですが、本学の古賀逸策先生が発明されました。これらはいずれも前述した「IEEEマイルストーン」に認定されています。このように本学の先輩たちが様々な放送技術の研究で活躍していらっしゃいます。高柳先生、古賀先生におかれては、この度私がいただいた同じ放送文化賞を受賞されていることを知り、改めて今回の受賞を非常に光栄なことだと受け止めております。

東京工業大学は、昨年4月から教育・研究の大改革を行っております。理工系総合大学ではありますが、リベラルアーツ研究教育院の教員が中心となり、全ての学生が、在学期間を通して、倫理、哲学、文学、芸術などの分野をより身近に学ぶような、カリキュラムを開始しています。近年、さまざまな課題の解決に向けて科学技術の重要性が増しており、その影響も人間や環境にまで及ぶ現在において、人間性あふれる科学技術者の育成を目指して舵を定めたところであります。今回このような時に、テレビ・ラジオでお見かけする多彩な分野の方々と共に放送文化賞をいただくということで、私自身あらためて技術と文化の連携を認識し、非常に感慨深いものがあります。

最後に研究に携わった研究室の先輩、同僚、学生諸君はもちろん、日頃から研究をご支援いただいている学内外の皆様に、改めて感謝を申し上げます。

IEEEマイルストーン:電気・電子分野の世界最大の学会であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.)が、開発から25年以上経過し、社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的業績を認定する制度。

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