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「だめだ…エンジンがかからない」。冷たい汗が背中を流れる。工大祭で披露することを目指して、約3か月間夜も日もなく製作に力を注いできた…。ホバークラフトは、地面からわずかに浮上して走行する乗り物だ。車体と地面との間に“空気だまり”を作り、その空気圧で機体を浮上させる。エンジンでファンを回転させて動力を起こす仕組みである。実は、当日になってもファンとエンジンをつなぐベルトに生じた問題点が解決していなかった。巨大な機体に魅せられ、お客さんは次々と集まってくる。「頼む、浮いてくれ!」。 |
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工大祭1日目が終わろうかという時間になって、奇跡的にホバークラフトは浮き上がった。その時を待ちわびていたお客さんたちからも大きな拍手が起こる。だがエンジンは相変わらず安定せず、すぐに止まってしまう。このままではまずい。
「明日はどうするんだ」といった不安が皆の顔に浮かんでいる。
「この空気を変えなくては」。代表を務める川口卓志さんを先頭に、そろいで作ったツナギ姿のまま焼き肉屋にくり出した。いつもの調子で仲間たちと会話を交わすうちに、疲れも絶望感もふきとんでいく。「よし、今晩もう一度がんばってみよう!」皆の顔に笑顔がもどった。 |
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しかし、2日目も状況は変わらない。夕方も押し迫ったころ、製作全般を仕切る林 遵さんが口を開いた。「片方のファンだけでやってみよう」。それは、とても言い出しにくい提案だった。みんなで苦労して作ったファンの半分を、使わないことになるからだ。浮かせるために有効かもしれないけれど、推進させる可能性は放棄しなければならない。しかし、悔しいけれど仕方がない。ここが決断のしどころだった。 |
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| 「押さないと走らない」のは欠陥だが、全員が力を合わせて愛機を動かすそのことに、だれもが胸を熱くした。 |
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ついにエンジンがかかり、ホバークラフトは見事に浮上した。推進用のパワーを浮上に使っているため、みんなでけんめいに機体を押す。「よし、走ってるぞ!」。まるで凱旋パレードのように学内を一周するメンバーたちの顔は、感動に輝いていた。ゼロから一つのものを作り上げた自信をもとに、「次こそはもっとすごいものを作ってやる」…そんな意欲に心を湧き立たせながら。 |
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| こうして何度も仲間たちと見た朝焼け。工大祭2日目の朝も、心地よい疲労感に包まれて…。 |
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