人間情報学特別教育研究コース

 

【コースの概要】

 本特別教育研究コースは,人間と情報をキーワードにした学際的な人間情報学の創成と,その実現に資する創造的研究者・開発者の人材「育成(啓発)」の場の提供を目指す。

 五感を用いた情報処理,コミュニケーション,メディア処理,人間の認知・処理からコンピュータ科学までの高度な専門的内容の講義を,別紙に示す科目層と項目群により構成される講義体系として整備する。受講者は,自らが独自の研究構想に基づきカスタマイズした授業セットを選択し受講する。

 更に必修科目として,「Project Based Learning (PBL)」特別演習,自研究室内での講究に留まらず異なるアプローチや方法論を習得する交差演習,の科目を準備する。

 これらのコースカリキュラムへの参加により,従来の研究科・専攻の枠を超えた人間情報学を構築し,「人間中心の情報社会」を実現する人材を,持続的に社会に提供していくことを目指す。

【対象】修士課程(博士前記課程)及び博士後期課程在学生を対象とする。

【コース修了の要件】

 学生の所属する専攻で定められた専攻修了要件の他に,学則第86条で定められた30単位の内,上記表中の共通科目の内の2単位以上,ヒューマンコミュニケーション系科目層,ヒューマン知能計算論系科目層,ヒューマン感覚・音声言語・メディア系科目層からそれぞれ2単位以上,これらを合計して12単位は習得しなければならない。但し表中の科目が自専攻科目であるものについては,自専攻の修了要件として重複してカウントすることを認める。以上の要件を満たすものについては,所属専攻の審査を経て人間情報学特別教育研究コース修了と認定する。コース修了者には「コース修了証明書」を発行する。

 

人間情報学 特別教育研究コースの開講科目一覧

共通科目

授業科目

単位

担当教員

学期

備考

人間情報学特別演習

0-2-0

篠田・金子

後期

集中講義

人間情報学交差演習

0-2-0

篠田・金子

後期

集中講義,博士後期課程生を想定

ヒューマンコミュニケーション系科目層

科目名

担当

学期

単位数

備考

認知科学数理モデル論

2-0-0

中川

前期

 

Introduction to Biomedical Instrumentation

2-0-0

八木(透)

前期

奇数年開講
(旧:医用生体工学概論)

Introduction to Neural Engineering

2-0-0

八木(透)

前期

偶数年開講

(旧:Neural Interface)

複雑システム数理

2-0-0

三宅

後期

 

ヒューマン知能計算論系科目層

科目名

担当

学期

単位数

備考

人工知能特論

2-0-0

篠田

前期

 

情報通信ネットワーク特論

2-0-0

山岡

前期

 

機械学習

2-0-0

村田

後期

 

ヒューマン感覚・音声言語・メディア系科目層

科目名

担当

学期

単位数

備考

人間行動のキネシオロジー

2-0-0

須田・丸山

前期

 

マルチメディア情報処理論

2-0-0

亀井・斉藤

前期

 

感覚情報学基礎

2-0-0

内川・金子・他

前期

奇数年英語・偶数年日本語開講,
旧「感覚システム基礎論」

音声言語情報処理

2-0-0

小林(隆)・奥村

後期

奇数年日本語・偶数年英語開講

 

教授要目
共通科目

授業科目名

人間情報学特別演習

科目英語名

Human centered informatics exercise

概要

修士課程学生を対象としたPBL(Project-Based Learning)演習を行い,人間情報学に必要な知識・技術を習得することを目的とする。

履修者を数人のグループに分け,予め用意されたテーマの中から演習テーマを選択する。各グループには担当教員が各1名つき,指導を行う。原則として以下のスケジュールに従う。

1〜2週目 テーマ選定,演習計画策定

3〜7週目 演習

8週目   中間発表 (全履修者+本科目担当教員)

9週目〜14週目 演習

15週目  最終発表(全履修者+コース担当教員)

最終発表により合否を判定する。なおテーマとしては,モーションキャプチャー,バイオセンサ(脳波,筋電,眼球運動),VRシステムなど人間情報学分野での最新のツールや,マルチメディア信号処理,心理物理実験,生理・生体データの計測・解析に関する手法を活用するものを選定する。

 

授業科目名

人間情報学交差演習

科目英語名

Human centered informatics inter-lab seminar exercise

概要

博士課程学生を対象として,指導教員とは異なる教員の研究室でプロジェクトを遂行し,学際分野である人間情報学に対する幅広い視野を獲得することを目的とする。

履修者は,指導教員と相談した上で担当教員を一名選び,その承諾のもと,担当教員研究室に原則3カ月以上滞在し,指導教員の研究ツール,手法とは異なる課題/アプローチの研究演習を行う。演習期間は一続きである必要はなく,分散していても良い。終了時には,成果についてレポートを提出の上,発表会を行い,担当教員および指導教員が合議で合否を判定する。

ヒューマンコミュニケーション系科目層

授業科目名

認知科学数理モデル論

科目英語名

Mathematical Models of Cognitive Science

概要

認知科学の研究対象である,記憶,学習,思考,問題解決,言語処理等の数理的理論モデルの構成と,その数理的理論モデルのコンピュータシミュレーション,応用実験等について説明する。特に理論と実験結果との対比について理解させる。さらに,数理モデルを用いた理論を一般的に説明する。講義では,図表やコンピュータグラフィックスの実演等を多用し,直感的に理解しやすい説明を心がける。

 

授業科目名

Introduction to Biomedical Instrumentation

科目英語名

Introduction to Biomedical Instrumentation

概要

Introduction to biomedical instrumentation, a technology for medicine and health care. This course provides basics of physiology and covers several update topics in biomedical instrumentation. Topics include: imaging systems, endoscopes and catheters, surgical devises and systems, circulatory artificial organs, metabolic artificial organs, sensory artificial organs, structural artificial organs, rehabilitation devises and systems, and future technology.

 

授業科目名

Introduction to Neural Engineering

科目英語名

Introduction to Neural Engineering

概要

Introduction to neural interface, a technology to link the nervous system and a machine. This course provides a foundation of neuroscience and also covers several update topics in neural engineering.

 

授業科目名

複雑システム数理

科目英語名

Theory of Complex Systems

概要

自己組織化と社会的インタラクション:複雑システムの特徴である相互作用(インタラクション)に注目してその解析及び合成に関する数理的な方法論について講義する。このようなシステムの特徴である非線形性と開放性に着目して,秩序(パターン)形成機構としてのシナジェティクスやエントレインメントなど自己組織化についての基礎を解説する。さらに,これらを踏まえて,人間の身体的インタラクションや心理的インタラクションのモデル化を進め,最終的には社会的コミュニケーションとの関連を踏まえ,その支援技術について紹介する。

ヒューマン知能計算論系科目層

授業科目名

人工知能特論

科目英語名

Advanced Artificial Intelligence

概要

人工知能基礎で学んだ基盤技術に基づき,さらに高度な理論や技術を学ぶ。最新の研究成果についても紹介するとともに推論機構特論,ヒューマンインタフェース,機械学習の各講義への導入および認知科学などの関連する分野についても概説する。

 

授業科目名

情報通信ネットワーク特論

科目英語名

Advanced Information and Communication Network

概要

個人間のコミュニケーションに始まり,娯楽,ビジネスツール,さらには電子商取引まで,我々の生活にもはや欠かすことのできない社会インフラに成長した,放送,電話網,インターネットなど通信網に関して,効率的な情報流通を実現するための様々な制御技術を中心に論じる。

 

授業科目名

機械学習

科目英語名

Machine Learning

概要

与えられたデータに内在する知識や法則をコンピュータによって見出す機械学習の手法について論じる。入力データに関する基本事項や,学習によって得られる概念表現としての決定木やルール等について理解を深めるとともに,現実的なデータへの手法の適用についても論じる。

ヒューマン感覚・音声言語・メディア系科目層

授業科目名

人間行動のキネシオロジー

科目英語名

Kinesiology in Human System

概要

運動時の生体の制御機構,行動や動作の制御について,神経系,内分泌系,呼吸・循環器系,運動器の仕組みから論じ,運動時の呼吸・循環器の評価法,動作解析の実践を通して,人間行動におけるキネシオロジーについて解説する。

 

授業科目名

マルチメディア情報処理論

科目英語名

Multi-media Information Processing

概要

画像音声情報の分折,圧縮のためデジタル信号処理技法,画像音声認識のための特徴抽出,パターンマッチング手法について学ぶ。

 

授業科目名

感覚情報学基礎

科目英語名

Basic Sensation Informatics

概要

人間の感覚系が外界の情報をいかに受容,伝達,分析,統合して最終的な知覚像を形成しているかを述べる。講義では,視覚系に代表される感覚系について豊富な心理物理的な実験データを示しながら,感覚系の構造,感覚特性の測定法,感覚系の心理物理的および生理学的特性に関する基礎的な事項を解説する。

 

授業科目名

音声言語情報処理

科目英語名

Speech and Language Processing

概要

人間の基本的な情報伝達手段である音声言語について,その解析,モデル化,および処理手法の基礎を解説するとともに,コンピュータを用いた音声認識,音声合成,音声符号化,形態素解析,構文解析,情報検索等の手法について述べる。

以上