T 文系科目・総合科目

 

文系導入科目

 

西洋政治史(Political History of Western World)        

田中 善一郎 教授    前学期  2-0-0

ギリシャ・ローマから現代に至るまでの西洋の政治史を概観する。近現代については西洋による植民地化をつうじてインドや中国なども関わってくる。

教科書としては、木下康彦・木村靖二・吉田実『改訂版・詳説世界史研究』(山川出版社、2007年)の以下の章を使う。第1章、6章、9から17章。

 

人間の知識表現と論理的言語(Logic and Knowledge Representation)(平成21年度休講)

藁谷 敏晴 教授    前学期  2-0-0

 現代文明は,コンピュータ抜きでは考えられない。さて,数理論理学はコンピュータの理論的基礎の重要な基礎である。無論,論理学自身はギリシャの昔からあったが,19世紀末から今世紀にかけて「数学化,数学的学問としての整備」が行われた。こうしてできあがった数学化された論理学を「数理論理学」といい,これが現在のコンピュータ,コンピュータ文明の基礎をつくっている。

 ところで,先ほど述べたように,現代文明はコンピュータ抜きには考えることができないことを考えると,数理論理学に関する一応の基礎的理解は学科によっては必須の知識であり,たとえ必須ではなくとも,こうした知識をもつことは望ましい。さて,数理論理の理解には二つの局面がある。一つは技術的側面であり,一つはそれを支えている哲学的思想的側面である。本講義では現代の数理論理学の哲学的側面を,人間知識の表現や推論などを例にとって,論ずる。数理論理学の知識は,もちろん不要である。

 

意思決定の基本ロジック(Basic Logic of Decision Making)

木嶋 恭一 教授    前学期  2-0-0

 住宅の購入,就職先の決定,新製品開発等々,我々の周りには意思決定が必要な様々な分野・レベルの意思決定状況が満ちあふれている,本講義は,そのような複雑性に満ちた意思決定状況に対処する,合理的な意思決定の基礎的な考え方(ロジカル・シンキング)について解説することをねらいとする。「意思決定とは何か」から始め,複雑性の分類とそれらの取り扱いの方法とモデルまで,1回読み切り形式で話題を提供する。高校時代には体験しなかった社会や人間の振る舞いに対する数理的なアプローチの一端を述べるだけでなく,その最先端の話題まで言及する。

 

世界文学入門T(Introduction to World Literature I)

°市川 伸二 教授  服部 隆一 教授  里見 達郎 教授  フランソワーズ・ジャン 外国人教師    

戦 暁梅 准教授

前学期  2-0-0

 国際化時代に異文化理解は必須の課題である。そのためには,世界各国の主要な文学作品を通して,諸国民の考え方,感じ方,つまりは「心性」を理解するのも一方法だろう。本授業は,「世界文学とは何か」,「どんな作品を読むべきか」を皮切りに,ドイツ・フランス・ロシア・中国・英米の代表的作品(小説・詩・思想等)を鑑賞・考察する。授業は外国語研究教育センターの教員が,それぞれの専門を踏まえ,オムニバス形式で行うが,当該外国語の知識はなくてもよい。

 

世界文学入門U(Introduction to World Literature II)(平成21年度休講)

°市川 伸二 教授  里見 達郎 教授  劉 岸偉 教授  

後学期  2-0-0

 授業内容はTに同じ。採り上げる作家・作品等は異なる。

 

経済学入門(Introduction to Economics)                                                                             

大和 毅彦 教授  前学期  2-0-0

 経済学の基礎を理論分析と実験による検証という二つの手法を用いて解説する.市場取引,物品税,オークション,交渉ゲーム,株取引,破産問題などのトピックスに関して学習する予定である。

 

古典で学ぶ社会科学(Classics in Social Sciences)

橋爪 大三郎 教授  前学期  2-0-0

 政治学,経済学,社会学,…。文系の学問は,古典を読み解き,わがものとするところから始まる。これまで読みつがれてきた社会科学の古典,たとえば,ホッブズ『リヴァイアサン』,グロチウス『戦争と平和の法』,クラウゼヴィッツ『戦争論』ほか(のごく一部)を原典で読み,彼らの偉大な業績と,現在からふりかえったその意義を考える。

 

アートとミュージアム(Art and Museum)     

岸 輝 准教授  後学期  2-0-0

 モネ,ゴッホ,ピカソなど,19〜20世紀に活躍した芸術家の人生と創造の軌跡をたどり,21世紀を生きる我々にとって美とは何かを考える。また,国内外の美術館・博物館の見所,社会における役割についても画像を豊富に交えながら論じていきたい。

 

コラムランド(Column Land) SC:(H20選定)創造性育成科目

山室 恭子 教授  前学期  1-1-0

まっしろな紙のまんなかにぽつりと1行-あなたの大切な人は,誰ですか。

 これもまたコラムです。2005年度夏の陣,「問」セッションの3位入賞作品。2002年度夏の陣,「愛」セッションで首位をさらい伝説となった「欲しい。」につぐコラムランド史上2番目の短さでの入賞でした。

 と,ここまでで「コラム」という言葉の既成イメージを崩していただけたでしょうか。コラムランドでの「コラム」は何でもあり。ときに爆笑,ときにしみじみ,そうやって友人たちの作品を堪能しつつ,自分もその中に参戦してゆくことで,文章力と発想力と,そして度胸が鍛えられるしくみです。

 B5一枚のまっしろな紙がキャンバス。自分の中の可能性を探してみませんか。-あなたの大切な人に,思いを伝えるために。

☆みつけてください,コラムファミリー☆

東工大生のコミュニケーション力向上を目ざして各方面で蠢動中です-コラムランド(文系導入科目)・コラムキングダム(文系基礎科目)・コラムiランド(社会工学科提供理工系広域科目)・コラムプラネット(大学院社会工学専攻共通必修科目「文章表現論」)

 

社会における科学(Science in Society)

山崎 正勝 教授  前学期  2-0-0

 20世紀は戦争の世紀だったという言い方がある。前半期には,人類史上未曾有の2つの世界大戦が起こり,後半期には冷戦があった。そしてそれ自身としては,自然の知識の体系にすぎないはずの自然科学も,この世紀の間に多くの社会的事件,とりわけ戦争に巻き込まれていった。20世紀には,世界の科学技術者の4分の1は,何らかの意味で軍事研究に関与している(国連事務総長報告)と言われる現実が,世界を支配していたのである。冷戦の終結が言われる中で,果たしてこれからの世界は平和的な科学技術を実現するのだろうか。この一方で,飢餓の存在が克服されないまま,科学と技術の力は,この世紀のうちに自然の環境を地球的規模で,そして時に回復不可能な形で改変しうる力を持つに至るということも起こった。この講義では,20世紀に起こった科学をめぐるいくつかの社会的事件を回顧しながら,21世紀に目指すべき科学のあり方を考えていきたい。

 

意思決定理論の展開(Improvements of Decision Making Theories)

猪原 健弘 准教授  前学期  2-0-0

 意思決定理論,特にゲーム理論は,様々な形で拡張され多くの分野を派生させている。実際,メタゲーム理論,ハイパーゲーム理論,ソフトゲーム理論などはすべて非協力的ゲーム理論から派生したものである。この講義では,それぞれの理論の特徴について解説していく。

There are many variations and generalizations of decision making theory, in particular, game theory. In fact, metagame theory, hypergame theory, and soft game theory come from non-cooperative game theory. In this lecture, introductions to these theories are provided.

 

日常生活と法(Daily life and Law)

金子 宏直 准教授  前学期  2-0-0

 日常生活で関係する法律問題に関心をもち,社会人として必要な法律知識を学ぶ。参加型講義を行います。

 

現代科学技術と社会(Science Revisited: An Approach to Science and Technology Studies)

中島 秀人 准教授  前学期  2-0-0

 科学技術と社会の間に起こる諸問題について,テーマを変えながら議論する。知識を修得するというよりは,問題をとらえる視点を学ぶ。特定の視点を会得するのではなく,同一の問題を多様な観点から処理するスキルを獲得して欲しい。

授業の評価は、レポート70%、出席30%を目安とする。

 

都市のシステム(Topics on Urban Systems)

°十代田 朗 准教授  他  社会工学科各教員  後学期  2-0-0

 現代文明の集積である都市をテーマに,都市と社会の関わりを考慮しつつ,都市の様々なシステムについて,社会工学科の各教員が今日的話題を中心に,社会工学の立場から都市へのアプローチを論ずる。

 

科学者とは何か(Creating Scientists : from the Tokyo Tech to Stockholm)

梶 雅範 准教授  後学期  2-0-0

 現代社会において科学者(研究者)がどのような位置にあり,どのような役割を果たしているのか。現状はどうであるのか探り,研究者への道を紹介し,現代の科学者(研究者)には何が要求されているのかを考え,科学者(研究者)をめざす人への導きになることをめざす。

 

現代社会への視点(Viewpoint to the contemporary society)(平成21年度休講)

今田 高俊 教授  後学期  2-0-0

 現代社会は複雑怪奇で,私たちの理解が及ばないことが数多く発生しています。本授業では,現代社会を眺める視点を様々な角度から学ぶことで,社会を見る眼を養うことを目的としています。たとえば,リスク社会の問題,階層格差の問題,電子メディアとIT革命の問題,家族崩壊の問題,公共性の問題などを題材にして,オムニバス方式で現代社会を読み解く術を学びます。

 

文学への招待(Introduction to Literature)

井口 時男 教授  後学期  2-0-0

 理学・工学の道を選択したみなさんは,これまであまり文学になじみがなかったかもしれません。これからはますます疎遠になるかもしれません。そういうみなさんのために,文学への道しるべになるようなお話をし,併せて読書案内も兼ねたいと思います。古代ギリシャの悲劇や新約聖書のエピソードから始めて,最後には,現代日本のこの「現在」の表現にまで到達したい。

 

交渉で学ぶ政治学入門(Role Playing Political Science)

蟹江 憲史 准教授  後学期  2-0-0

 政治が生活や研究の中にも入り込んでいる現代社会ですが,政治学と聞くと,理系の皆さんにはあまりなじみがないかもしれません。

 しかし,政治学はこれからの社会を生き抜いていく上で,最低限身につけておくべき学問でもあります。

 本講義では,「交渉」を素材としたロールプレイングをいくつか実践しながら,政治学の様々な課題を実践的に学んでいく入門講座です。

 

風景学入門(Introduction of Landscape Study)(平成21年度休講)

桑子 敏雄 教授  後学期  2-0-0

 「風景の目利きになる」

 風景は,人間が自分の環境に対して行ってきた行為を映し出す鏡です。日本の風景のなかに,日本の思想と文化があります。

 風景の見方を学ぶことによって,環境について考え,また,自分自身の姿を学ぶことができます。

 本講義では,身の回りの風景に対する目利きになるためのトレーニングを行います。あわせて,まちづくりや公共事業への参加のあり方や合意形成のプロセス,その中で行われる議論の進め方などについても実践的に学びます。

 

心の科学の思考法(Paradigms of the Science of Mind)

徃住 彰文 教授  後学期  2-0-0

 心という,物質として存在するわけではない対象を相手にして格闘しなければならないところに,心理学の困難さと醍醐味がある。心の科学者は,何世紀にもわたる研究を続けようとも,心そのものに手をふれることも,心そのものを目にすることもできないのである。そこで,心の科学者は,人間のふるまい,体験などを手がかりとして使いながら,心の本質に迫る方法を開発しなければならない。心理学の歴史は,こうした研究方法を編み出す歴史でもあった。

 本講義では,実習を多用し,手元にあるわずかの手がかり(データ)から,どのようにして心の性質を推論するのかを,体験的に学習することを試みる。

 

パフォーマンス論(Study on Performance)

上田 紀行 准教授   後学期  2-0-0

 様々なパフォーマンスに接して,「感性」を磨く講義である。パフォーマンスとは何か,なぜ人間は言語だけでなく,身体を使い,曖昧とも思える表現方法を取るのか。演劇,音楽,祭などにおけるパフォーマンスを幅広く取り上げ,パフォーマンスの本質,その解釈などについて論じる。

 

社会のモデル入門(Introduction to modeling in social science)

中丸 麻由子 講師   後学期  2-0-0

 コンピュータ上でシミュレーターやExcelなどを用いたデモストレーションを行いながら様々な社会モデル研究について紹介する。この講義を通して,シミュレーションや数理モデルによる社会研究の面白さ,難しさを学んで欲しい。

 

ゲーム理論入門(Introduction to Game Theory)

武藤 滋夫 教授    後学期  2-0-0

社会・経済システムを数理的に記述し分析する理論である「ゲーム理論」について,その数学としての理論的基礎を提供した上で,経済学,経営学,社会学,政治学など社会科学への適用例を紹介する。まず,非協力ゲーム,協力ゲームの表現形式,解概念を紹介した後,企業の合併,公共財の供給,オークション,共同事業における利益の分配,投票による意思決定,社会的な慣習の形成など,さまざまなケースのゲーム理論による分析を紹介する。授業の最後1,2回は,受講生にゲームに関する実験を行ってもらい,われわれ人間がゲーム理論の予測通りに行動するかどうかを検証してみる。


 

文系基礎科目

 

倫理学(Ethics)

森 一郎 非常勤講師    前学期  2-0-0

 倫理学とは人間の行為についての探究である。勝義の「行為」は、複数の人間どうしの間でなされる。そのような共同性における相互行為のことを、古代ギリシア人は「プラクシス」と呼んだ。彼ら都市国家(ポリス)市民にとってそれは、とりわけ、言葉(ロゴス)によっておのれを明らかにする公的な言論=活動のことであった。このプラクシスの根源的理念を現代に甦らせたのが、ハンナ・アーレントである。本講義では、彼女の主著『人間の条件』の第五章「活動」を読みとくことを通じて、行為とは、言論とは、そして国家とは何か、じっくり考えてみたい。 

 

哲学(Philosophy)

清水 真木 非常勤講師   後学期  2-0-0

日常生活にはさまざまな出来事があり、その中には、私たちにとって逃れることのできない問題がたくさんあります。水道管が破裂したり、バスに乗り遅れたり、欲しくもないプレゼントをもらって処分に困ったり、賞味期限の過ぎたお菓子を食べて食中毒を起こし、下痢が止まらなくなったり…。

この授業では、私たちの誰もが出会う可能性のある具体的な問題をいくつか取り上げ、哲学史の助けを借りながら、どのようにすれば問題を解決し、楽しい生活を送ることができるようになるのかを考えてみます。

哲学というのは、意味不明の四字熟語をズラズラと並べ、勿体ぶってわけのわからないことを語る難解な学問ではなく、個性的で楽しい生活を送るための智慧である、と私は思っています。そして、個性的で楽しい生活を送るには、日常生活の中で私たちに逃れようもなく襲いかかってくる面倒な諸問題を解決するため、ものごとを正しい視点から眺める習慣を身につけることが大切です。この授業では、何か問題が起きたとき、この問題をどのような視点から眺めればすばやく解決できるのか、ということをみなさんと一緒に勉強して行きたいと思います。

 

論理学第一(Logic T)

渡部 鉄兵 非常勤講師     前学期  2-0-0

 便宜上論理学を命題論理と述語論理に分けて論ずる。

 第一では主に命題論理を扱うが,できるだけ述語論理の構造が明らかになるように講義を組み立てる。内容は命題論理の体系をいろいろな理論的角度から考察し,完全性や決定可能性その他のメタ論理的概念を説明し,それらについて成立するメタ定理について論ずる。

 

論理学第二(Logic U)

渡部 鉄兵 非常勤講師     後学期  2-0-0

 第二では述語論理の構造を扱うが,その際命題論理の無限への拡張と述語論理の体系の関係について考察する。さらに,述語論理の背景となる哲学的な諸問題を論じながら,モデルの概念を導入説明し,完全性や決定可能性等に関するメタ定理を証明する。さらに,述語論理と知識表現論の問題などについても論じる。なお,第二の履修に際しては第一を既に履修していることを条件とする。

 

西洋近現代思想史(History of Modern Western Thoughts)            

山田 有希子 非常勤講師  前学期  2-0-0

 「思想」とは「いかに生きるべきか」の指針になるものであり,さらに,ある哲学者によれば,精神的かつ物理的な意味において,防衛と攻撃の「武器」ともなりうるものである。周知のごとく,とりわけ「西洋」「近代」思想が現代社会に与えてきた影響は,宗教,政治,経済,科学技術等々の多方面において無視できない多大なものがある。本講義のねらいは,時間的・空間的に遠い異国の思想を通覧するにとどまることなく,同時に,我々自身のリアルタイムの社会問題(環境問題,先端医療技術倫理問題,経済問題等々)の根幹を押さえることにある。

 

日本思想史(Intellectual History in Japan)

畑中 健二 助教  後学期  2-0-0

日本における「近代」というテーマで、テキストや図像に即して論じます。

 文明開化とは、西洋近代の科学技術や社会制度の導入であると同時に、従来の思想の上に「近代」という時代特有の価値観・嗜好を上書きする過程でもありました。「近代」は、人々に(そして私たちにも)何を忘れさせ、代わりにどんな美しい夢を与え、どんな不安や幻滅をもたらしたのか。博覧会、機械美、人種論、故郷喪失など、明治〜昭和の近代化に関わる雑多な言説を拾い上げて検討します。

 

近代文学(Japanese Modern Literature)

小林 広一 非常勤講師  前学期  2-0-0

 まず,近代日本の傑作小説の母胎となった「文章」が,どんな思想や形而上学を築いたのか,またそのことで後世の小説家たちの「小説」にどんな影響を与えたのか,ことに「私小説」の成立について,学ぶ。近代日本にとって「私」とはいったい何であったのか,「私小説」の伝統と,この伝統とあらがった作家たちの苦闘について探る。

 それらの「文章」や「小説」の決定的シーンを取り上げて鑑賞し,なぜ優れているのかについて,概説していく。

 

古典文学(Japanese Classics)

津島 知明 非常勤講師  後学期  2-0-0

 テーマ 古典文学再入門

 私たちの前には「日本古典文学」と呼ばれる数々の作品が存在します。ところが実際,それらはなぜ「古典」たり得ているのでしょうか。単に「古いから」ではおそらくないはずです。ここでは『枕草子』『源氏物語』という,よく知られた作品を取り上げながら,なぜそれが「古典」と認定されてきたのか,そして,いま私たちとどのような対話が可能なのかを,考えていきたいと思っています。

 

国語(Japanese)

井口 時男 教授  前学期  2-0-0

 柳田国男の『遠野物語』の世界を紹介する。『遠野物語』は20世紀初頭の岩手県遠野地域の伝承を集めたもの。日本民俗学の古典だが,名文の誉れ高く,山男・山女,河童,ザシキワラシ等々の登場する話で一般にも広く知られている。講義では,有名な話のいくつかに焦点を絞り,分析をほどこすことで,物語というものの仕組みを明らかにし,それがたんに百年前の東北地方の問題ではなく,現在の我々の想像力や宗教意識,霊魂観や自然観,さらには物の考え方にまでかかわる重要な問題につながることを明らかにしていく。

 テキスト『遠野物語』(角川文庫)

 

日本文学(Japanese Literature)

井口 時男 教授  後学期  2-0-0

 古典から近代文学,現代文学まで,日本文学の様々な話題を平易に解説し,あわせて,学生諸君の読書案内も兼ねる。内容は年度によって異なるので,シラバスを参照すること。

 

コラムキングダム(Column Kingdom) SC:(H20選定)創造性育成科目

山室 恭子 教授  後学期  1-1-0

 陸地(くがち)へと聳え立つ王国-前期の文系導入科目「コラムランド」で,ものを書くことのむずかしさとおもしろさに覚醒した諸賢に,さらなる試練の場を提供するために開講されています。もちろん後期からの参加も歓迎。

 文章力の高き嶺へとかろやかに飛翔するか,餓鬼道の深き沼に堕ちてどろどろとのたうち回るか。それは参加者次第。

 

社会言語学(Sociolinguistics)(平成21年度休講)

西條 美紀 教授  前学期  2-0-0

 社会言語学はことばと社会の関係を扱う学問である。下位分類として,社会の中の言語のバリエーションを考える言語変異論,ことばの使いかたについての政策などを扱う言語政策・言語計画論,個人のコミュニケーションと社会の関係を扱う言語行動論がある。この講義では,これらの分野について概括するが,主に言語行動論に焦点をあて,具体的な会話の事例などを分析しながら,個人間の意味交渉や個人内の会話方略などについても考える。自分のコミュニケーションについて自省したい学生の積極的な参加を歓迎する。

 

情報社会とコミュニケーション(Communication in Information Society)

野原 佳代子 准教授  後学期  2-0-0

 人間は,持っている情報をお互いに伝え,解釈し,とり込み合いながら共存しているものである。情報社会と言われながらも,情報共有の前提が持てない不安定な現代のコンテクストにおいて,人はどのようにしてメッセージを受信・発信していくのか。

 本講義は,「解釈」「とり込み」「翻訳」「操作」といった,コミュニケーションにおいて発生する行為に焦点をあて,それらのメカニズムについて考える。講義形式をとるが,学生によるグループワークやディスカッションも取り入れていく。

 

理論言語学(Theoretical Linguistics)

畠山 雄二 非常勤講師  後学期  2-0-0

 我々ヒトの脳の中には「文法」がある。この「脳内文法」のおかげで,我々はことばを生み出し,それを理解することができる。はたして,この「脳内文法」のメカニズムはどうなっているのであろうか?この問いに対して科学的な説明を与えること,これが本講義のねらいである。また,本講義では,なぜ子どもは短期間のうちに母語をマスターすることができるのか?なぜ子供は国籍を問わずいかなる言語をもマスターすることができるのか?なぜ我々日本人はなかなか英語をマスターすることができないのか?等の素朴な疑問に対しても科学的な説明を与えていきたい。

 

音楽文化論第一(Music Culture T)

東谷 護 非常勤講師  前学期  2-0-0

 音楽を学術的に研究することはどういうことなのだろうか。本講義ではポピュラー音楽研究の最前線の研究成果を提示することによって,冒頭の回答としたい。

 

音楽文化論第二(Music Culture U)

谷口 文和 非常勤講師  後学期  2-0-0

 音を使って何かを伝えることは,古来より社会の中で重要な役割を担っており,様々な技術がそのために用いられてきた。音楽もまた,その構図の中に位置付けられる。

 この講義では音楽を題材として,技術が社会的に活かされ意味付けられるプロセスについて論じる。特に20世紀を通じて音の世界を塗り替えてきた録音技術や電子音響技術に焦点を当て,人がどのように音をコントロールし,表現のために利用してきたかを検証する。

 

日本文化論(Japanese Study)

高橋 世織 特任教授  前学期  2-0-0

 異文化理解とは異文化誤解でしかないのかもしれません。我々もまた,自文化についても本当は誤解をしているかもしれません。自明だとおもっている文化や文化的テクストを,外からのまなざしで再度検証してみましょう。「古池や蛙飛び込む水の音」(芭蕉)が,日本では暗黙裏に蛙は一匹で(数を意識すらしない),どうして諸外国の翻訳では複数になるのでしょうか?本講義では,絵画や庭園・建築,映画などの空間表象の歴史を参照しつつ日本文化における身体観,自然観や死生観を検証します。俳句や季語にも触れていきます。

 

オペラへの招待(Introduction to Opera)

山崎 太郎 准教授  後学期  2-0-0

 オペラは歌とオーケストラ,舞台美術と衣装,言葉と演技といったさまざまな要素が一体となって,愛と死をめぐる人々の情念と社会の複雑な様相を描き出す総合芸術である。視覚と聴覚の相乗効果には何ものにも代えがたい魅力があり,それゆえに16世紀末の誕生以来,貴族社会から市民社会へのヨーロッパの歴史の変遷において,娯楽と教養の対象として発展を続け,現在,世界的な舞台芸術としての地位を確立するにいたっている。本講義では代表的な作品をいくつか紹介。各作品をさまざまな角度から掘り下げ,その魅力に親しむことで,現代の私たちにとってオペラが持つ意味を考え,ひいてはヨーロッパの社会と文化の成り立ちをより深く理解するための一助とする。

 

デザイン論(Design Science)

岸 輝 准教授  前学期  2-0-0

 現代社会におけるデザインの重要性はますます高まりつつある。日本と世界の視覚デザイン・工芸デザイン・工業デザインの歴史をたどり,21世紀のテクノロジーとデザインの関係を展望する。

 

美術史・美術理論(History and Theories of Art)

岸 輝 准教授  後学期  2-0-0

イタリア・ルネサンス期の主要な芸術家と絵画・彫刻・建築作品の流れを追いながら,レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロら芸術と科学に通じた天才を輩出した社会的背景を明らかにしたい。

 

大江戸講(Virtual Tour to Edo) SC:(H20選定)創造性育成科目

山室 恭子 教授  後学期  1-1-0

鍛えようプレゼンテーション力。

ちゃんと人前で話せますか?

この講義では,江戸の人たちの世界に親しみ,その元気なユーモアのセンスに学びつつ,自らのプレゼンテーション力を鍛えることを目ざします。

ある週は江戸の見世(みせ)めぐり,ある週は怪談話に興じ,そのつぎは番付ダブルス。毎週,趣向を変えたメニューを楽しみつつ,少しずつステップアップしてゆけば,半年後,きっとあなたはプレゼンの達人。

 

歴史学(History)

山室 恭子 教授  前学期  2-0-0

 しっかり人類の起源から説き起こします。ユーラシア大陸に文明が芽生えたわけを地球規模で考察しつつ,文明の興亡の意味,ナショナリズムという怪物など世界史的なトピックをいくつか経て,後半は山室の専門分野である日本の戦国時代へ。武田信玄・上杉謙信,そして信長・秀吉・家康と天下を争った英雄たちを訪ねて,政治の意味,すなわち人々を治めるとは何をすることなのか,を問います。

 歴史家はどんな手法で史実を彫り上げてゆくのか,という歴史学の〈方法〉に触れていただくのが主眼なので,予備知識は不要です。

 

現代史(Contemporary History)

布施 広 非常勤講師  後学期  2-0-0

 担当教員は新聞社の論説委員で,主に国際政治に関する社説・論説を執筆しています。日本と世界で起きる事象をどのように受け止めて何をすべきか,新聞社としての意見を述べたり問題提起するのが主な役割です。いままさに脈打っているニュースを題材に,その歴史的背景やさまざまな因果関係を考え、日本と世界を見つめ直しましょう。現代社会を生き抜くタフな洞察力と知性を養ってほしい。

 

メディア心理学(Media Psychology)

岩男 征樹 助教  前学期  2-0-0

 従来のメディア観は,「送り手→メディア→受け手」という,シャノン・ウィーバーのモデルが基本となっていた。しかし,このモデルはマスメディアの分析では効力を発揮していたものの,様々なコミュニケーション活動に適応するには限界があることが,近年,心理学を中心にして次第に明らかにされている。本授業では,新たなメディア観について,理論的枠組みと具体的な実証的研究を織り交ぜながら紹介していく。

 

心理学(Psychology)

徃住 彰文 教授  後学期  2-0-0

 人間の心のメカニズムについて,最新の研究成果をとりあげながら概観する。思考,記憶,意思決定,知識,感情,人格,発達,社会が,主要なトピックである。簡単な実験や調査をおりまぜた授業形態で,講義を進める。

 

認知科学(Cognitive Science)

徃住 彰文 教授  前学期  2-0-0

 「心の科学」の新しい展開として,心理学,人工知能学,言語学,神経科学,文化人類学などをクロスオーヴァーする認知科学という領域が形成されつつある。人間の心について,どのような理論が提案されているのか?心理学の観点から,認知科学の最前線を探る。

 

テキスト解釈論(Text Hermeneutics)

村井 源 助教  後学期  2-0-0

 文書に書かれたことばの意味は一通りとは限らない。文書の書かれた時代背景・文化・言語・修辞法などの文書自体の特徴に合わせて,他の文書との関連性,文書を読む側の視点の問題なども踏まえることによって深遠な意味の世界が開けてくる。講義では,文書の意味を理解するためのさまざまな手法を,実例を挙げつつ紹介していく。

 

神経心理学(Neuropsychology)

柴崎 光世 非常勤講師  前学期  2-0-0

 神経心理学は,脳損傷者の示す多彩な心の障害(高次脳機能障害)を手がかりとして,心と脳の関連性について検討を試みる心理学の一領域である。授業では,はじめに脳の解剖学や代表的脳疾患など神経心理学の理解に欠かせない基礎的知識を確認した後に,史的展開,研究法,種々の高次脳機能障害といった神経心理学の本論について講義していく。神経心理学における代表的研究成果をもとに,私たちの心の営みとそれを支える神経過程について考えていきたい。

 

臨床心理学(Clinical Psychology)

松本 聡子 非常勤講師  後学期  2-0-0

 各種精神疾患およびそれらにかかわる実証的研究を,心理検査の体験をおりまぜつつ紹介します。

 臨床心理学および精神保健学という学問分野の「研究」「調査」といったものに対する理解を深めることを目的とした講義です。

 

文化人類学(Cultural Anthropology)

上田 紀行 准教授  前学期  2-0-0

 現代の世界的危機の根源を探り,その乗り越えをイメージしながら,文化人類学の入門を行う。文化の二面性,現代に至るまでの人類史の流れ,文化の習得と再創造などを講義するほか,受講者自身が自ら体験するワーク,ゲーム,ディスカッションなども行うので,積極的に参加して,自分を知り,他を知るきっかけとしてほしい。

 

文化社会論(Culture and Society)

上田 紀行 准教授  後学期  2-0-0

 なぜ人類社会には「差別」や「暴力」が存在するのだろうか。そしてそこからの開放にはいかなる戦略が必要だろうか。「宗教」はその解決になるだろうか。前半では,差別や暴力を実例とともに論じ,後半では宗教の可能性と問題点を論じる。講義のみではなく,受講者参加によるワークやディスカッションも行われるので,積極的に参加してほしい。

 

憲法(Constitution)

榎澤 幸広 非常勤講師  前学期  2-0-0

 憲法は,民法や刑法に比べて,身近な存在ではないと感じている学生も多いのではないでしょうか。しかし,本当に身近ではないのでしょうか。例えば,「お前は国政について意見するな。したら逮捕するぞ。」と警察官に言われたらどうでしょう。また,「お前の親は農民だから子どものお前も農民以外の職は認めない。違う職に就いたら罰するぞ」と役人に言われたらどうでしょう。そんな世の中息苦しいですよね。実は,憲法に規定されている『人権』とは,普段は空気や水のような存在に感じてしまいがちですが,今のような事例をふまえて,その存在意義をあらためて検討してみると,なくてはならない重要なものだということが理解できるのではないでしょうか。そして,現代に眼を見やれば,冤罪事件の多発,反戦ビラ配布者の逮捕,監視カメラ記録の不正利用など,我々の人権が侵害されているケースが未だに数多く存在しています。本講義は,事例を中心に,主に,憲法上の人権を検討していき,日本国憲法の重要性を再考してみたいと思います。

 

法学(Law)

金子 宏直 准教授  前学期  2-0-0

 民法を中心にして法律学の基礎的概念を学ぶ。法制度のしくみ,六法のつかい方をはじめとして,民法における人,物,権利の性質等,民法総則を主に学習します。

 

民事法(Civil law)

金子 宏直 准教授  後学期  2-0-0

 具体的な事例を取り上げながら,民事裁判の仕組み及び民事訴訟法について学ぶ。また,裁判以外の紛争処理(ADR)等についても学習します。

 

国際関係論第一(International Relations T)

蟹江 憲史 准教授  前学期  2-0-0

 この講義では,国際関係論の基本となる見方・考え方について学習する。われわれは日常的に国を擬人化して,「日本の外交」や「アメリカの政策」といったコトバを使用し,耳にするが,実はそのような国家の捉え方は国際関係論の基本的見方を反映したものである。いったいそれはどのような見方なのであろうか?様々な分野において「国際化」や「グローバル化」の波が広がりを見せる中で,国際関係の基本的知識の習得はもはや現代社会に生きるものにとっての常識といっても良いものとなりつつある。このような現代社会を理解するうえで最低限必要となる国際関係の知識の習得を目指す。

 

国際関係論第二(International Relations U)

蟹江 憲史 准教授  後学期  2-0-0

 国際関係論第一で学習した基礎に基づき,本講義は地球環境問題に関する国際的問題解決についての学習を深める。地球環境問題の様な「グローバル・イシュー」といわれる問題は,もはや一国だけで解決することが不可能な問題となっているが,その一方で,国際社会の基本的構成単位は,あいかわらず「国家」となっている。このような「グローバル化する問題」と「国家単位の国際関係」のハザマで,問題はどのように解決されている(いない)のだろうか?この講義では地球環境政治に主たる焦点を当て,多国間での問題解決への考察を深める。

 

政治学第一:近現代日本史政治史(Political History of Modern Japan)

田中 善一郎 教授  前学期  2-0-0

ペリー来航から第二次世界大戦の敗北までのほぼ百年の日本の政治史を概観する。

教科書として佐藤進・五味文彦・高埜利彦・鳥海靖編『改訂版・詳説日本史研究』(山川出版社、2007年)のうち、第9章(近代国家の成立)と第10章(近代日本とアジア)を使う。

 

政治学第二:戦後日本政治(Post-War Japanese Politics)

田中 善一郎 教授  後学期  2-0-0

 1945年8月に日本は戦争で負けた。それからが戦後である。この講義は戦後の日本政治の流れと政治の仕組みについて簡単に解説する。なお,テキストは指定しないが,参考書を講義の中で紹介する。

 講義は,おおむね以下のような順番で行う。

  1. 1945年から1987年までの日本のビデオを見る。            
  2. 戦後60年の時代区分と参考文献の紹介。
  3. 明治体制
  4. 占領期
  5. 保守と革新の時代
  6. 高度成長の時代
  7. 保守復調の時代
  8. 弱い自民党体制の時代

 

経済分析入門(Economic Analysis: Introduction)

金子 昭彦 准教授  °樋口 洋一郎 教授  前学期  2-0-0

 この講義では,文系科目と思われがちな経済学が実は社会や経済の問題を考える上での基礎的な科学であり,理系的な解析力が必要不可欠であることを1年次生に広く知ってもらい,経済分析へ関心をもってもうらうために行う。第1部では経済と経済学理論について,第2部では経済学により提案された政策の効果をいかに実証するかを話題とする。

 

ミクロ経済学(Micro Economics)

佐藤 崇 非常勤講師  後学期  2-0-0

 オーソドックスなミクロ経済理論を講義します。ミクロ経済学は現代の全ての経済学の基礎となっており,ゲーム理論や情報の経済学といった,現代の経済学では不可欠となっている理論も,オーソドックスなミクロ経済学を踏まえることでその意義をより深く理解することができます。われわれが経済社会をどのように数理的に把握しようとしてきたのかを理解することがねらいです。

 

マクロ経済学(Macro Economics)                   

千明 誠 非常勤講師  前学期  2-0-0

 マクロ経済学は,「集計された」経済変数について考察し,一国の経済活動の決定メカニズムを明らかにする経済学の一分野です。本講義では,基本的な概念と理論に焦点を当てて解説を行い,それによって,参加者がマクロ経済学の基本的な考え方と分析ツールを習得する事を目的とします。講義を通して,「経済学的直感」を生かしつつ,それを的確に表現する術を身につけて下さい。

 

経済学第一(Economics T)

大和 毅彦 教授  前学期  2-0-0

 経済学の基礎理論について講義する。消費者や生産者にとって,生産・消費に関する最適な選択は何か,社会全体として,どのような財・サービスの配分を行うべきかなどを吟味する。

 

経済学第二(Economics U)

大和 毅彦 教授  後学期  2-0-0

経済理論の応用について講義する。公共財などの外部性が存在する経済の分析,資源配分における公平性の研究,公平でかつ効率的な配分を実現するための制度設計などについて吟味する。

 

社会学基礎(Foundation of Sociology)

今田 高俊 教授  前学期  2-0-0

 本講義では,社会学の基礎的な考え方について学習する。社会学とはどのような学問であるかに始まり,社会的事実の蒐集法,分析の方法とレベル,社会化と人間形成,社会参加の諸形式,逸脱行動などを中心に講義する。

 

社会学応用(Application of Sociology)

今田 高俊 教授  後学期  2-0-0

 本講義では,社会学第一の基礎論をもとにして,年齢・性・階級などによって分割されている社会状態,家族問題,技術と社会変動,都市化と生活の質など,日本社会の現実分析をまじえながら,具体的な社会現象を把握する応用論を講義する。

 

宗教社会学(Sociology of Religion)

橋爪 大三郎 教授     前学期  2-0-0

 ユダヤ教,キリスト教,イスラム教,仏教,儒教など主要な宗教を比較して論ずる。宗教という人類最大の文化遺産を通して,人間社会の過去・現在・未来を考える。余裕があれば,国際社会の問題についても触れる予定。

 

理論社会学(Theoretical Sociology)

橋爪 大三郎 教授  後学期  2-0-0

 社会という現象を研究するのに,どういう方法が有効なのか,過去の優れた理論家たちの苦闘を紹介する。言語ゲーム,マルクス主義,構造主義,軍事社会学,などといったテーマのいずれかに焦点をあてる予定。

 

数理社会学第一(Mathematical Sociology T)

中丸 麻由子 講師  前学期  2-0-0

 人間行動や社会を捉える上で,人間も生物の一員であり進化の賜物である以上,進化生物学的観点も必要である。講義では進化理論の基礎から始め,進化ゲーム理論の人間行動・社会研究への適用例を中心に紹介する。そして進化生物学的観点と数理モデルからどこまで人間社会や行動の本質が明らかになるのか探っていきたい。

 

数理社会学第二(Mathematical Sociology U)

中丸 麻由子 講師  後学期  2-0-0

 この講義では主に微分方程式や差分方程式によるエポックメーキングな社会の数理モデルを紹介する。数理モデルによる社会研究の長所・短所,そして現実のデータとの対応も示しながら,モデル作りの基本的な考え方を講義する。数理モデルの解析方法を示しつつ,Excelを用いた数値計算実習によってモデルの挙動を実体験する。この講義を通して,数理モデルによってどこまで社会研究が可能なのか,不可能な点があるとしたら何であるのか考えてみて欲しい。

 

科学概論第一(General Science T)

山崎 正勝 教授  前学期  2-0-0

 自然科学・技術の本質,その方法,その社会的機能などについて,科学の通史を通して講義する。第一では,科学の誕生から近代科学の成立までを扱い,科学的方法,科学的自然観について考える。

 

科学概論第二(General Science U)

山崎 正勝 教授  後学期  2-0-0

 第一をひきつぎ産業革命以降近代工学,物理学,化学,生物学等の現代科学の成立の過程を追う。

 

現代技術史(History of Modern Technology)

中島 秀人 准教授  後学期  2-0-0

 現代の技術システムがいかに形成されたかについて,19世紀中葉以降に着目して論じる。特に,社会の「マス化」をキーワードとして,これに技術がどのように寄与し,どのような問題を引き起こしたかを吟味する。また,このシステムを完成した20世紀アメリカの発展をみていく。これとともに、技術を支える研究所などの制度についても論じる。できる限りAVを活用する。授業の評価は、試験70%、出席30%を目やすとする。教科書を授業で指定する予定。

 

技術史第一(History of Technology T)

中島 秀人 准教授  前学期  2-0-0

 現代社会において,技術は人類の未来を左右する大きな役割を果たしている。本講義では,科学や技術に関係する職業に就く受講者が多数であることを考慮にいれながら,このような問題を考えるための基礎としての技術史を扱う。

 具体的には,古代から産業革命直前までの時期を対象とする。特に,通常軽視されがちな中世の技術にも焦点を当て,これが近代技術とどのようなつながりを持つのかを考察する。できる限りAVを活用する。授業の評価は、試験70%、出席30%を目やすとする。教科書を授業で指定する予定。

 

技術史第二(History of Technology U)

未定  非常勤講師  後学期  2-0-0

 産業革命以後,現代に至るまでの技術の発展を扱う。産業革命で展開した技術は,どのような仕組み(論理)で発展し,社会にいかなる問題を提起したかから,はじめ,以後,電気や科学技術の発展に見られる独占資本主義時代における技術発展の論理,第2次世界大戦と技術,原爆開発,コンピュータの展開など,時代をおいながら時間の許す限り現代まで追っていく。その際,技術の発達は人間と社会にいかなる意味をもったか,技術の発達の論理とは何か,技術は果たして「正常」に発達してきたのか等等,技術発展の筋道と社会と関わりを考えながら進めていきたい。

 

日本技術史(History of Technology in Japan)(平成21年度休講)

未定    前学期  2-0-0

 日本の技術発展は,とくに戦後めざましいものがあるが,その明治時代から今日にいたるまでの発展過程を通史的に見ることによって,日本技術および日本「技術者」を考える。発展の全体構造,第二次大戦までの日本技術の展開と問題点,大戦後の技術発展の構造,現代日本技術論,ハイテクと技術構造,日本技術と世界技術,技術進歩と環境・社会問題,日本技術者論などを取上げる。

 

科学方法論(Philosophy and Methodology of Science)

渡部 鉄兵 非常勤講師   前学期  2-0-0

 ある知識や行動が「科学的である」とは一体どのようなことか。科学がもたらす莫大な成果と社会的影響力を考えると,この問いに正面から向き合うことは不可欠であると思われる。本講義では「科学的説明とは何か」,「理論の正しさを如何にして決定するか」,「法則・観察・モデルの役割は何か」といった問題群に対する厳密な検討を通じて,科学的知識に固有な特徴を探求していく。

 

科学史第一(History of Science T)

佐藤 賢一 非常勤講師  前学期  2-0-0

 東アジア地域(中国・朝鮮・琉球・日本)における近代以前の数学史を概観する講義を行う。必要に応じて西欧の数学史との比較も行うが,できる限り,「漢字」・「中国語」で表記された伝統数学の実態を紹介していきたい。

 

科学史第二(History of Science U)

八耳 俊文 非常勤講師  後学期  2-0-0

 古代から現代にいたる西洋の宇宙論史。われわれ現代人にとって宇宙は遠い世界であり,天文学者が何かを発見したとしても,それでもってわれわれの生き方が影響されることはない。しかしかつて人々がとらえていた宇宙は,はるかに小さく,宇宙の理解の変化は,人間の生き方をゆるがした。天文学は完全な世界を研究する高貴な学問と評され,その成果は文化のさまざまな領域に及んだ。宇宙論史を例に,科学史の基礎的知識を習得するとともに,科学のもつ文化性を意識してもらいたい。

 

科学技術と政策第一(Science & Technology Policy I)(平成21年度休講)

国吉 浩 教授  前学期  2-0-0

 東工大において理学・工学を学び,将来研究者になるにせよ,実務者になるにせよ,科学技術についての政策,制度を把握し活用することは必要となる。本講義では,理工系出身者として理解しておくべき,科学技術に関する様々な政策,制度とその考え方について学ぶ。

 

科学技術と政策第二(Science & Technology Policy II)

国吉 浩 教授  後学期  2-0-0

 「科学技術と政策第一」の講義内容は科学技術に関係する政策全般をカバーしたいわば概論である。本講義では,分野を絞り,より突っ込んだ議論を行う。対象テーマについては,「科学技術と政策第一」の受講生の興味,講義実施時期にメディアで話題となっているトピックなどを参考に,設定する。

 

科学の社会史(Social History of Science)

梶 雅範 准教授  前学期  2-0-0

 主として近代以降のヨーロッパにおける科学の歴史を通して,科学と社会の相互作用,科学の社会的・文化的側面について考えていく。大学と学会,科学と技術,科学の制度化,科学の専門家と職業化,各国での科学研究の在り方の比較,戦争と科学,科学と産業,科学とイデオロギー,冷戦後の科学,環境問題と科学などのテーマを取り上げる。

 

日本科学史(History of Science in Japan)

梶 雅範 准教授  後学期  2-0-0

 近世以降の日本の科学研究の社会におけるあり方の歴史的変化について講義する。蘭学の成立と展開,お雇い外国人,高等教育制度の成立,科学研究の自立,諸研究機関の成立,日本の科学者,女性と科学,戦争と科学,戦後の科学・技術などのテーマを取り上げる。

 

生命倫理学(Bioethics)

吉武 久美子 非常勤講師  前学期  2-0-0

 生命倫理学の基本的な考え方と問題を理解した上で,科学技術者として,生命を扱う専門家,行政担当者として,あるいは,患者として,その家族として,さらには一人の人間として,生命倫理の諸問題に対していかに行為すべきかを考える能力を養う。

 

科学技術者倫理(Ethics in Engineering)

未定  後学期  各2-0-0

 近年,技術者の倫理を問われる事件が多く起こっている。チャレンジャー号の爆発では,打ち上げが懸念されるというデータがありながら最後まで担当技術者が主張しなかったとか,建築の設計が手抜きであったとか,あるいは工事の手抜きを行った結果が大事故につながったなどなど例を挙げればきりがない。現在も問題になっている原子力炉シュラウドでのデータ隠しも(経営者は勿論)技術者の責任を問われる問題である。

 他方,アメリカでは技術者倫理の素養を持たない者は,専門職業としての技術者としては認められない制度となっている。日本でも日本工業教育協会でも,技術教育の認定制度を導入し,東工大でも認定基準をクリアするよう,これに対処することとなった。この認定制度の資格を取らないと,海外で技術者として活動できない局面も出てきている。

 本授業は,こうした要求をクリアし,設定された資格を受ける条件を満たすという側面と,それとは関係なく,技術者としては本来,倫理的な模範をもつべきであるという考えから,科学技術者の倫理問題を考える授業として開講するものである。

 授業内容は,科学技術者倫理とは何かというところから始まって,過去に発生したケーススタディを通じて,何がどのように問題であったかを取り上げ,最後に応用倫理学としての理論を展開する。

 

環境・社会論(The Theory of Environmental Protection)

伊瀬 洋昭 非常勤講師  歌川  学 非常勤講師  後学期  2-0-0

 私たちが直面しているさまざまな環境問題について,社会的側面から整理・分析し,受講生にとって考えるべき論点・課題がより明確になる,そのことを目指して講義をすすめる。環境問題などの「現代的課題」に対しては,安易な結論に安住して思考停止状態になることを避け,より本質的な課題について検討し続けていくことこそが,重要だと考えるからである。

 社会的側面から見たとき環境問題には,局所的なものにも地球規模のものにも共通する面を見出すことができるし,薬害や一般に人間の健康の問題,技術の安全性と事故の問題,資源問題やゴミ問題,自然災害を防ぐ問題などと密接に関連する面も見出すことができる。そのような連関を視野に入れながら,いくつかの歴史上の事例を題材としてとり上げて検討を加える。

 

社会の理工学そして芸術(Theory and Technology for Society and Arts)

肥田野 登 教授  後学期  2-0-0

 この講義は人間によって構成される社会の理学と工学を考えてみようというものです。数式を使う理論,言語を使う理論など,社会の理学の可能性を探ります。そして問題解決につながる社会の工学の考え方を学ぶとともに社会の理学との関係を考察します。また具体的に社会の理学と工学を理解するために演習を行います。さらに社会の理学と工学の問題点と新たな可能性を,芸術を媒介として考え,またその創作によって追求します。

 

統計学基礎(Elementary Statistics)

來島 愛子 非常勤講師  前学期  2-0-0

 自然科学,社会科学,人文科学に共通する統計学の入門的知識を講義する。統計学の歴史と意義,記述統計,確率分布と標本などを扱う。

 

統計分析入門(Introduction to Statistical Analysis)(平成21年度休講)

未 定  後学期  2-0-0

 

交渉の科学(Negotiation Science)

木嶋 恭一 教授  後学期  2-0-0

 個人や企業・地方自治体・政府などあらゆる局面でみられる広い意味での相互作用である交渉を,システム論の視点からアプローチする。人間や組織間の交渉の構造と過程を記述する数理的モデル,主体間の交渉が提携を形成する過程に注目するシミュレーションアプローチなどについて説明する。さらに,ビジネスにおける交渉・自己主張など実践的な話題についても言及する。なお,履修者の人数制限を行うことがある。

 

社会ネットワーク理論(Social Network and Decision Making)

猪原 健弘 准教授  前学期  2-0-0

 私たちは,他の多くの人と共に社会ネットワークを形成している。また,社会ネットワークの中での私たちの暮らしは意思決定の連続である。その意思決定は互いに他者に影響を及ぼし,さらに社会ネットワーク全体の振る舞いにも影響を与える。この講義では,特に,「私たちが他者に対して持っている態度」に注目して,私たちの意思決定と社会ネットワークの振る舞いの間の関係を数理的に調べていく。

 

合理的思考の技術(Techniques for Rational Analysis)    

小林 憲正 助教  前学期  2-0-0

 意思決定分析とその応用であるゲーム論などを、最先端の研究成果もふんだんに取り入れつつ、とりわけ認識論的な基礎付けモデルの限界に光を当てて講義する。与えた問題を解く能力を訓練するのではなくて、モデルを現実に適用することを主眼におくことにより、自分で考える力を身につけさせることをねらいとする。

演習、本人の身近な問題に基づくケーススタディや実験を多用し、インタラクティブに講義を行う。

 

 

文系発展科目

(文系専修)

 

社会的合意形成の技法(Technics of Social Consensus Building)(平成21年度休講)

桑子 敏雄 教授  前学期  1-1-0

 現在,地方分権や住民参加の推進などによって,行政と住民,住民と住民の話し合いの機会が多くなっています。社会基盤整備や環境問題をめぐる対立や紛争を解決するための不特定多数を対象とする合意形成では,説明責任や透明性の確保,コミュニケーションの技術など,会議や集会を設計,運営,進行するための基本的な思想とそれを実現するための技術が求められています。本講義では,社会的合意形成の考え方と手法を論じます。

 

Topics on Japan II 英語で学ぶ日本事情U

佐藤 由利子 准教授  前学期  1-1-0

Through this course, regular students (Japanese and Int’l) and exchange students from overseas partner universities are expected to deepen their understanding of Japan and the Japanese society in comparison with other countries through lectures, discussions and presentations. All classes will be conducted in English.

While Topics on Japan (TOJ)I, starting from October, deals with basic knowledge of Japan and the Japanese society, TOJ II aims at deepening students’ understanding further, by dealing with topics such as economy, politics, company and gender. In the last part of the course, students are expected to explore the characteristics of Japan and the Japanese society themselves by making presentations on ‘Discovery of Japan’.

Class participants are encouraged to exchange with the classmates of different nationalities from theirs and to understand other values and cultures than their own.

Please challenge and enjoy this course!

 

論語を学ぶ(Studying the Analects of Confucius)     

田中 善一郎 教授  前学期  2-0-0

中国人または台湾人の留学生を対象として、中国でもっとも権威のある論語の注釈書である楊伯峻『論語譯注』(中華書局)を読む。なお、この本は繁体字で書かれている。日本語の参考書として、金谷治訳注『論語』(岩波文庫)もあわせて読む。

 

短編小説を読む(Japanese Short Novels)

井口 時男 教授  後学期  1-1-0

 科学は一つの真理を求める。しかし,文学作品を「読む」ことの快楽は,テクストの「意味」が複数に分裂していくところにある。ことに短編小説には作者の「たくらみ」が言葉の隅々にまで隠されているし,作者が思っても見なかった意味すら読者は「発見」することがある。そんなふうに,「読む」ことの醍醐味を体験してもらいたい。授業は少人数で演習形式が中心になる。

 

Topics on Japan I 英語で学ぶ日本事情T

佐藤 由利子 准教授  後学期  1-1-0

Through this course, regular students (Japanese and Int’l) and exchange students from overseas partner universities are expected to deepen their understanding of Japan and the Japanese society in comparison with other countries through lectures, discussions, presentations and visit to a relevant place. All classes will be conducted in English.

Topics on Japan (TOJ)I mainly deals with basic knowledge of Japan such as history and education, while TOJ II, starting from April, aims at deepening students’ understanding of Japan further. In the middle of TOJ I course, students are expected to make a group presentaion on ‘My country and university’ to promote mutual understanding.

Students are encouraged to exchange with classmates of different nationalities from theirs and to understand other values and cultures than their own.

Please challenge and enjoy this course!

 

科学・技術・社会(Science and Technology Studies)

中島 秀人 准教授  後学期  1-1-0

 科学技術の成果が社会に深く浸透するに伴って,その負の影響が懸念されるようになっているのは周知のことである。1999年には,世界の科学者,技術者がブダペスト宣言を採択したが,そこでも,科学をどのように社会に役立てるかが重要な課題とされた。この授業では,科学技術社会論という新しい学問分野の立場から,科学・技術・社会のあるべき関係について,事例および理論双方からアプローチしていく。授業はゼミ形式で行い,学生諸君の発表に基づき、ディスカッションする。具体的な内容については,初回に説明する。授業の評価は、発表30%、出席30%、レポート40%を目やすとする。

 

現代の音楽とテクノロジー(Contemporary Music and Technology)

徃住 彰文 教授  後学期  1-1-0

 20世紀,21世紀の音楽を対象として,テクノロジーと音楽との協調のありさまを概観する。どの回でも,音楽の実際を視聴しながら,音楽体験と音楽分析を対比する。

 作曲,鑑賞の両面から,現代音楽におけるテクノロジーの役割について分析する。ParisのIRCAM(音響音楽研究所)とStanford大学のCCRMA(計算音楽音響研究所)の活動を紹介しながら,現代音楽の最先端の動向を学ぶ。また,WebテクノロジーやAIにおける音楽の展開も学ぶ。

 

集団意思決定理論(Group Decision Making)

猪原 健弘 准教授  後学期  1-1-0

 会議や委員会での意思決定や,選挙による代表者選出など,通常,複数の意思決定主体によって行われる意思決定を「集団意思決定」と呼ぶ。集団意思決定では,最終的な決定が採決を通じて行われることが多いが,採決以前に意思決定主体の間で情報交換が行われることが普通である。この講義では,集団意思決定の中での情報交換における,各意思決定主体の意見の柔軟性に注目し,情報交換と意思決定の結果の間の関係について調べていきたい。

 

As in a meeting and in an election, decision making in which many decision makers are involved is called group decision making. The final decision in a group decision making situation is usually provided through a voting, and decision makers interact with each other before the voting. In this lecture, considering the flexibility of decision makers, we examine the relations between information exchange among decision makers and the final decision.

 

 

(文系ゼミ)

 

文系ゼミ第一〜第六(Advanced Humanities and Social Sciences T〜Y)

各教員  各0-2-0

 人文科学,社会科学についての深化した学習を通じて,文系学問の深い素養と思考法を修得することをめざす。少人数制を原則としたこの科目は,各授業担当教員により,開講形態,対象学年などが大幅に異なるので,「教授細目」(シラバス)」を参照されたい。

 

 

総合科目

 

総合科目(General Course on Humanities, Science and Technology)

各教員  前学期  後学期  2-0-0

 総合科目は,従来の学問分野の区分けを超えて,異なる文系同士,あるいは文系と理工系とが融合またはクロス・オーバーするような学際的・広域的テーマについて,複数の教員が共同で開く科目である。各クラスの授業担当教員,テーマ,内容については,「教授細目(シラバス)」を参照されたい。