社会連携

高校生向け広報誌「TechTech」24号発行

2013年9月、東京工業大学広報誌「TechTech(テクテク)」24号を発行しました。
「TechTech」は、主に高校生を対象とし、東工大の最新の研究、学生生活、研究室、先輩の活躍など本学のさまざまな面を豊富な画像とわかりやすい文書でご紹介する広報誌です。
最新号の特集は「僕らはどこにだって行ける!東工大的海外展開」。テーマは東工大生の海外留学です。

 

「TechTech(テクテク)」24号目次

TechTech 24号 表紙
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  • 東工大のとある一日
  • 特集 僕らは、どこにだって行ける!東工大的海外展開
  • 東工大生のお買いもの―必須アイテム編―
  • イマを創る、先輩がいる アルナ・イエンソンさん 三好洋美さん
  • GO!GO! TOKYO TECH GIRLS
  • Tokyo Tech Labo 伊原 学 研究室
  • 学生企画 東工大生の1年生実験が知りたい
 

最新号ハイライト

1. 特集 : 僕らは、どこにだって行ける!東工大的海外展開

世界を変える研究や発見をしたい─。そんな未来を描く学生にとって、東工大は〝海外への入り口〟としての役割を果たす。東工大に入れば、世界がぐっと身近になる。

研究に「国境」はない─。グローバル化が進んだ今、研究者の活躍の場は世界中に広がっている。東工大は、海外留学に積極的な理工系大学のひとつ。派遣交換留学の提携校は米国や欧州、東アジア、オセアニアなどに50校以上。受入先の学校の授業料が免除される授業料不徴収の協定校も多い。20を超える様々な留学プログラムを展開しており、英語力に自信がない学生には短期間の語学留学を、英語が得意で本格的に研究に打ち込みたい学生には長期留学を、というように留学の目的や語学力に合わせて柔軟に希望に応えているのが特徴だ。
将来、理系の能力を生かし、国境にとらわれずに活躍したい。東工大では、そうした学生が世界に羽ばたくチャンスをつかめるよう、様々な形でバックアップをしている。

塚本翔太さん

CASE1 : ワシントン大学で英語力を試す

塚本翔太さん
2013年理学部化学科卒
利用したプログラム : TASTE海外短期語学学習

将来的に中長期の留学や海外での研究活動を予定している学生を対象としたプログラム。協定大学で実施する短期(19日以上3カ月程度以内)の語学研修などへ参加する者に対して経済的支援を行う。将来の留学、研究活動をより充実したものにするのが目的。

 

19日間の語学留学を経験し遠く感じていた「世界」が身近に

塚本翔大さんは2012年に19日間、米国・ワシントン大学での語学留学を経験した。新薬開発にかかわる材料の研究を志す塚本さんにとって、世界的な製薬会社を多く擁する米国は関心をもっていた国のひとつ。
ワシントン大学では英語や米国文化を学ぶために世界中から集まった学生と同じクラスで学んだ。フランスやサウジアラビア、中国、韓国など国際色豊かなクラスメイト約50人とともに、大学で日常会話のレッスンを受けたり、映画を観た感想をディスカッションしたり。会話の力を重視した授業に取り組んだ。設定されたテーマについて自分たちで調べ、発表するプログラムなども印象的だった。学生の語学力に応じてクラス分けされているので、ひとりだけ授業についていけないという心配もなかったという。
もともと野球好きということもあり、シアトルの野球場には友人たちと3回も足を運んだという。あっという間の19日間を経験し、塚本さんの中で遠く感じていた「世界」が身近になり、海外の大学院進学のイメージはずっと具体的なものに変わっていた。

ワシントン大学
ワシントン大学図書館

由良嘉啓さん

CASE2 : スイスの有名校で経済物理学を研究

由良嘉啓さん
大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻 博士課程1年
利用したプログラム : 大学の世界展開力事業

世界トップクラスの大学に留学する学生に対しての支援プログラム。留学先はアジアなら中国の清華大学や韓国のKAIST、欧米ならMITやCaltechなど。世界でも指折りの大学で研究ができるように経済的サポートを行う。

 

世界屈指の研究室に留学し、世界の動向を肌で感じる

由良嘉啓さんは修士1年のときに、国際学会で発表した研究内容がスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)の教授の目に止まり、2012年10月から半年間、ETHへ行くことになった。そこで役立ったのが、「大学の世界展開力強化事業」に基づく東工大の留学支援プログラムだ。このプログラムは世界トップクラスの理工系大学に留学する学生を対象に、渡航費や奨学金が支給される内容で、ETHも対象校のひとつ。由良さんが配属された経済物理学の研究室は、その分野において世界で五本の指に入るレベルの高い場所だった。所属するのは、フランス人の教授を筆頭に、ロシア人や中国人など世界各国のポストドクター(博士課程を終えた研究者)や学生たち。そこで定期的な意見交換に参加したり、スイス人のポストドクターと共同研究に取り組むことになった。 由良さんが魅力を感じたのが国際交流の充実ぶりだった。欧州では研究者間の交流の機会が多く、最新の研究情勢をつかみやすい。現在はスイスで学んだ方法論を生かし、金融市場などの社会システムの安定性を科学的な視点から解明すべく、研究を重ねる日々。留学をバネにさらに高いステージを目指している。

スイス連邦工科大学チューリッヒ校
チューリッヒの街並

海外で学びたい、世界で勝負をしてみたい─東工大には、そんな学生の夢を後押しする仕組みがしっかりと用意されている。何より必要なのは、情熱だ。東工大の多彩な国際交流プログラムを利用して、世界へ飛びだそう!

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2. Tokyo Tech Labo 伊原 学 研究室

「エネルギー変換」の領域で世界をリード

最近は、家庭用の装置も普及し始めている燃料電池。その燃料が"水素"であることは皆さんご存じかもしれません。水素と空気中の酸素を反応させて電気をつくる。水の電気分解の逆の反応です。
しかし私たちが研究している燃料電池では、燃料に"炭素"や"メタン"を使います。なぜか。実は、単体の水素は自然界にはほとんど存在しません。そのため水素を生成するのにエネルギーが必要となり、トータルでみるとその分総合変換効率は低下してしまうのです。まして貯蔵に極低温の高圧タンクが必要だったりすることから、エネルギーを運ぶ物質としての水素は必ずしも優等生とはいえません。
そこで、ここ数年急速に注目を集めているのが、天然に存在する炭化水素系の物質を直接燃料電池の燃料にしようという取り組みです。私たちは世界で最も早くこの分野に着手した研究室のひとつ。実際、「リチャージャブル・ダイレクトカーボン燃料電池」という仕組みで特許を取り、世界最高レベルの発電量(単位あたり)を実現しています。一番の課題は、発電効率の低下を招く炭素析出という現象ですが、化学、特に電気化学、材料化学の知見などを駆使していくつかの解決策を提案しています。
一方で、太陽電池の発電効率向上も私たちの研究対象です。色素を使った太陽電池に金や銀のナノ粒子を入れることで太陽光の吸収率を高めることに初めて成功。さらにシリコン膜の間に塗布することで変換効率を向上できる金や銀のナノ粒子膜の合成にも成功しました。これらはいずれも金属中の電子の激しい振動を利用しています。
ただし、こうした「エネルギー変換」と呼ばれる領域の基礎研究は、実社会で活かされなければ意味がありません。サッカーでたとえるなら、個々の選手の能力が上がっても、それがチームとして機能して勝利につながらなければ価値がない。そんな思いから、私たちは並行してエネルギーシステム全体の開発にも力を注いでいます。
特に分散型エネルギーは、使う場所にマッチした組み合わせや活用法がポイント。燃料電池の排熱の有効利用などがその一例です。そうしたシステム全体を見渡す「ズームアウトの視点」と基礎的な要素技術を追究する「ズームインの視点」。この2つを両立させ、今後も人類に役立つものを生み出していきたいと思っています。

伊原 学 研究室

A パルスジェット・リチャージャブルダイレクトカーボン燃料電池

実験室にある4つの発電装置のうちのひとつで、ガス燃料と液体燃料を電気エネルギーに変換する。2つの制御画面はタッチパネル式。共同研究で制作したオリジナルのこの装置を、伊原研では愛着を込めて「3号機」と呼んでいる。

B 複素インピーダンス測定装置

周波数の異なる交流信号を燃料電池に与え、その応答から燃料電池内部の抵抗をその速度の違いによって分離する。作成した燃料電池の性能の差の原因を電気化学的に調べるための重要な装置。

伊原 学 准教授
1994年、東京大学大学院工学系研究科修了。同助手、東北大学助手、東京工業大学炭素循環エネルギー研究センター助教授などを経て、2011年より東京工業大学大学院理工学研究科化学専攻准教授。2012年フランス国立応用科学院リヨン校客員教授。

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次号は2014年3月発行予定です。