今年で4年目を迎えるすずかけ台キャンパスのペリパトス・オープンギャラリーの絵画がリニューアルされました。
このギャラリーは、文系・理系の枠を超えて学術を発展させることを目的に、女子美術大学との連携協定のもと2012年3月に誕生しました。キャンパス全体をギャラリーに見立てた「オープンギャラリー」の名のとおり、芸術家を志す学生や卒業生・修了生たちの感性あふれる作品が屋内外に展示されており、身近にアートを楽しむことができます。
2016年度の展示作品
今年新たにペリパトス・オープンギャラリーを飾るのは、次の13作品です。
J2・J3棟3階の渡り廊下の展示作品
- 「2015.9.24」
- 紙本着彩 M100(970×1,620mm)
- 芸術学部美術学科日本画専攻3年 吉田夏奈美
- 人と人が偶然その場所、その時間に居合わせたといった、日常の偶然が重なって出来る瞬間をテーマに制作しました。
- 「混沌」
- 紙本着彩 M40(650×1,000mm)
- 芸術学部美術学科日本画専攻2年 五辺百華
- 塀の上の柵から朝顔が這って咲いている様子を描きました。どんなところでも生きようとする植物の力強さにいつも感動します。人が作った塀や境界線は、植物にとっては無意味なものだと改めて気付きました。
- 「夏草、秋風」
- 紙本着彩、洋箔 F40×2枚(1,000×1,610mm)
- 芸術学部美術学科日本画専攻3年 大矢仁美
- 竹や木に蔦が複雑に絡み合う様子が面白いと思い、その様子から夏から秋へと季節の移り変わりを描きました。
- 「地平線と空をつなげる」
- 油彩、キャンバス(800×1,000mm)
- 芸術学部美術学科洋画専攻3年 久保美貴
- 海と山の地平線、高台から見下ろした街並みを映し鏡のように描きました。作品を観て、心にほっとする風景を思い出していただければ嬉しいです。
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- 「あの夢」
- リトグラフ(800×665mm)
- 芸術学部美術学科洋画専攻版画コース4年
今江ひとみ
- 幼い頃の聴覚障害者の両親との生活の記憶をもとに、「音のない記憶」をテーマに制作しました。見る人がそれぞれの「記憶」に浸っているような感覚になっていただけたら幸いです。
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- 「毎日を生きる」
- 紙(760×550mm)
- 芸術学部美術学科洋画専攻3年
清水梨沙
- 蝉の鳴き声は、夏の始まりから終わりまでほぼ毎日のように聴こえてきます。強烈な鳴き声がゆえに、翌夏もその存在が忘れられることがありません。
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- 「布の存在」
- 油彩、キャンバス(910×730mm)
- 芸術学部美術学科洋画専攻3年
三上夢
- 2枚の布と壁。流れ続ける水。
不思議な静寂の空間を見て頂けたら嬉しいです。
- 「大いなる」
- 紙本着彩 M80(895×1,455mm)
- 芸術学部美術学科日本画専攻3年 橋本水月
- その時、まさに逆光で雲の中が光っていて、まるで大きな鳥が翼を広げて空一面を覆い被さろうとしているかのようでした。
- 「浮かんでは消え」
- 紙本着彩 P100(1,120×1,620mm)
- 芸術学部美術学科日本画専攻3年 中山逸花
- クラゲの死は曖昧で、儚いものです。生きたいと思う脳さえ持っていません。クラゲを眺めていると、生きていることと死ぬことのすべてを教えてくれるような気がするのです。
- 「母子」
- 油彩、キャンバス F100(1,310×910mm)
- 芸術学部美術学科洋画専攻3年 工藤亜希子
- 「母子」とは、私の従姉妹であるこの女性と、彼女と猫の目線の先にいてカメラのシャッターを押した彼女の母親を指しています。写真の主役は抱きかかえられた猫ではなく、娘のように思え、その関係性を描きたいと思いました。
- 「チョコレートを食べる少女」
- 油彩、キャンバス(1,170×910mm)
- 芸術学部美術学科洋画専攻3年 阿部桜子
- 架空の少女の日常を描きました。
彼女の名前や状況など、この絵の物語を鑑賞する方々に自由に想像して楽しんでいただけると幸いです。
附属図書館すずかけ台分館の展示作品
- 「waterfall II」
- 油彩、キャンバス(1,120×1,540mm)
- 芸術学部美術学科洋画専攻3年 髙野瑠美
- 私は自分が見てきた光景から、心の中に思い浮かんだ景色を描いています。今回は滝を題材にして描きました。
- 「わらわら」
- 紙本着彩 P40(727×1,000mm)
- 芸術学部美術学科洋日本画専攻2年 児玉わか奈
- 不忍池の蓮を描きました。たくさん生えていた蓮の葉の不思議で愛らしい雰囲気が伝わったら幸いです。
2014年よりG2棟エントラスに飾られている作品「いっしゅんにくちづけを」は、今年も継続して展示されます。
また、屋外の造形作品も充実していますので、キャンパスの自然を楽しみながら個性豊かな作品を探して散策してみてはいかがでしょうか。
- 「いっしゅんにくちづけを」
- 紙本着彩(1455×1,120mm)
- 美術学科日本画専攻(2014年3月卒業) 渡辺美月
動線に沿って点在する屋外の造形作品
ペリパトスの由来
「ペリパトス(Peripatos)」(英語では"Peripatetic")とは、ギリシャ語で散策路、遊歩道を意味しています。古代ギリシャの哲学者アリストテレスが開いた学園には、散策路(ペリパトス)が張り巡らされ、そこを歩き回りながら講義したというアリストテレスの弟子たちは「ペリパトス学派」と呼ばれました。これに倣い、すずかけ台キャンパスの将来計画が「ペリパトスの研杜(けんと)」と名付けられたことから、「ペリパトス」が同キャンパスを特徴付ける名称となりました。
- ペリパトス・オープンギャラリー
- 室内展示(J2・J3棟3階廊下)
- 開館:平日 8時30分~17時15分
- 閉館:土日祝日、大学の定める休日
- (2016年5月現在)