扇風機による声の変化は、「耳で聞く」ことによって分かるわけですが、決まった形があるわけではないし、どうも漠然としています。なんとかして声の変化を「目で見る」ことはできないでしょうか。
そこで、音の波形を見ることのできるオシロスコープを使ってみました。すると、扇風機の羽の動きにあわせて、音の大きさが変わっている事が分かります。
 0.2秒分の音の様子を拡大してみました。上は変化前の音、下が扇風機が回っているときの音。3枚羽の扇風機で、1回転する間に3か所、音の大きさが変わっています。
 声の変化の理由としてまず思い浮かぶのが、扇風機から吹き出す風の影響です。
というのも、扇風機の前に立って声を出そうとすると、顔一面に風を感じるからです。しかし、扇風機が違う方向を向いていれば、風はほとんど来ません。では試しに、扇風機の裏側から声を出してみたとすると、いったいどうなるのでしょうか。
さっそく扇風機の後ろに回って声を出してみると、声は変化しました。まだはっきりしませんが、やはり風とは関係なさそうです。

風のあまりない扇風機の後ろから声を出しても、「あ゛〜」と声は変わります。
 
 声の変化と風との関係を調べるため、私たちは風の起きない扇風機を作ることを思いつきました。扇風機によって風が起こるのは、羽にひねりが加えられているからです。ということは、羽にひねりがなければ、風は起きません。
 そこで、段ボールで平らな羽を作ってみました。すると、風は起こらなかったにもかかわらず、やはり声は変化したのです。つまり、驚くべきことに、声の変化は風と無関係なのです!
 さらに、すき間のない円盤では変化が起きないことから、羽と羽のすき間が重要であることも分かりました。

風の起きない段ボール羽でも、声は変わります。
 
 今までの実験からまとめると、音が羽に当たるところでは大きくなり、羽のすき間では小さくなっているようです。声を出している人にとって、音が羽に当たるときは、音が羽にはね返り大きく聞こえ、羽のないときでは、音が通り抜けて小さく聞こえるものと考えられます。
これにより、扇風機の羽根の回転に合わせて、音が大きくなったり、小さくなったりという変化を、1秒間に数10回という目にも止まらぬ早さで繰り返すのです。この様子を耳で聞くと「あ゛〜」となって聞こえるのです。
 扇風機の前で「あ゛〜」と聞こえる様子はなんとも不思議に思えますが、実はとても身近なところでも使われている現象なのです。
音の大きさ(振幅)が変わることを振幅変調と呼びますが、これはラジオのAM放送で音声を伝える方法としても使われているのです。ラジオで利用されている現象が、こんなところでも起こっているなんて不思議ですね。
 



 TechTech第2号で特集した「エッグ・ドロップ・コンテスト」を、昨年の工大祭にて開催しました。当日は、小学生から大学生、社会人の方まで50名の方が出場しました。どの装置もユニークなものばかりで、特に小学生の創造力には東工大生も脱帽。未来の東工大生(?)に大いに期待です。
 詳しい当日の様子やコンテストの結果はTechTech学生企画室のホームページで見ることができます。