I 文系科目・総合科目

文系導入科目

論語を読む(Reading the Analects of Confucius)

田中 善一郎 教授  前学期  2−0−0

 中国と日本で古くから読まれてきた論語を皆でよむ。

人間の知識表現と論理的言語

藁谷 敏晴 教授  前学期  2−0−0

 現代文明は,コンピュータ抜きでは考えられない。さて,数理論理学はコンピュータの理論的基礎の重要な基礎である。無論,論理学自身はギリシャの昔からあったが,19世紀末から今世紀にかけて「数学化,数学的学問としての整備」が行われた。こうしてできあがった数学化された論理学を「数理論理学」といい,これが現在のコンピュータ,コンピュータ文明の基礎をつくっている。

 ところで,先ほど述べたように,現代文明はコンピュータ抜きには考えることができないことを考えると,数理論理学に関する一応の基礎的理解は学科によっては必須の知識であり,たとえ必須ではなくとも,こうした知識をもつことは望ましい。さて,数理論理の理解には二つの局面がある。一つは技術的側面であり,一つはそれを支えている哲学的思想的側面である。本講義では現代の数理論理学の哲学的側面を,人間知識の表現や推論などを例にとって,論ずる。数理論理学の知識は,もちろん不要である。

意思決定の基本ロジック(Basic Logic of Decision Making)

木嶋 恭一 教授  前学期  2−0−0

 住宅の購入,就職先の決定,新製品開発等々,我々の周りには意思決定が必要な様々な分野・レベルの問題状況が満ちあふれている,本講義は,そのような複雑性に満ちた問題状況に対処する,合理的な意思決定の基礎的な考え方(ロジカル・シンキング)について解説することをねらいとする。「意思決定とは何か」から始め,複雑性の分類とそれらの取り扱いの方法とモデルまで,1回読み切り形式で話題を提供する。高校時代には体験しなかった社会や人間の振る舞いに対する数理的なアプローチの一端を述べるだけでなく,その最先端の話題まで言及する。

経済学入門−理論と実験(Introduction to Economics: Theory and Experiments)(平成18年度休講)

大和 毅彦 教授  前学期  2−0−0

 全ての経済学の入門書には,あるいは中学校で習う公民の教科書にさえも,「市場においては,需要曲線と供給曲線が交わるところで取引価格と取引数量が決まる」と書いてある。しかし,我々ひとりひとりは,市場全体の需要曲線や供給曲線がどんな形をしているのかを知らず,自分自身の事だけ考えて勝手に取引しているのに,本当に需要曲線と供給曲線が交わるようなところで価格と数量が決まるのだろうか?あるいは,公共経済学の理論では,各個人は他の人が公共財にお金を出し費用を負担してくれることを期待して,自分はお金を出さないようにするため,結果としてみんなお金を出さず十分な量の公共財は生産されないという,「ただ乗り」の問題が生じると主張する。しかし,NHKの放送料金の負担について考えると,料金を支払わないことに関して明確な罰則がないにもかかわらず,多くの人(?)が料金を支払い,ちゃんと毎日NHKは放送を供給している。公共財供給における「ただ乗り」の問題は実際には生じず,経済学者の考え出した寓話にすぎないのではないか?実験経済学は,経済学の理論が本当に現実の経済現象を説明しているのかというこのような疑問に対して答えようとするもので,近年急速に発達してきた経済学の新しい分野の一つである。実験経済学では,被験者を集め,実験室で経済理論のモデルで想定されている環境を再現し,経済理論の予測の是非が検証されている。需要と供給,公共財の供給,賃金交渉,金融市場,競売,企業カルテル,不確実性下の意思決定等のトピックスに関してさまざまな実験が行われている。この講義では,実際に教室で実験を行いながら,経済理論,実験の方法・手続き,実験結果を学習することを予定している。

グループ・リサーチ社会学(Group Research in Sociology) SC:(H17選定)創造性育成科目(平成18年度休講)

橋爪 大三郎 教授  前学期  2−0−0

 同時代の社会を生きる人間として,この社会の成り立ちに興味をもち,さまざまな人びとの生き方に共感できる能力を育てることを目的とする。数人でグループをつくり,研究テーマを決め,自分たちで調査を進めて研究報告をまとめる。書物やデータを使いこなす,討論や共同作業の技術,発表の方法など,体験的な学習に重点を置く。

世界文学入門I(Introduction to World Literature I)

°井上 正篤 教授 里見 達郎 教授 リース・モートン 教授 市川 伸二 助教授 戦 暁梅 助教授

前学期  2−0−0

 国際化時代に異文化理解は必須の課題である。そのためには,世界各国の主要な文学作品を通して,諸国民の考え方,感じ方,つまりは「心性」を理解するのも一方法だろう。本授業は,「世界文学とは何か」,「どんな作品を読むべきか」を皮切りに,ドイツ・フランス・ロシア・中国・英米の代表的作品(小説・詩・思想等)を鑑賞・考察する。授業は外国語研究教育センターの教員が,それぞれの専門を踏まえ,オムニバス形式で行うが,当該外国語の知識はなくてもよい。

世界文学入門II(Introduction to World Literature II)

°井上 正篤 教授 里見 達郎 教授 リース・モートン 教授 劉 岸偉 教授 市川 伸二 助教授

後学期  2−0−0

 授業内容はIに同じ。採り上げる作家・作品等は異なる。

文学への招待(Introduction to Literature)

井口 時男 教授  前学期  2−0−0

 理学・工学の道を選択したみなさんは,これまであまり文学になじみがなかったかもしれません。これからはますます疎遠になるかもしれません。そういうみなさんのために,文学への道しるべになるようなお話をし,併せて読書案内も兼ねたいと思います。古代ギリシャの悲劇や新約聖書のエピソードから始めて,最後には,現代日本のこの「現在」の表現にまで到達したい。

日本美術を読み解く(Japanese Art History)

岸 輝 助教授  前学期  2−0−0

 絵巻は日本美術史において主要なジャンルを形成しているが,その独特の発達過程,本来の制作目的,用途,鑑賞方法など,実はよくわかっていない。本講義では,古代から近代までおよそ千年にわたる絵巻の歴史をたどりながら,各作品の特質,同時代史料に見られる制作・鑑賞・蒐集などの実態を明らかにし,「特殊な宝物」として各時代の政権担当者を魅了した謎に迫る。

コラムランド(Column Land) SC:(H17選定)創造性育成科目

山室 恭子 教授  前学期  1−1−0

 まっしろな紙のまんなかにぽつりと1行−あなたの大切な人は,誰ですか。

 これもまたコラムである。2005年度夏の陣,「問」セッションの3位入賞作品。2002年度夏の陣,「愛」セッションで首位をさらい伝説となった「欲しい。」につぐコラムランド史上2番目の短さでの入賞であった。

 と,ここまでで「コラム」という言葉の既成イメージを崩せただろうか。コラムランドでの「コラム」は何でもあり。ときに爆笑,ときにしみじみ,そうやって友人たちの作品を堪能しつつ,自分もその中に参戦してゆくことで,文章力と発想力と,そして度胸が鍛えられるしくみである。

 B5一枚のまっしろな紙がキャンバス。自分の中の可能性を探してみよう。−あなたの大切な人に,思いを伝えるために。

社会における科学(Science in Society)

山崎 正勝 教授  前学期  2−0−0

 20世紀は戦争の世紀だったという言い方がある。前半期には,人類史上未曾有の2つの世界大戦が起こり,後半期には冷戦があった。そしてそれ自身としては,自然の知識の体系にすぎないはずの自然科学も,この世紀の間に多くの社会的事件,とりわけ戦争に巻き込まれていった。つい数年ほど前までは,世界の科学技術者の4分の1は,何らかの意味で軍事研究に関与している(国連事務総長報告)と言われる現実が,世界を支配していたのである。冷戦の終結が言われる中で,果たしてこれからの世界は平和的な科学技術を実現するのだろうか。この一方で,飢餓の存在が克服されないまま,科学と技術の力は,この世紀のうちに自然の環境を地球的規模で,そして時に回復不可能な形で改変しうる力を持つに至るということも起こった。この講義では,20世紀に起こった科学をめぐるいくつかの社会的事件を回顧しながら,21世紀に目指すべき科学のあり方を考えていきたい。

意思決定理論の展開(Improvements of Decision Making Theories)

猪原 健弘 助教授  前学期  2−0−0

 意思決定理論,特にゲーム理論は,様々な形で拡張され多くの分野を派生させている。実際,メタゲーム理論,ハイパーゲーム理論,ソフトゲーム理論,ドラマ理論などはすべて非協力的ゲーム理論から派生したものである。この講義では,それぞれの理論の特徴について解説していく。

There are many variations and generalizations of decision making theory, in particular, game theory. In fact, metagame theory, hypergame theory, soft game theory and drama theory come from non-cooperative game theory. In this lecture, introduction to these theories are provided.

現代科学技術と社会(Science Revisited: An Approach to Science and Technology Studies)(平成18年度休講)

中島 秀人 助教授  前学期  2−0−0

 科学技術と社会の間に起こる諸問題について,テーマを変えながら議論する。知識を修得するというよりは,問題をとらえる視点を学ぶ。特定の視点を会得するのではなく,同一の問題を多様な観点から処理するスキルを獲得して欲しい。

日常生活と法(Daily life and Law)

金子 宏直 助教授  前学期  2−0−0

 日常生活で関係する法律問題に関心をもち,社会人として必要な法律知識を学ぶ。

都市のシステム(Topics on Urban Systems)

十代田 朗 助教授  他  社会工学科各教員  後学期  2−0−0

 現代文明の集積である都市をテーマに,都市と社会の関わりを考慮しつつ,都市の様々なシステムについて,社会工学科の各教員が今日的話題を中心に,社会工学の立場から都市へのアプローチを論ずる。

科学者とは何か(Scientists in Society: Their Past and Present)

梶 雅範 助教授  後学期  2−0−0

 現代社会において科学者がどのような位置にあり,どのような役割を果たしているのか。その成立の歴史をたどり,現状はどうであるのか探り,現代の科学者には何が要求されているのかを考える。

現代社会への視点(Viewpoint to the contemporary society)

今田 高俊 教授  後学期  2−0−0

 現代社会は複雑怪奇で,私たちの理解が及ばないことが数多く発生しています。本授業では,現代社会を眺める視点を様々な角度から学ぶことで,社会を見る眼を養うことを目的としています。たとえば,リスク社会の問題,階層格差の問題,電子メディアとIT革命の問題,家族崩壊の問題,公共性の問題などを題材にして,オムニバス方式で現代社会を読み解く術を学びます。

交渉で学ぶ政治学入門(Role Playing Political Science)

蟹江 憲史 助教授  後学期  2−0−0

 政治が生活や研究の中にも入り込んでいる現代社会ですが,政治学と聞くと,理系の皆さんにはあまりなじみがないかもしれません。

 しかし,政治学はこれからの社会を生き抜いていく上で,最低限身につけておくべき学問でもあります。

 本講義では,「交渉」を素材としたロールプレイングをいくつか実践しながら,政治学の様々な課題を実践的に学んでいく入門講座です。

風景学入門(Introduction of Landscape Study)

桑子 敏雄 教授  後学期  2−0−0

 「風景の目利きになる」

 風景は,人間が自分の環境に対して行ってきた行為を映し出す鏡です。日本の風景のなかに,日本の思想と文化があります。

 風景の見方を学ぶことによって,環境について考え,また,自分自身の姿を学ぶことができます。

 本講義では,身の回りの風景に対する目利きになるためのトレーニングを行います。あわせて,まちづくりや公共事業への参加のあり方や合意形成のプロセス,その中で行われる議論の進め方などについても実践的に学びます。

技術発展と環境問題(Technology in Social-context and Environmental Issues)

木本 忠昭 教授  後学期  2−0−0

 環境問題と技術の発展はどのように関係してきたか,また技術の発展は社会の変化にどのようなインパクトを与えるのか,逆に社会的問題はどのように技術に影響を与えるのか等,技術と社会,人間関係する問題を,公害・環境問題や技術者倫理などまで含めながら検討し,21世紀社会における技術のあり方を考える。

心の科学の思考法(Paradigms of the Science of Mind)

徃住 彰文 助教授  後学期  2−0−0

 心という,物質として存在するわけではない対象を相手にして格闘しなければならないところに,心理学の困難さと醍醐味がある。心の科学者は,何世紀にもわたる研究を続けようとも,心そのものに手をふれることも,心そのものを目にすることもできないのである。そこで,心の科学者は,人間のふるまい,体験などを手がかりとして使いながら,心の本質に迫る方法を開発しなければならない。心理学の歴史は,こうした研究方法を編み出す歴史でもあった。

 本講義では,実習を多用し,手元にあるわずかの手がかり(データ)から,どのようにして心の性質を推論するのかを,体験的に学習することを試みる。

パフォーマンス論(Study on Performance)

上田 紀行 助教授  後学期  2−0−0

 様々なパフォーマンスに接して,「感性」を磨く講義である。パフォーマンスとは何か,なぜ人間は言語だけでなく,身体を使い,曖昧とも思える表現方法を取るのか。演劇,音楽,祭などにおけるパフォーマンスを幅広く取り上げ,パフォーマンスの本質,その解釈などについて論じる。

社会のモデル解析入門(Introduction to modeling in social science)

中丸 麻由子 講師  後学期  2−0−0

 社会を知るために様々な学問分野が存在する。微分方程式といった数理モデルを道具として社会を解析することもその一つである。社会は複雑な要素が絡み合って成立しているが,数理モデル化の際には社会現象を単純化しなければならない。そのため数理モデルによる研究に対して否定的な見解もある。しかし,現代の研究の潮流を作った画期的な数理モデルの場合,導出された結果と実際のデータを比較し,モデルによって上手く現実を説明出来る事が示されている。

 この講義では主に微分方程式によるエポックメーキングな社会の数理モデルを紹介し,数理モデルによる社会研究の長所・短所,そして現実のデータとの対応も示しながら,モデル作りの基本的な考え方を講義する。

ゲーム理論入門(Introduction to Game Theory)

武藤 滋夫 教授  後学期  2−0−0

 社会・経済システムを数理的に記述し分析する理論である「ゲーム理論」について,その数学としての理論的基礎を提供するとともに,経済学,経営学,社会学,政治学など社会科学への適用例を紹介する。まず,非協力ゲーム,協力ゲームの表現形式,解概念を紹介した後,企業の合併,公共財の供給,オークション,共同事業における利益の分配,投票による意思決定,社会的な慣習の形成など,さまざまなケースのゲーム理論による分析を紹介する。


文系基礎科目

倫理学(Ethics)

桑子 敏雄 教授  前学期  2−0−0

 倫理とは人間の選択する行為の規範です。倫理は個人の内面に形成された規範であることで,社会的に制度化された法規範と異なっていますが,現代社会では,このふたつの規範の間は狭まっています。倫理は,行動規範やガイドラインといった形で整備される一方,しつけや教育によって社会的に形成されるだけでなく,個人の意思のもとで形成されるので,ひとの生き方にも深く関わっています。本講義では,以上のような倫理の本質について論じるとともに,現代社会が要請する生命倫理,環境倫理,企業倫理,科学技術倫理等について論じます。

哲学(Philosophy)

桑子 敏雄 教授  後学期  2−0−0

 哲学とは人間と世界の根源的な関係を問う営みです。本講義では,哲学とは何か,どのように生まれたかという問いから始めて,東西の哲学的思考の特色を論じた後,哲学の諸問題について論じます。哲学の基本的な問題群を理解するための講義です。抽象的な話題ですが,できるだけ分かりやすく,具体的な問題に即して論じる予定です。

論理学第一(Logic I)

藁谷 敏晴 教授  前学期 2−0−0

便宜上論理学を命題論理と述語論理に分けて論ずる。

 第一では主に命題論理を扱うが,できるだけ述語論理の構造が明らかになるように講義を組み立てる。内容は命題論理の体系をいろいろな理論的角度から考察し,完全性や決定可能性その他のメタ論理的概念を説明し,それらについて成立するメタ定理について論ずる。

論理学第二(Logic II)

藁谷 敏晴 教授  後学期  2−0−0

 第二では述語論理の構造を扱うが,その際命題論理の無限への拡張と述語論理の体系の関係について考察する。さらに,述語論理の背景となる哲学的な諸問題を論じながら,モデルの概念を導入説明し,完全性や決定可能性等に関するメタ定理を証明する。さらに,述語論理と知識表現論の問題などについても論じる。なお,第二の履修に際しては第一を既に履修していることを条件とする。

西洋近現代思想史(History of Modern Western Thoughts)

杉田 正樹 講師  前学期  2−0−0

 この講義では,ルネッサンスから現代にいたる,主たる西洋哲学思想を紹介する。それをとおして,哲学とはそもそもどのような問題を解こうとしているのか,そのためにどのような方法を用いているのか,その課題をどこまで果たしたのか,どのような問題が残っているのか,を検討する。要するに,哲学とは何か,という問題を哲学史を用いて考えるのである。このことは,古代ギリシアや,中世の哲学を参照することを要求する。また,東洋の思想との比較も必要となる。この講義によって,人類の知の営みの概略を得ることができるとともに,近代の合理性のもつ限界も明らかになるはずである。

近代文学(Japanese Modern Literature)

小林 広一 講師  前学期  2−0−0

 まず,近代日本の傑作小説の母胎となった「文章」について,学ぶ。「文章」とは,個人的に思索する思想や人生観といった意味・内容よりも,「文章」それ自体がもっている伝統的・生理的な形式を優先し,朗々と音読をすすめていくものである。

 次に,こうした「文章」に多大な影響を受けた「小説」について,学ぶ。

 それらの「文章」や「小説」の決定的シーンを取り上げて鑑賞し,なぜ優れているのかについて,概説していく。

古典文学(Japanese Classics)

津島 知明 講師  後学期  2−0−0

 テーマ 古典文学再入門

 私たちの前には「日本古典文学」と呼ばれる数々の作品が存在します。ところが実際,それらはなぜ「古典」たり得ているのでしょうか。単に「古いから」ではおそらくないはずです。ここでは『枕草子』『源氏物語』という,よく知られた作品を取り上げながら,なぜそれが「古典」と認定されてきたのか,そして,いま私たちとどのような対話が可能なのかを,考えていきたいと思っています。

国語第一(Japanese I)

井口 時男 教授  前学期  2−0−0

 柳田国男の「遠野物語」は日本民俗学の古典だが,名文の誉れ高く,また,山男・山女,カッパ,ザシキワラシ等の話で一般にもよく知られている。講義では,ことに日本近代文学との関係に重点を置いて「遠野物語」を読みつつ,柳田の思想を紹介検討する。あわせて,日本庶民の自然観・世界観・霊魂観などについても考える。

 テキスト『遠野物語』(角川文庫)

国語第二(Japanese II)

井口 時男 教授  後学期  2−0−0

 前期の継続

コラムキングダム(Column Kingdom) C:(H17認定)創造性育成科目

山室 恭子 教授  後学期  1−1−0

 陸地(くがち)へと聳え立つ王国−前期の文系導入科目「コラムランド」で,ものを書くことのむずかしさとおもしろさに覚醒した諸賢に,さらなる試練の場を提供するために開講されている。もちろん後期からの参加も歓迎。

 文章力の高き嶺へとかろやかに飛翔するか,餓鬼道の深き沼に堕ちてどろどろとのたうち回るか。それは参加者次第。

社会言語学(Sociolinguistics)

西條 美紀 助教授  前学期  2−0−0

 社会言語学はことばと社会の関係を扱う学問である。下位分類として,社会の中の言語のバリエーションを考える言語変異論,ことばの使いかたについての政策などを扱う言語政策・言語計画論,個人のコミュニケーションと社会の関係を扱う言語行動論がある。この講義では,これらの分野について概括するが,主に言語行動論に焦点をあて,具体的な会話の事例などを分析しながら,個人間の意味交渉や個人内の会話方略などについても考える。自分のコミュニケーションについて自省したい学生の積極的な参加を歓迎する。

情報社会とコミュニケーション(Communication in Information Society)

野原 佳代子 助教授  後学期  2−0−0

 人間は,持っている情報をお互いに伝え,解釈し,とり込みながら共存しているものである。情報社会と言われる現代において,人はどのようにして情報を自分のものとし,それを他に向けて発信していくのか。

 本講義は,「情報テキストの解釈ととり込み」あるいは広い意味での「翻訳」といったコミュニケーション行為に焦点をあて,関連する理論を広く紹介しつつそれらのメカニズムについて考える。講義形式だが学生によるグループワークやディスカッションも取り入れていく。

理論言語学(Theoretical Linguistics)

畠山 雄二 講師  後学期  2−0−0

 我々ヒトの脳の中には「文法」がある。この「脳内文法」のおかげで,我々は言葉を生み出し,それを理解することができる。はたして,この「脳内文法」のメカニズムはどうなっているのであろうか?この問いに対して科学的な説明を与えること,これが本講義のねらいである。また,本講義では,なぜ子どもは短期間のうちに母語をマスターすることができるのか?なぜ子供は国籍を問わずいかなる言語をもマスターすることができるのか?なぜ我々日本人はなかなか英語をマスターすることができないのか?等の素朴な疑問に対しても科学的な説明を与えていきたい。

音楽文化論第一(Music Culture I)

東谷 護 講師  前学期  2−0−0

 音楽を学術的に研究することはどういうことなのだろうか。本講義ではポピュラー音楽研究の最前線の研究成果を提示することによって,冒頭の回答としたい。

音楽文化論第二(Music Culture II)

谷口 文和 講師  後学期  2−0−0

 私たちは誰でも,「音楽」を普通に有る物と考えている。しかしいざ「音楽とは何か」と問われると,上手く説明することが難しい。この講義では一貫して「音楽のあり方」に焦点を当てる。前半では,音楽をどういう視点からとらえるのかに応じて,「音楽」の定義自体が変わってしまうことを,いくつかの理論を紹介しながら説明する。後半では,こんにちの私たちにとっての音楽環境がどのように作られたかを,音楽とテクノロジーの関わりという側面から検討する。私たちが音楽をどのように体験しているのかを,20世紀に登場したさまざまな表現形態や,その受け止められ方を具体的に取り上げながら考察したい。

オペラへの招待(Introduction to Opera)

山崎 太郎 助教授  後学期  2−0−0

 オペラは歌とオーケストラ,舞台美術と衣装,言葉と演技といったさまざまな要素が一体となって,愛と死をめぐる人々の情念と社会の複雑な様相を描き出す総合芸術である。視覚と聴覚の相乗効果には何ものにも代えがたい魅力があり,それゆえに16世紀末の誕生以来,貴族社会から市民社会へのヨーロッパの歴史の変遷において,娯楽と教養の対象として発展を続け,現在,世界的な舞台芸術としての地位を確立するにいたっている。本講義では代表的な作品をいくつか紹介。各作品をさまざまな角度から掘り下げ,その魅力に親しむことで,現代の私たちにとってオペラが持つ意味を考え,ひいてはヨーロッパの社会と文化の成り立ちをより深く理解するための一助とする。

造形芸術論(Art and Design)

岸 輝 助教授  前学期  2−0−0

 日本を含むアジア,ヨーロッパやアメリカなどにおける近現代の造形芸術,商業・工業デザイン,そしてミュージアムに関する諸問題を取り上げ,社会の中における「美」の果たす役割について考える。これと並行して首都圏で開催される展覧会についても随時紹介したい。

美術史・美術理論(History and Theories of Art)

岸 輝 助教授  後学期  2−0−0

 古代から現代にいたる日本美術史の流れを概観しながら,その制度的変遷,美術史学上の重要な学説や論争,現在の研究の最先端,海外での研究状況などを紹介する。

歴史学(History)

山室 恭子 教授  前学期  2−0−0

 これであなたも戦国時代通−武田信玄・上杉謙信・毛利元就と各地に群雄が覇を競った日本の戦国時代に焦点をあて,激動の渦がどんな契機で収束して新しい近世という安定期へと推移していったのかを,社会全体の動きと英雄個人の資質の双方から探求する。

 歴史家はどんな手法で史実を彫り上げてゆくのか,という歴史学の〈方法〉に触れていただくのが講義の主眼なので,日本史にかかわる基礎知識はいっさい不要である。

歴史表現論(Historical Expression)

山室 恭子 教授  後学期  2−0−0

 これであなたも時代小説通−司馬遼太郎・池波正太郎あるいは隆慶一郎。絢爛豪華に個性を競う日本の時代小説に焦点をあて,各回読み切りで練達の作家たちがどのように歴史をとらえてきたかを読み解く。映画・朗読・コミックなど多様な歴史表現をも視野に入れて,人間の表現力や想像力のありようを広く体感したい。

 歴史を生きることは未来を生きること。作家たちの入魂の作品の中から,人生の指針を見つけ出していただければ幸いである。

現代史(Contemporary History)

榊  直樹 講師  後学期  2−0−0

 担当教員は新聞社の論説委員で,主に政治分野の社説を執筆しています。目の前で起きている事象に対し,どう受け止めて何をすべきか,即時性をもってコメントするのが役割です。いままさに脈打っているニュースを題材に,その歴史的背景やさまざまな角度から解説して,日本と世界を考えたい。現代を見る視点の多様性,柔軟性を養ってほしい。

心理学(Psychology)

徃住 彰文 助教授  後学期  2−0−0

 人間の心のメカニズムについて,最新の研究成果をとりあげながら概観する。思考,記憶,意思決定,知識,感情,人格,発達,社会が,主要なトピックである。簡単な実験や調査をおりまぜた授業形態で,講義を進める。

認知科学(Cognitive Science)

徃住 彰文 助教授  前学期  2−0−0

 「心の科学」の新しい展開として,心理学,人工知能学,言語学,神経科学,文化人類学などをクロスオーヴァーする認知科学という領域が形成されつつある。人間の心について,どのような理論が提案されているのか?心理学の観点から,認知科学の最前線を探る。

応用心理学(Applied Psychology)

権藤 恭之 講師  前学期  2−0−0

 現在,そして未来の高齢者像,高齢社会の現状を多面的に紹介し,高齢者に対する理解を深めることを目的とする。高齢者の様々な特徴を若者との比較を通して紹介する。

人格心理学(Personality Psychology)

加藤 司 講師  後学期  2−0−0

 心理学の基礎的な知見を踏まえ,人格(パーソナリティ,性格)に関する基礎的な理論を学習する。講義は心理学に関する知識がない学生にも理解できるよう,心理学の基礎理論を説明しながら進めていく。

 本講義を通じて,学生にはTVや雑誌などで用いられている性格検査と心理学で用いられる性格検査との違いに気付いてほしい。

文化人類学(Cultural Anthropology)

上田 紀行 助教授  前学期  2−0−0

 現代の世界的危機の根源を探り,その乗り越えをイメージしながら,文化人類学の入門を行う。文化の二面性,現代に至るまでの人類史の流れ,文化の習得と再創造などを講義するほか,受講者自身が自ら体験するワーク,ゲーム,ディスカッションなども行うので,積極的に参加して,自分を知り,他を知るきっかけとしてほしい。

文化社会論(Culture and Society)

上田 紀行 助教授  後学期  2−0−0

 なぜ人類社会には「差別」や「暴力」が存在するのだろうか。そしてそこからの開放にはいかなる戦略が必要だろうか。「宗教」はその解決になるだろうか。前半では,差別や暴力を実例とともに論じ,後半では宗教の可能性と問題点を論じる。講義のみではなく,受講者参加によるワークやディスカッションも行われるので,積極的に参加してほしい。

憲法(Constitution)

榎澤 幸広 講師  前学期  2−0−0

 憲法は,民法や商法に比べて,身近な存在ではないと感じている学生も多いのでは?でも,最近のニュースを見ても実はごく身近な事例がたくさんあります。(例えば,裁判員法,マスコミの一般人に対するプライバシー権侵害やプロ野球の選手会などの事例)。本講義は,新聞,雑誌記事,マンガなどの題材も取上げた上で,皆さんが,憲法の知識と考え方を身につけ,国家権力を疑いの目で見ることができるようにすること,そして当然と思われがちの人権の存在意義を改めて肌で感じてもらうことに重点をおきます。

法学(Law)

金子 宏直 助教授  前学期  2−0−0

 民法と刑法を中心にして法律学の基礎的概念を学ぶ。

民事法(Civil law)

金子 宏直 助教授  後学期  2−0−0

 具体的な事例を取り上げながら,民事裁判の仕組み及び民事訴訟法について学ぶ。

国際関係論第一(International Relations I)

蟹江 憲史 助教授  前学期  2−0−0

 この講義では,国際関係論の基本となる見方・考え方について学習する。われわれは日常的に国を擬人化して,「日本の外交」や「アメリカの政策」といったコトバを使用し,耳にするが,実はそのような国家の捉え方は国際関係論の基本的見方を反映したものである。いったいそれはどのような見方なのであろうか?様々な分野において「国際化」や「グローバル化」の波が広がりを見せる中で,国際関係の基本的知識の習得はもはや現代社会に生きるものにとっての常識といっても良いものとなりつつある。このような現代社会を理解するうえで最低限必要となる国際関係の知識の習得を目指す。

国際関係論第二(International Relations II)

蟹江 憲史 助教授  後学期  2−0−0

 国際関係論第一で学習した基礎に基づき,本講義は地球環境問題に関する国際的問題解決についての学習を深める。地球環境問題の様な「グローバル・イシュー」といわれる問題は,もはや一国だけで解決することが不可能な問題となっているが,その一方で,国際社会の基本的構成単位は,あいかわらず「国家」となっている。このような「グローバル化する問題」と「国家単位の国際関係」のハザマで,問題はどのように解決されている(いない)のだろうか?この講義では地球環境政治に主たる焦点を当て,多国間での問題解決への考察を深める。

政治学第一:西洋政治思想史(History of Western Political Thought)

田中 善一郎 教授  前学期  2−0−0

 政治や政治権力を考える枠組みが作られ,伝えられてきたギリシャから19世紀に至る西洋の政治思想の歴史を人物中心に解説する。

0.政治学の特徴:社会科学と自然科学

1.ギリシャの政治思想

 プラトン(Platon)

 アリストテレス(Aristoteles)

2.ローマの政治思想

3.キリスト教(ユダヤ教,イエス,パウロ,アウグスティヌス)

4.中世的思考:トマス・アキナス(Thomas Aquinas, 1225-1274)

5.近代的思考

 マキャヴェッリ(Machiavelli, 1469-1527)

 ボダン(Jean Bodin, 1530-1567)

 ホッブス(Thomas Hobbes, 1588-1679)

 ロック(John Locke, 1632-1704)

 モンテスキュー(Montesquieu, 1689-1755)

 ルソー(Jean-Jaques.Rousseau, 1712-1778)

 バーク(Edmund Burke, 1729-1797)

 ミル(James and J.S.Mill, 1773-1836;1806-1873)

6.マルクス主義(Karl Marx, 1818-1883)

政治学第二 戦後日本政治(post-war Japanese Politics)

田中 善一郎 教授  後学期  2−0−0

 1945年8月に日本は戦争で負けた。それからが戦後である。この講義は戦後の日本政治の流れと政治の仕組みについて簡単に解説する。なお,テキストは指定しないが,参考書を講義の中で紹介する。

 講義は,おおむね以下のような順番で行う。

1. 1945年から1987年までの日本のビデオを見る。

2. 戦後60年の時代区分と参考文献の紹介。

3. 明治体制

4. 占領期

5. 保守と革新の時代

6. 高度成長の時代

7. 保守復調の時代

8. 弱い自民党体制の時代

ミクロ経済学(Micro Economics)

佐藤 崇 講師  後学期  2−0−0

 オーソドックスなミクロ経済理論を講義します。ミクロ経済学は現代の全ての経済学の基礎となっており,近年のゲーム理論や情報の経済学の発展も,オーソドックスなミクロ経済学を踏まえることでその意義をより深く理解することができます。人間の知が経済社会をどのように理解しようとしてきたのかを理解することがねらいです。

マクロ経済学(Macro Economics)

千明 誠 講師  前学期  2−0−0

 マクロ経済学は,「集計された」経済変数について,その水準の決定,他の経済変数との関係などを明らかにする経済学の一分野です。この講義では,その分析に用いられる手法に焦点を当てて解説を行いますが,それによって,マクロ経済学という「方法」を参加者が習得する事を本講義の目的とします。講義を通して,「経済学的直感」を生かしつつ,それを的確に表現する術を身につけて下さい。

経済学第一(Economics I)

大和 毅彦 教授  前学期  2−0−0

 ミクロ経済学の基礎理論について講義する。消費者や生産者にとって,生産・消費に関する最適な選択は何か,社会全体として,どのような財・サービスの配分を行うべきかなどを吟味する。

経済学第二(Economics II)

大和 毅彦 教授  後学期  2−0−0

 ミクロ経済理論の応用について講義する。内容は,情報の経済学,公共経済学,産業組織論,環境経済学,公平性の経済学,選挙制度の分析など。

社会学基礎(Foundation of Sociology)

今田 高俊 教授  前学期  2−0−0

 本講義では,社会学の基礎的な考え方について学習する。社会学とはどのような学問であるかに始まり,社会的事実の蒐集法,分析の方法とレベル,社会化と人間形成,社会参加の諸形式,逸脱行動などを中心に講義する。

社会学応用(Application of Sociology)

今田 高俊 教授  後学期  2−0−0

 本講義では,社会学第一の基礎論をもとにして,年齢・性・階級などによって分割されている社会状態,家族問題,技術と社会変動,都市化と生活の質など,日本社会の現実分析をまじえながら,具体的な社会現象を把握する応用論を講義する。

宗教社会学(Sociology of Religion)

橋爪 大三郎 教授  前学期  2−0−0

 ユダヤ教,キリスト教,イスラム教,仏教,儒教など主要な宗教を比較して論ずる。宗教という人類最大の文化遺産を通して,人間社会の過去・現在・未来を考える。余裕があれば,国際社会の問題についても触れる予定。

理論社会学(Theoretical Sociology)

橋爪 大三郎 教授  後学期  2−0−0

 社会という現象を研究するのに,どういう方法が有効なのか,政治学,経済学,人類学,社会学,哲学などの領域での,過去の優れた理論家たちの苦闘を紹介する。言語ゲーム,マルクス主義,構造主義などといった方法のいずれかに,焦点をあてる。

数理社会学第一(Mathematical Sociology I)

中丸 麻由子 講師  前学期  2−0−0

 人間行動や社会を捉える上で,人間も生物の一員であり進化の賜物である以上,進化生物学的観点も必要である。講義では進化理論の基礎から始め,進化ゲーム理論の人間行動・社会研究への適用例を中心に紹介する。そして進化生物学的観点と数理モデルからどこまで人間社会や行動の本質が明らかになるのか探っていきたい。

数理社会学第二(Mathematical Sociology II)

中丸 麻由子 講師  後学期  2−0−0

 人間と他の生物との相違点は,人間には文化や規範,言語能力,学習能力等がある点である。これらの形質によって人間社会が他の生物社会とは異なると考えられる。本講義では,これら人間特有の形質を扱った数理モデル研究を中心に紹介する。そしてこのようなアプローチによってどこまで人間社会や行動の本質が明らかになるのか探っていきたい。

科学概論第一(General Science I)

山崎 正勝 教授  前学期  2−0−0

 自然科学・技術の本質,その方法,その社会的機能などについて,科学の通史を通して講義する。第一では,科学の誕生から近代科学の成立までを扱い,科学的方法,科学的自然観について考える。

科学概論第二(General Science II)

山崎 正勝 教授  後学期  2−0−0

 第一をひきつぎ産業革命以降近代工学,物理学,化学,生物学等の現代科学の成立の過程を追う。

現代技術史(History of Modern Technology)

中島 秀人 助教授  後学期  2−0−0

 現代の技術システムがいかに形成されたかについて,19世紀中葉以降に着目して論じる。特に,社会の「マス化」をキーワードとして,これに技術がどのように寄与し,どのような問題を引き起こしたかを吟味する。また,このシステムを完成した20世紀アメリカの発展をみていく。できる限りAVを活用する。

技術史第一(History of Technology I)

三宅  苞 講師  前学期  2−0−0

 現代社会において,技術は人類の未来を左右する大きな役割を果たしている。IT技術やバイオテクノロジーの発展,先端技術商品の氾濫,生命倫理,地球環境問題などのいずれもが,技術の発達と関係している。本講義では,科学や技術に関係する職業に就く受講者が多数であることを考慮にいれながら,このような問題を考えるための基礎としての技術史を扱う。

 具体的には,古代から産業革命直前までの時期を対象とする。特に,通常軽視されがちな中世の技術にも焦点を当て,これが近代技術とどのようなつながりを持つのかを考察する。できる限りパワーポイントを活用する。

技術史第二(History of Technology II)

木本 忠昭 教授  後学期  2−0−0

 産業革命以後,現代に至るまでの技術の発展を扱う。産業革命で展開した技術は,どのような仕組み(論理)で発展し,社会にいかなる問題を提起したかから,はじめ,以後,電気や科学技術の発展に見られる独占資本主義時代における技術発展の論理,第2次世界大戦と技術,原爆開発,コンピュータの展開など,時代をおいながら時間の許す限り現代まで追っていく。その際,技術の発達は人間と社会にいかなる意味をもったか,技術の発達の論理とは何か,技術は果たして「正常」に発達してきたのか等等,技術発展の筋道と社会と関わりを考えながら進めていきたい。

日本技術史(History of Technology in Japan)

木本 忠昭 教授  前学期  2−0−0

 日本の技術発展は,とくに戦後めざましいものがあるが,その明治時代から今日にいたるまでの発展過程を通史的に見ることによって,日本技術および日本「技術者」を考える。発展の全体構造,第二次大戦までの日本技術の展開と問題点,大戦後の技術発展の構造,現代日本技術論,ハイテクと技術構造,日本技術と世界技術,技術進歩と環境・社会問題,日本技術者論などを取上げる。

科学方法論(Philosophy and Methodology of Science)

石垣 壽郎 講師  前学期  各2−0−0

 科学は,実験や観測によって確認された事実に基づいて理論が構築され,またそのような事実によって理論の正否が決定され,さらにそのようにして正しいと決定された理論によって世界の客観的な描像が与えられる,と考えられている。しかし,実験や観測による事実の確認,事実に基づいた理論の構築,事実による理論の正否の決定,正しい理論が与える客観的な描像,といった事柄について,哲学的に厳密な考察を加えていくと,常識的な科学観とは異なる実相が浮かび上がってくる。そして,これらの実相は,認識される世界と認識する人間,およびその間に介在する理論といった3者の関係について,君たちを,より深い理解に導くであろう。

科学史第一(History of Science I)

佐藤 賢一 講師  前学期  2−0−0

 東アジア地域(中国・朝鮮・琉球・日本)における近代以前の数学史を概観する講義を行う。必要に応じて西欧の数学史との比較も行うが,できる限り,「漢字」・「中国語」で表記された伝統数学の実態を紹介していきたい。

科学史第二(History of Science II)

八耳 俊文 講師  後学期  2−0−0

 古代から現代にいたる西洋の宇宙論史。われわれ現代人にとって宇宙は遠い世界であり,天文学者が何かを発見したとしても,それでもってわれわれの生き方が影響されることはない。しかしかつて人々がとらえていた宇宙は,はるかに小さく,宇宙の理解の変化は,人間の生き方をゆるがした。天文学は完全な世界を研究する高貴な学問と評され,その成果は文化のさまざまな領域に及んだ。宇宙論史を例に,科学史の基礎的知識を習得するとともに,科学のもつ文化性を意識してもらいたい。

科学の社会史(Social History of Science)

梶 雅範 助教授  前学期  2−0−0

 主として近代以降のヨーロッパにおける科学の歴史を通して,科学と社会の相互作用,科学の社会的・文化的側面について考えていく。大学と学会,科学と技術,科学の制度化,科学の専門家と職業化,各国での科学研究の在り方の比較,戦争と科学,科学と産業,科学とイデオロギー,冷戦後の科学,環境問題と科学などのテーマを取り上げる。

日本科学史(History of Science in Japan)

梶 雅範 助教授  後学期  2−0−0

 近世以降の日本の科学研究の社会におけるあり方の歴史的変化について講義する。蘭学の成立と展開,お雇い外国人,高等教育制度の成立,科学研究の自立,諸研究機関の成立,日本の科学者,女性と科学,戦争と科学,戦後の科学・技術などのテーマを取り上げる。

生命倫理学(Bioethics)

香川 知晶 講師  前学期  2−0−0

 生命倫理学の基本的な考え方と問題を理解することを目標とする。特に,生命倫理学が誕生した背景にある人体実験の問題に焦点を合わせて,具体的な議論の推移を跡付ける。また,臓器移植や尊厳死をめぐる日本の動向やクローン技術・サイボーグ医療などの新技術に伴う問題も概観する予定である。

科学技術者倫理(Ethics in Engineering)

木本 忠昭 教授 ほか  後学期  各2−0−0

 近年,技術者の倫理を問われる事件が多く起こっている。チャレンジャー号の爆発では,打ち上げが懸念されるというデータがありながら最後まで担当技術者が主張しなかったとか,建築の設計が手抜きであったとか,あるいは工事の手抜きを行った結果が大事故につながったなどなど例を挙げればきりがない。現在も問題になっている原子力炉シュラウドでのデータ隠しも(経営者は勿論)技術者の責任を問われる問題である。

 他方,アメリカでは技術者倫理の素養を持たない者は,専門職業としての技術者としては認められない制度となっている。日本でも日本工業教育協会でも,技術教育の認定制度を導入し,東工大でも認定基準をクリアするよう,これに対処することとなった。この認定制度の資格を取らないと,海外で技術者として活動できない局面も出てきている。

 本授業は,こうした要求をクリアし,設定された資格を受ける条件を満たすという側面と,それとは関係なく,技術者としては本来,倫理的な模範をもつべきであるという考えから,科学技術者の倫理問題を考える授業として開講するものである。

 授業内容は,科学技術者倫理とは何かというところから始まって,過去に発生したケーススタディを通じて,何がどのように問題であったかを取り上げ,最後に応用倫理学としての理論を展開する。

環境・社会論(The Theory of Environmental Protection)

伊瀬 洋昭・小野塚 春吉 講師  後学期  2−0−0

 私たちが直面しているさまざまな環境問題について,社会的側面から整理・分析し,受講生にとって考えるべき論点・課題がより明確になる,そのことを目指して講義をすすめる。環境問題などの「現代的課題」に対しては,安易な結論に安住して思考停止状態になることを避け,より本質的な課題について検討し続けていくことこそが,重要だと考えるからである。

 社会的側面から見たとき環境問題には,局所的なものにも地球規模のものにも共通する面を見出すことができるし,薬害や一般に人間の健康の問題,技術の安全性と事故の問題,資源問題やゴミ問題,自然災害を防ぐ問題などと密接に関連する面も見出すことができる。そのような連関を視野に入れながら,いくつかの歴史上の事例を題材としてとり上げて検討を加える。

社会の理工学そして芸術(Theory and Technology for Society and Arts)

肥田野 登 教授  後学期  2−0−0

 この講義は人間によって構成される社会の理学と工学を考えてみようというものです。数式を使う理論,言語を使う理論など,社会の理学の可能性を探ります。そして問題解決につながる社会の工学の考え方を学ぶとともに社会の理学との関係を考察します。また具体的に社会の理学と工学を理解するために演習を行います。さらに社会の理学と工学の問題点と新たな可能性を,芸術を媒介として考えます。

統計学基礎(Elementary Statistics)

徐 春暉 講師  前学期  2−0−0

 自然科学,社会科学,人文科学に共通する統計学の入門的知識を講義する。統計学の歴史と意義,記述統計,確率分布と標本などを扱う。

統計分析入門(Introduction to Statistical Analysis)(平成18年度休講)

未 定  後学期  2−0−0

交渉の科学(Negotiation Science)

木嶋 恭一 教授  後学期  2−0−0

 個人や企業・地方自治体・政府などの広い意味での相互作用である交渉を,システム論の視点からアプローチする。すなわち,人間や組織間の交渉の構造と過程を記述する数理的モデル,主体間の交渉が提携を形成する過程に注目するシミュレーションアプローチなどについて説明する。さらに,個人レベルの交渉について,ビジネスにおける交渉・自己主張など実践的な話題についても言及する。なお,履修者の人数制限を行うことがある。

集団意思決定理論(Group Decision Making)

猪原 健弘 助教授  前学期  2−0−0

 議会や役員会での意思決定や選挙による代表者の選出など,通常,複数の意思決定主体によって行われる意思決定を「集団意思決定」と呼ぶ。集団意思決定では,最終的な決定が採決を通じて行われることが多いが,採決以前に意思決定主体の間で情報交換が行われることが普通である。この講義では,集団意思決定の中での情報交換における,各意思決定主体の意見の柔軟性に注目し,情報交換と意思決定の結果の間の関係について調べていきたい。


文系発展科目

(文系専修)

日本政治を読む(Reading the Japanese Politics)

田中 善一郎 教授  前学期  1−1−0

 なかなか落ち着かないのが日本の政治の現状であるが,今年度の講義は,日本政治について書かれた本(単数または複数)をみんなで読みながら,日本の政治に対する理解を高めて行く。

社会的合意形成論(Social Consensus Building)

桑子 敏雄 教授  後学期  1−1−0

 現在,地方分権や住民参加の推進などによって,行政と住民,住民と住民の話し合いの機会が多くなっています。社会基盤整備や環境問題をめぐる対立や紛争を解決するための不特定多数を対象とする合意形成では,説明責任や透明性の確保,コミュニケーションの技術など,会議や集会を設計,運営,進行するための基本的な思想とそれを実現するための技術が求められています。本講義では,社会的合意形成の考え方と手法を論じます。

短編小説を読む(Japanese Short Novels)

井口 時男 教授  後学期  1−1−0

 科学は一つの真理を求める。しかし,文学作品を「読む」ことの快楽は,テクストの「意味」が複数に分裂していくところにある。ことに短編小説には作者の「たくらみ」が言葉の隅々にまで隠されているし,作者が思っても見なかった意味すら読者は「発見」することがある。そんなふうに,「読む」ことの醍醐味を体験してもらいたい。授業は少人数で演習形式が中心になる。

大江戸講(Virtual Tour to Edo)

山室 恭子 教授  後学期  1−1−0

 「講」とあるけれど,講義の「講」ではありません。

 「頼母子講(たのもしこう)」の「講」です。すなわち,ひとりひとりの小さな力を寄せ集めて何かを成し遂げよう,というコンセプトです。

 そして「冨士講(ふじこう)」の「講」です。すなわち,みんなで一緒に高い山に登ろう,というコンセプトです。

 我々の先達(せんだつ)である江戸の人びとが,何を見,何に感じ,何を信じて,ままならぬ世を生き抜いていったのか,浮世絵などビジュアルな資料を中心にゆっくりゆっくり考えてみようと企画しています。求む!旅の仲間。

科学・技術・社会(Science and Technology Studies)

中島 秀人 助教授  後学期  1−1−0

 科学技術の成果が社会に深く浸透するに伴って,その負の影響が懸念されるようになっているのは周知のことである。1999年には,世界の科学者,技術者が欧州ハンガリーのブダペストに集まり,ブダペスト宣言を採択したが,そこでも,科学をどのように社会に役立てるかが重要な課題とされている。この授業では,科学技術社会論という新しい学問分野の立場から,科学・技術・社会のあるべき関係について,事例および理論双方からアプローチしていく。本年度はこのテーマの初めての授業であるので,初回の授業で内容について学生諸君と議論して決めていきたい。いずれにしても,理論的な部面(科学論)については教員からの指定する書物の講読を行う一方,事例については,学生諸君が調査して発表するという方向を考えている。参加型かつ集中型の授業にするので,出席者には相当の覚悟が求められる。

現代の音楽とテクノロジー(Contemporary Music and Technology)

徃住 彰文 助教授  後学期  1−1−0

 20世紀,21世紀の音楽を対象として,テクノロジーと音楽との協調のありさまを概観する。どの回でも,音楽の実際を視聴しながら,音楽体験と音楽分析を対比する。

 作曲,鑑賞の両面から,現代音楽におけるテクノロジーの役割について分析する。ParisのIRCAM(音響音楽研究所)とStanford大学のCCRMA(計算音楽音響研究所)の活動を紹介しながら,現代音楽の最先端の動向を学ぶ。また,WebテクノロジーやAIにおける音楽の展開も学ぶ。

(文系ゼミ)

文系ゼミ第一〜第六(Advanced Humanities and Social Sciences IVI)

各教員  各0−2−0

 人文科学,社会科学についての深化した学習を通じて,文系学問の深い素養と思考法を修得することをめざす。少人数制を原則としたこの科目は,各授業担当教員により,開講形態,対象学年などが大幅に異なるので,「教授細目」(シラバス)」を参照されたい。

総合科目

総合科目(General Course on Humanities, Science and Technology)

各教員  前学期  後学期  2−0−0

 総合科目は,従来の学問分野の区分けを超えて,異なる文系同士,あるいは文系と理工系とが融合またはクロス・オーバーするような学際的・広域的テーマについて,複数の教員が共同で開く科目である。各クラスの授業担当教員,テーマ,内容については,「教授細目(シラバス)」を参照されたい。