平成16年度開講 

 

教 授 要 目

 

(注)各授業科目のIは目的を,IIは内容を示した。


I 文系基礎科目・総合科目

 

〔共通(人文科学・社会科学)科目〕

 

哲学概論第一(Philosophy I)

桑子 敏雄 教授  前学期  2−0−0

哲学入門。哲学的思考は現代の問題にどのようにアプローチするのでしょうか。環境の問題を例にして,日本,中国,

西洋の伝統的な思想をふまえながら,その現代への応用について考察します。環境はそのなかに存在する人間のあり方

の問題でもありますから,この考察は,自己とは何か,人間とは何か,価値とは何か,など哲学の根本的な問題への入

り口となります。

テキストとして,桑子敏雄『環境の哲学』(講談社学術文庫)を使います。

 

哲学概論第二(Philosophy II)

桑子 敏雄 教授  後学期  2−0−0

人間は「ロゴスをもつ動物」と言われます。「ロゴス」とは「理性」であるとともに,コミュニケーションのための道

具,つまり「言葉」です。古代ギリシアで哲学がはじまったとき,言葉による方法として「問答法」が用いられました。

これはのちの「弁証法」の基礎にもなっています。

この講義では,自分の考えを言葉にし,それを人に語ること,あるいは他者の言葉を聞くこと,要するに討論するということの意味について,「社会的合意形成」をキーワードとして実践的な討議を通して考えます。

 

論理学第一(Logic I)

藁谷 敏晴 教授  前学期  2−0−0

便宜上論理学を命題論理と述語論理に分けて論ずる。

第一では主に命題論理を扱うが,できるだけ述語論理の構造が明らかになるように講義を組み立てる。内容は命題論

理の体系を色々な理論的角度から考察し,完全性や決定可能性その他のメタ論理的概念を説明し,それらについて成立

するメタ定理について論ずる。

 

論理学第二(Logic II)

藁谷 敏晴 教授  後学期  2−0−0

第二では述語論理の構造を扱うが,その際命題論理の無限への拡張と述語論理の体系の関係について考察する。さら

に,述語論理の背景となる哲学的な諸問題を論じながら,モデルの概念を導入説明し,完全性や決定可能性等に関する

メタ定理を証明する。さらに,述語論理と知識表現論の問題などについても論じる。なお,第二の履修に際しては第一

を既に履修していることを条件とする。

 

科学概論第一(General Science I)

山崎 正勝 教授  前学期  2−0−0

自然科学・技術の本質,その方法,その社会的機能などについて,科学の通史を通して講義する。第一では,科学の

誕生から近代科学の成立までを扱い,科学的方法,科学的自然観について考える。


科学概論第二(General Science II)

山崎 正勝 教授  後学期  2−0−0

第Iをひきつぎ産業革命以降近代工学,物理学,化学,生物学等の現代科学の成立の過程を追う。

 

科学の社会史(Social History of Science)

梶  雅範 助教授  前学期  2−0−0

主として近代以降のヨーロッパにおける科学の歴史を通して,科学と社会の相互作用,科学の社会的・文化的側面に

ついて考えていく。大学と学会,科学と技術,科学の制度化,科学の専門化と職業化,各国での科学研究の在り方の比

較,戦争と科学,科学と産業,科学とイデオロギー,冷戦後の科学などのテーマを取り上げる。

 

日本科学史(History of Science in Japan)

梶  雅範 助教授  後学期  2−0−0

近代以降の日本の科学研究の社会におけるあり方の歴史的変化について講義する。蘭学の成立と展開,お雇い外国人,

高等教育制度の成立,科学研究の自立,諸研究機関の成立,女性と科学,戦争と科学,戦後の科学・技術などのテーマ

を取り上げる。

 

科学史第一(History of Science I)

佐藤 賢一 講師  前学期  2−0−0

東アジア地域(中国・朝鮮・琉球・日本)における近代以前の数学史を概観する講義を行う。必要に応じて西欧の数

学史との比較も行うが,できる限り,「漢字」・「中国語」で表記された伝統数学の実態を紹介していきたい。

 

科学史第二(History of Science II)

吉田 晃 講師  後学期  2−0−0

科学史は,歴史の1分野である。我々は,なぜ歴史を学ぶのだろうか。人間とは何かを知り,現代を理解するためで

あろう。科学史も同じである。自然科学とは何かを知り,現代の科学を理解するためである。そのためには,過去の間

違っていた理論や学説も知る必要がある。実際,現在我々が正しいと思って学んでいる科学の学問も,100年後の学者

が見たら,間違いだらけのものであるに違いない。科学史を学ぶことにより,自然科学にも歴史があり,時代の制約が

あることを理解し,現在の科学を絶対視せず,相対的な目で見るようになって欲しい。併せて,西洋の合理精神,ロジッ

ク,批判精神などを理解し,身につけてもらいたい。

 

技術史第一(History of Technology I)

中島 秀人 助教授  前学期  2−0−0

現代社会において,技術は人類の未来を左右する大きな役割を果たしている。IT技術やバイオテクノロジーの発展,

先端技術商品の氾濫,生命倫理,地球環境問題などのいずれもが,技術の発達と関係している。本講義では,科学や技

術に関係する職業に就く受講者が多数であることを考慮にいれながら,このような問題を考えるための基礎としての技

術史を扱う。

具体的には,古代から産業革命直前までの時期を対象とする。特に,通常軽視されがちな中世の技術にも焦点を当て,

これが近代技術とどのようなつながりを持つのかを考察する。できる限りAVを活用する。

 

現代技術史(History of Modern Technology)

中島 秀人 助教授  後学期  2−0−0

現代の技術システムがいかに形成されたかについて,19世紀中葉以降に着目して論じる。特に,社会の「マス化」を

キーワードとして,これに技術がどのように寄与し,どのような問題を引き起こしたかを吟味する。また,このシステ

ムを完成した20世紀アメリカの発展をみていく。できる限りAVを活用する。

 

日本技術史(History of Technology in Japan)

木本 忠昭 教授  前学期  2−0−0  (2学期)

日本の技術発展は,とくに戦後めざましいものがあるが,その明治時代から今日にいたるまでの発展過程を通史的に

見ることによって,日本技術および日本「技術者」を考える。発展の全体構造,第二次大戦までの日本技術の展開と問

題点,大戦後の技術発展の構造,現代日本技術論,ハイテクと技術構造,日本技術と世界技術,技術進歩と環境・社会

問題,日本技術者論などを取上げる。

 

科学方法論(Philosophy and Methodology of Science)

三浦 謙 講師  前学期  各2−0−0

人間の認識の方法や信念体系の一つとして科学を捉え,事例を紹介しながら,日常的な見方との連続性と断絶,実験

や観察におけるデータの客観性,理論の検証,現象と実在の違い,社会的文脈性といった問題の検討を通じて,科学的

思考・方法とは何かを考える。

 

科学技術者倫理

木本 忠昭 教授 ほか  後学期  各2−0−0

近年,技術者の倫理を問われる事件が多く起こっている。チャレンジャー号の爆発では,寒気打ち上げが懸念される

というデータがありながら最後まで担当技術者が主張しなかったとか,建築の設計が手抜きであったとか,あるいは工

事の手抜きを行った結果が大事故につながったなどなど例を挙げればきりがない。現在も問題になっている原子力炉シ

ュラウドでのデータ隠しも(経営者は勿論)技術者の責任を問われる問題である。

 他方,アメリカでは技術者倫理の素養を持たない者は,専門職業としての技術者としては認められない制度となってい

る。日本でも日本工業教育協会でも,技術教育の認定制度を導入し、東工大でも認定基準をクリアするよう,これに対

処することとなった。この認定制度の資格を取らないと、海外で技術者として活動できない局面も出てきている。

 本授業は,こうした要求をクリアし,設定された資格を受ける条件を満たすという側面と,それとは関係なく,技術者

としては本来,倫理的な模範をもつべきであるという考えから,科学技術者の倫理問題を考える授業として開講する

ものである。

授業内容は,科学技術者倫理とは何かというところから始まって,過去に発生したケーススタディを通じて,何がど

のように問題であったかを取り上げ,最後に応用倫理学としての理論を展開する。

 

国語第一(Japanese I)

井口 時男 教授  前学期  2−0−0

柳田国男の「遠野物語」は日本民俗学の古典だが,名文の誉れ高く,また,山男・山女,カッパ,ザシキワラシ等の

話で一般にもよく知られている。講義では,ことに日本近代文学との関係に重点を置いて「遠野物語」を読みつつ,柳

田の思想を紹介検討する。あわせて,日本庶民の自然観・世界観・霊魂観などについても考える。

テキスト『遠野物語・山の人生』(岩波文庫)

 

国語第二(Japanese II)

井口 時男 教授  後学期  2−0−0

前期の継続

 

音楽文化論第一(Music Culture I)

東谷  護 講師  前学期  2−0−0

〈ポピュラー音楽研究の諸相〉

 近年,ポピュラー音楽を学術的な研究対象とするようになってきた。20世紀のポピュラーカルチャーを論じる際に避け

て通ることができないものが,ポピュラー音楽なのだから,学術的な研究対象になるのは,至極当然のことである。本

講義では,ポピュラー音楽を学術的に研究することとはどういうことなのか,ということを具体的な事例を用いながら

考えたい。

 

音楽文化論第二(Music Culture II)

谷口 文和 講師  後学期  2−0−0

 

端的に言えば,音楽とはけっして鳴り響く音そのものではなく,人がそれを「音楽」として感じとる体験によって

成立するものである。しかし一方でCDなどの録音物は,まるで音楽が「モノ」としてそこにあるかのように扱われて

いる。音楽のとらえ方において生じるこの食い違いは,こんにち私たちが音楽について語ろうとする上で様々な混乱

として現れる。そこで,この「体験」と「録音」の二つをキーワードに,音楽をめぐる価値観がどのように作られて

いるのかを考えていきたい。

 

美術史・美術理論(Art History and Art Theories)

春日  聡 講師  後学期  2−0−0

テクノロジーの発達に伴うスピード感や社会的価値観の多様化が,美術や音楽における表現行為や作品にもたらして

いる影響は計り知れない。中でも特に,テクノロジーと脱カテゴリーを特徴とする美術作品や音楽作品が顕著に示すの

は,それまで作られてきた表現方法,質感,広くは価値や概念を次々に更新している(かのように見える)という事実

である。

またメディア全体においてもクロスオーバー化,リミックス化が進展する現在,映像やメディア・アートなどの領域

を含めたさまざまな音の世界もまた音楽とは別の展開を見せている。

この講義では「音」を手がかりにして,美術や映像など様々な周辺領域との接点を視野に入れながら,現在進行する

先鋭的な「音楽」「音響」作品の動向を「現代美術」「現代音楽」以後のパースペクティヴとして探る。

また,20世紀の先駆的な活動をクロニクル的に俯瞰し,特に戦後の電子音楽の勃興以降にスポットライトを当て,個々

の作品/作家解説などとともに周辺の動向やテクノロジーの状況なども交えながら横断する。

従来の美術史,音楽史の展開だけでは見えてこないような人間と「音」との関係について,実際に積極的に作品を視

聴しながら,領域横断的な文化史を試みる。

 

近代文学(Japanese Modern Literature)

小林 広一 講師  前学期  2−0−0

日本近代文学の名作を読み,鑑賞し,なぜ名作となったかを考える。人生に於ける文学の意義を検討する。文学レポー

トの書き方をおぼえる。

 

古典文学(Japanese Classics)

津島 知明 講師  後学期  2−0−0

テーマ 古典文学再入門

私たちの前には「日本古典文学」と呼ばれる数々の作品が存在します。ところが実際,それらはなぜ「古典」たり得

ているのでしょうか。単に「古いから」ではおそらくないでしょう。ここでは『枕草子』『源氏物語』という,よく知

られた作品を取り上げながら,なぜそれが「古典」と認定されてきたのか,そして,いま私たちとどのような対話が可

能なのかを,考えていきたいと思っています。

 

歴史学第一(History I)

山室 恭子 教授  前学期  2−0−0

武田信玄・上杉謙信・毛利元就……各地に群雄が覇を競った日本の戦国時代に焦点をあてて,激動の渦がどのように

収束して新しい時代が誕生するに至ったのかを,社会的な動きと人物面の双方から探究する。

どんな結論が出たかより,その結論に至るプロセスを披露することで,歴史学の <方法> に触れていただきたいとい

うのが主眼なので,日本史にかかわる基礎知識はいっさい不要である。

 

歴史学第二(History II)

山室 恭子 教授  後学期  2−0−0

これであなたも時代小説通。

長い年月にわたって何百万・何千万人という多くの読者を獲得してきた歴史・時代小説を取り上げ,その「おもしろ

さ」を解剖してみる。

『宮本武蔵』と『バガボンド』の関係,これ一作で無名の一志士を一躍メジャーネームにした『竜馬がゆく』,『鬼平

犯科帳』や『剣客商売』など池波正太郎ワールドの奥深さ等々,各回読み切りでいろいろな虚構世界,いろいろな日本

語に触れてみる。

第一を受講していなくても受講することが可能である。むしろ,幅広くさまざまな分野に触れるためには,第一だけ,

第二だけといった短期の受講を推奨したい。


日本文化論(Japanese Culture)

 

現代史(Contemporary History)

榊 直樹 講師  後学期  2−0−0

担当教官は新聞社の論説委員で,主に政治分野の社説を執筆しています。目の前で起きている事象に対し,どう受け

止めて何をすべきか,即時性をもってコメントするのが役割です。いままさに脈打っているニュースを題材に,その歴

史的背景やさまざまな角度から解説して,日本と世界を考えたい。現代を見る視点の多様性,柔軟性を養ってほしい。

 

生命倫理学(Bioethics)

香川 知晶 講師  前学期  2−0−0

生命倫理学の基本的な考え方と問題を理解することを目標とする。特に,生命倫理学が誕生した背景にある人体実験

の問題に焦点を合わせて,具体的な議論の推移を跡付けるとともに,医薬品をめぐる問題を中心に,日本における医学

の現状と問題点を紹介することにする。

 

環境・社会論(The Theory of Environmental Protection)

伊瀬 洋昭・小野塚 春吉 講師  後学期  2−0−0

私たちが直面しているさまざまな環境問題について,社会的側面から整理・分析し,受講生にとって考えるべき論点・

課題がより明確になる,そのことを目指して講義をすすめる。環境問題などの「現代的課題」に対しては,安易な結論

に安住して思考停止状態になることを避け,より本質的な課題について検討し続けていくことこそが,重要だと考える

からである。

 社会的側面から見たとき環境問題には,局所的なものにも地球規模のものにも共通する面を見出すことができるし,薬

害や一般に人間の健康の問題,技術の安全性と事故の問題,資源問題やゴミ問題,自然災害を防ぐ問題などと密接に関

連する面も見出すことができる。そのような連関を視野に入れながら,いくつかの歴史上の事例を題材としてとり上げ

て検討を加える。

 

 

西洋近現代思想史(History of Modern Western Thoughts)

杉田 正樹 講師  前学期  2−0−0

この講義では,ルネッサンスから現代にいたる,主たる西洋哲学思想を紹介する。それをとおして,哲学とはそもそ

もどのような問題を解こうとしているのか,そのためにどのような方法を用いているのか,その課題をどこまで果たし

たのか,どのような問題が残っているのか,を検討する。要するに,哲学とは何か,という問題を哲学史を用いて考え

るのである。このことは,古代ギリシアや,中世の哲学を参照することを要求する。また,東洋の思想との比較も必要

となる。この講義によって,人類の知の営みの概略を得ることができるとともに,近代の合理性のもつ限界も明らかに

なるはずである。

 

理論言語学(Theoretical Linguistics)

畠山 雄二 講師  後学期  2−0−0

我々ヒトの脳の中には「文法」がある。この「脳内文法」のおかげで,我々は言葉を生み出し,それを理解すること

ができる。はたして,この「脳内文法」のメカニズムはどうなっているのであろうか?この問いに対して科学的な説明

を与えること,これが本講義のねらいである。また,本講義では,なぜ子どもは短期間のうちに母語をマスターするこ

とができるのか?なぜ子どもは国籍を問わずいかなる言語をもマスターすることができるのか?なぜ我々日本人はなか

なか英語をマスターすることができないのか?等の素朴な疑問に対しても科学的な説明を与えていきたい。

 

心理学(Psychology)

徃住 彰文 助教授  後学期  2−0−0

人間の心のメカニズムについて,最新の研究成果をとりあげながら概観する。思考,記憶,意思決定,知識,感情,

人格,発達,社会が,主要なトピックである。簡単な実験や調査をおりまぜた授業形態で,講義を進める。

 

認知科学(Cognitive Science)

徃住 彰文 助教授  前学期  2−0−0

「心の科学」の新しい展開として,心理学,人工知能学,言語学,神経科学,文化人類学などをクロスオーヴァーす

る認知科学という領域が形成されつつある。人間の心について,どのような理論が提案されているのか? 心理学の観

点から,認知科学の最前線を探る。

 

応用心理学(Applied Psychology)

権藤 恭之 講師  徃住 彰文 助教授  前学期  2−0−0

現在,そして未来の高齢者像,高齢社会の現状を多面的に紹介し,高齢者に対する理解を深めることを目的とする。

高齢者の様々な特徴を若者との比較を通して紹介する。

 

文化心理学(Cultural Psychology)

未 定  前学期  2−0−0

 

人格心理学(Personality Psychology)

加藤  司 講師  後学期  2−0−0

心理学の基礎的な知見を踏まえ,人格(パーソナリティ,性格)に関する基礎的な理論を学習する。講議は心理学に関す

る知識がない学生にも理解できるよう,心理学の基礎理論を説明しながら進めていく。

本講議を通じて,学生にはTVや雑誌などで用いられている性格検査と心理学で用いられる性格検査との違いに気付いて

ほしい。

 

経済学第一(Economics I)

大和 毅彦 教授  前学期  2−0−0

ミクロ経済学の基礎理論について講義する。消費者や生産者にとって,生産・消費に関する最適な選択は何か,社会

全体として,どのような財・サービスの配分を行うべきかなどを吟味する。

 

経済学第二(Economics II)

大和 毅彦 教授  後学期 2−0−0

ミクロ経済理論の応用について講義する。内容は,情報の経済学,公共経済学,産業組織論,環境経済学,公平性の

経済学,選挙制度の分析など。

 

法学(Law)

金子 宏直 助教授  前学期  2−0−0

民法と刑法を中心にして法律学の基礎的概念を学ぶ。

 

民事法(Civil law)

金子 宏直 助教授  後学期  2−0−0

具体的な事例を取り上げながら,民事裁判の仕組み及び民事訴訟法について学ぶ。

 

政冶学第一:西洋政冶思想史(History of Western Political Thought)

田中善一郎 教授  前学期  2−0−0

政治や政治権力を考える枠組みが作られ,伝えられてきたギリシャから19世紀に至る西洋の政治思想の歴史を人物中

心に解説する。

0. 政治学の特徴:社会科学と自然科学

1. ギリシャの政治思想

プラトン(Platon)

アリストテレス(Aristoteles)

2. ローマの政治思想

3. キリスト教(ユダヤ教,イエス,パウロス,アウグスティヌス)

4. 中世的思考:トマス・アキナス(Thomas Aquinas, 1225-1274)

5. 近代的思考

マキャヴェッリ(Machiavelli, 1469-1527)

ボダン(Jean Bodin, 1530-1567)

ホッブス(Thomas Hobbes, 1588-1679)

ロック(John Locke, 1632-1704)

モンテスキュー(Montesquieu, 1689-1755)

ルソー(Jean-Jaques.Rousseau, 1712-1778)

バーク(Edmund Burke, 1729-1797)

ミル(James and J.S.Mill, 1773-1836;1806-1873)

6. マルクス主義(Karl Marx, 1818-1883)

 

政冶学第二:現代の政冶理論(Contemporary Political Theories)

田中善一郎 教授  後学期  2−0−0

現代政治学において政治の分析のために使われている主要な理論を,それぞれの理論の代表者の著作を中心に解説する。

1. グレアム・ウォーラスと人間性論

2. アーサー・ベントレーと集団理論

3. デーヴィド・トルーマンと集団理論

4. セオドア・ローウィと政策類型論

5. ロバート・ダールと政治的多元主義

6. フィリップ・シュミッターとネオ・コーポラティズム

7. デーヴィド・イーストンと政治システム論

 

 

国際関係論第一(International Relations I)

蟹江 憲史 助教授  前学期  2−0−0

この講義では,国際関係論の基本となる見方・考え方を提供することを目標とする。国際関係はこれまでどのように

説明されてきたのだろうか? また,複雑化する現実の国際情勢の変化に伴い,国際関係論はどのような変化を遂げて

きているのだろうか?

 

国際関係論第二(International Relations II)

蟹江 憲史 助教授  後学期  2−0−0

様々な形でグローバルな問題が噴出している現代であるが,それらの問題はいかにすれば解決できるのであろうか?

本講義では,グローバルに問題解決を行う方法の中で,特に多国間主義に焦点をあてることにより,国際的問題解決の

ために国際関係論が如何に貢献できるか,ということを考えていく。 

 

社会学基礎(Foundation of Sociology)

今田 高俊 教授  前学期  2−0−0

本講義では,社会学の基礎的な考え方について学習する。社会学とはどのような学問であるかに始まり,社会的事実

の蒐集法,分析の方法とレベル,社会化と人間形成,社会参加の諸形式,逸脱行動などを中心に講義する。

 

社会学応用(Application of Sociology)

今田 高俊 教授  後学期  2−0−0

本講義では,社会学第一の基礎論をもとにして,年齢・性・階級などによって分割されている社会状態,家族問題,

技術と社会変動,都市化と生活の質など,日本社会の現実分析をまじえながら,具体的な社会現象を把握する応用論

を講義する。

 

メディア社会論第一(Media and Society I)

遠藤  薫 講師  前学期  2−0−0

「マルチメディア」,「電子ネットワーク」といった囃子言葉の喧しい昨今である。本講では,“メディア”を通じて,

人間と社会の相互関係を考えていく。第1では,メディア問題を考えるための基盤となる理論およびメディアの変遷に

ついて講義する。

 

メディア社会論第二(Media and Society II)

未 定  後学期  2−0−0

 

文化人類学(Cultural Anthropology)

上田 紀行 助教授  前学期 2−0−0

現代の世界的危機の根源を探り,その乗り越えをイメージしながら,文化人類学の入門を行う。文化の二面性,現代

に至るまでの人類史の流れ,文化の習得と再創造などを講義するほか,受講者自身が自ら体験するワーク,ゲーム,ディ

スカッションなども行うので,積極的に参加して,自分を知り,他を知るきっかけとしてほしい。

 

文化社会論(Culture and Society)

上田 紀行 助教授  後学期  2−0−0

なぜ人類社会には「差別」や「暴力」が存在するのだろうか。そしてそこからの解放にはいかなる戦略が必要だろう

か。「宗教」はその解決になるだろうか。前半では,差別や暴力を実例とともに論じ,後半では宗教の可能性と問題点

を論じる。講義のみではなく,受講者参加によるワークやディスカッションも行われるので,積極的に参加してほしい。

 

統計学基礎(Elementary Statistics)

齋藤 堯幸 教授  前学期  2−0−0

自然科学,社会科学,人文科学に共通する統計学の入門的知識を講義する。統計学の歴史と意義,記述統計,確率分

布と標本などを扱う。


統計分析入門(Introduction to Statistical Analysis)

齋藤 堯幸 教授  後学期  2−0−0

自然科学,社会科学,人文科学に共通する統計学の入門的な分析法を講義する。標本統計量の分布,検定と推定,い

くつかの連続分布とその応用,回帰の推測統計理論などを扱う。

 

理論社会学(Theoretical Sociology)

橋爪大三郎 教授  後学期  2−0−0

社会という現象を研究するのに,どういう方法が有効なのか,政治学,経済学,人類学,社会学,哲学などの領域で

の,過去の優れた理論家たちの苦闘を紹介する。言語ゲーム,マルクス主義,構造主義などといった方法のいずれかに,

焦点をあてる。

 

宗教社会学(Sociology of Religion)

橋爪大三郎 教授  前学期  2−0−0

ユダヤ教,キリスト教,イスラム教,仏教,儒教など主要な宗教を比較して論ずる。宗教という人類最大の文化遺産

を通して,人間社会の過去・現在・未来を考える。余裕があれば,国際社会の問題についても触れる予定。

 

マクロ経済学(Macro Economics)

千明 誠 講師  後学期  2−0−0

マクロ経済学は,「集計された」経済変数について,その水準が動向の決定,および他の経済変数との関係,など

を明らかにする経済学の一分野です。この講義では,その分析に用いられる手法に焦点を当てて解説を行いますが,そ

れによって,マクロ経済学という「方法」を参加者が習得する事を本講義の目的とします。講義を通して,「経済学的

直感」を生かしつつ,それを的確に表現する術を身につけて下さい。

 

憲法(Constitution)

榎  透 講師  前学期  2−0−0

憲法については,中学校や高校で勉強した人も多いと思う。そこでは,条文等の暗記を求められたと思うが,憲法の勉

強はそれだけではない。この講議では,「憲法」とは何のために存在するか,「憲法」とは私たちが生きていく上でど

のような意味を持つのか,ということについて考えていく。そのためには,西欧の立憲主義思想をふまえ,日本国憲法

の特徴を正確に理解することが必要である。したがってこの講議は,日本国憲法の基本的な考え方を理解し,憲法やそ

れに関わる社会問題について自分なりに考える力を身につけることを目標とする。

 

ミクロ経済学(Micro Economics)

和光  純 講師  後学期  2−0−0

市場経済の仕組みを,相互に関連しあう個々の消費者や企業の行動を考察することを通じて,理解する。また,ゲー

ム理論を応用した経済分析についても論ずる。

 

システムマネジメント入門(Introduction to Systems Management)

木嶋 恭一 教授  前学期  2−0−0

システムマネジメントとは,人間や,企業あるいは地方自治体・政府などの組織,さらには社会に関わる「問題状況」

をシステムとして捉え,それを「うまく処理する」(マネジする)問題解決のための方法論の体系である。我々は日々,

意思決定が求められる様々なレベルの「問題」に直面している。例えば,購入すべき車の選択,就職先の決定,新製品

開発問題,国際的地域紛争…。本講義は,まず,問題状況をシステムとして捉えることの意味と方法を説明し,それに

基づき,様々な複雑な問題状況に直面した意思決定主体システムの決定行為にかかわる合理性について解説する。さら

に,学習や相互理解,非合理的な決定行動についても言及する。

 

交渉の科学(Negotiation Science)

木嶋 恭一 教授  後学期  2−0−0

人間や企業・地方自治体・政府などの組織を意思決定主体として捉え,その相互作用を広い意味での交渉と捉え,様

々な視点からこれにアプローチする。すなわち,人間や組織間の交渉の過程を記述する数理的方法,主体間の交渉が提

携を形成する過程に注目するシミュレーションアプローチなどについて説明する。さらに,個人レベルの交渉について,

ビジネスにおける交渉・自己主張など実践的な話題についても言及する。

 

競争とゲーム理論(Non-Cooperative Game Theory)

武藤 滋夫 教授  前学期  2−0−0

本講義及び後学期開講の「協調・交渉とゲーム理論」においては,経済学,経営学,社会学,政治学など,社会科学

の諸分野に対して大きなインパクトを与えているゲーム理論について,その理論的基礎を提供するとともに,社会科学

の諸問題への応用を紹介する。特に本講義においては,1980年代以降経済学をはじめとする社会科学の諸分野の発展に多

大な貢献をなし,社会を構成する主体間の競争行動を扱う「非協力ゲーム理論」について,その理論的基礎を,経済学,

経営学,社会学,政治学などにおける例を引きながら解説する。

 

協調・交渉とゲーム理論(Cooperative Game Theory)

武藤 滋夫 教授  後学期  2−0−0

本講義及び前学期開講の「競争とゲーム理論」においては,経済学,経営学,社会学,政治学など,社会科学の諸分

野に対して大きなインパクトを与えているゲーム理論について,その理論的基礎を提供するとともに,社会科学の諸

問題への応用を紹介する。特に本講義においては,企業組織や社会組織における意思決定の分析に大きな役割を果たし,

社会を構成する主体間の協調行動及び交渉を扱う「協力ゲーム理論」について,その理論的基礎を,経済学,経営学,

社会学,政治学などにおける例を引きながら解説する。

 

社会システム理論(Social System Theory)

猪原 健弘 助教授  後学期  2−0−0

私たちは,他の多くの人と共に社会を形成している。社会の中での私たちの暮らしは意思決定の連続である。その意

思決定は互いに他者に影響を及ぼし,さらに社会全体の振る舞いにも影響を与える。この講義では,特に「私たちが他

者に対して持っている感情」に注目して,私たちの意思決定と社会の振る舞いの間の関係を数理的に調べていきたい。


集団意思決定理論(Group Decision Making)

猪原 健弘 助教授  前学期  2−0−0

議会や役員会での意思決定や選挙による代表者の選出など,通常,複数の意思決定主体によって行われる意思決定を

「集団意思決定」と呼ぶ。集団意思決定では,最終的な決定が採決を通じて行われることが多いが,採決以前に意思決

定主体の間で情報交換が行われることが普通である。この講義では,集団意思決定の中での情報交換における,各意思

決定主体の意見の柔軟性に注目し,情報交換と意思決定の結果の間の関係について調べていきたい。

 

文系発展ゼミ第一〜第六(Advanced Humanities and Social Sciences II)

各教官  各2−0−0

人文科学,社会科学についての深化した学習を通じて,文系学問の深い素養と思考法を修得することをめざす。少人

数制を原則としたこの科目は,各授業担当教官により,開講形態,対象学年などが大幅に異なるので,「教授細目」(シ

ラバス)」を参照されたい。


総合科目

 

総合科目A(General Course on Humanities, Science and Technology A)

各教官  前学期  後学期  2−0−0

総合科目Aは,1年次を対象としており,人文科学,社会科学に属するある特定のテーマについて深い検討をおこな

うことをめざす。各授業担当教官は,文学,心理学など特定の専門分野を持っているが,それぞれの専門分野を拠点と

しながらも,人文科学,社会科学の全般,さらには自然科学,技術の幅広い視野と文脈の中で問題をとらえ直すことを

試みる。

総合科目Aを構成する各クラスは,授業担当教官の専門分野に応じて,総合科目A(文学),総合科目A(心理学)

などの名称がつけられている。各クラスは,前期もしくは後期の半年で完結する2単位の科目である。同一の名称をも

つクラスを2度以上履修することはできない。

各クラスの授業担当教官,テーマ,内容については,「教授細目(シラバス)」を参照されたい。また,各学期初めの

「総合科目Aガイダンス」においても説明をおこなう。各クラスには人数制限があるので,その調整もガイダンス時に

おこなう。

 

総合科目B(General Course on Humanities, Science and Technology B)

各教官  前学期  後学期  2−0−0

総合科目Bは,2,3,4年次生を対象(主として3年次推奨)としており,授業形態によって次の3種類がある。

(1) 文系教官と理工系教官が共同して開講するもの。

(2) 複数の文系教官が共同して開講するもの。

(3) 文系教官が単独で開講するもの。

総合科目Bを構成する各クラスは,授業担当教官の専門分野に応じて,たとえば総合科目B(材料の今までとこれか

ら),総合科目B(文学を科学する)などの名称がつけられている。上記のクラスはすべて,前期もしくは後期の半年

で完結する2単位の科目である。総合科目Bは,2,3,4年次に履修できるが,同一の名称をもつクラスを2度以上

履修することはできない。

各クラスの授業担当教官,テーマ,内容については,「教授細目(シラバス)」を参照されたい。