現代アメリカ文化論(American Culture in the Twentieth Century)
江崎 聡子 非常勤講師 前学期(すずかけ) 後学期(大岡山) 2−0−0
自動車,ロック,ハリウッド映画,高層建築,野球,郊外都市,ショッピングモール,テーマパーク,テレビ,ミュージックビデオ,ジーンズ…。こういったものは現代のアメリカ文化の代表的要素であり,また同時にアメリカ文化が浸透した他地域の社会や文化を読み解くためのキーワードとなっている。授業では,こういったアメリカ文化の要素がどういった社会的文化的背景のもとに誕生し形成され,現代のプロトタイプとしての特質とは何かを分析する。そしてこういった要素がどのようにグローバルに浸透し遍在し,同時代,あるいは現代に生きる我々の思考や行動様式に影響を与え続けてきたのかという問題を考察する。とりわけ,美術,プロダクトデザイン,広告,写真,映画,建築,TVドラマやアニメーションなどのポップカルチャーに焦点をあて,視覚文化研究(ビジュアルカルチャースタディーズ)の方法論を念頭におきながら議論したい。
アート環境論(Art Environment Method)
°石井 勢津子 特任教授 佐野 清彦 非常勤講師 前学期 1−1−0
多様化する現在形のアートを切り口に多角的な視点からアートを見つめ,創造性と自由な発想について考え,学ぶことを目的とする。
前半ではヴィジュアルアートを中心に講義する。現代において,インスタレーション,ディジタルアート,ホログラフィなど表現方法は多様化し,コンセプチュアルアートから環境アートなどアートの概念も大きな広がりを見せている。講義では多数の作品のイメージドキュメントを紹介し,その創造性と発想について考え,学ぶ。後半では,音のアートを中心に講義する。音響・音楽文化を,人類の音への認識の深化として構造的に捉える。そして環境音楽デザインとそれをささえる東洋の芸術思想を学ぶ。まず4月に,授業の一環として生のアートを体感することを目的に、ヴィジュアルアートと音のアートのコラボレーションによるコンサート・イベントを開催する。
科学技術を目指す学生が,対岸のジャンルとしてではなく芸術を捉え見つめることで,しなやかな感性と考え方を育むことを目指している。
日本の近代(The Distinctive Character of Japanese Modernization)
猪瀬 直樹 特任教授 後学期 2−0−0
日本の近代化は,アジアではまれな成功例であった。だが司馬遼太郎は,昭和前期については「別国の観がある」と嘆いた。日露戦争までは「坂の上の雲」を追いかけていればよかった。政治家も企業家もフロンティアを目指していた。軍事大国として「五大強国」などと持て囃されているころに国際社会の権謀術数に巻き込まれていったのだ。敗戦からスタートした戦後はどうか。思いがけずに「経済大国」になったが,高度経済成長を経て目標を達成すると,再び曲がり角を迎え迷走している。日本国はなぜ同じ轍を踏むのか。宿命の影はどんなかたちで尾を曳いているのか。「いま」を見つめながら,「近代」「現代」を分析したい。
映像文化論(Image Study)
高橋 世織 特任教授 後学期 2−0−0
映画はムービング・ピクチャーというように既存の長い歴史を持つ絵画・美術史とそのフレーミングをなぞっていることを,チャップリン,黒沢明等を事例に検証します。リュミエール兄弟の起源いらい《労働》,《食事》,《祝祭・祭礼》の3シーンを主軸にレンズが向けられた映画。チャップリンの「モダンタイムス」(1936)を中心に,機械と身体,労働,スポーツ,声,都市の音響の諸問題を見世物文化の歴史的な射程から再検討。毎回,近代化(モデルニテ)とは何だったのだろう,という大きな問いのもとに講義を進めます。本年は,《声と映像》に特化して考察。
21世紀の記号思想(Semiotic Thought in the 21st Century)
菅野 盾樹 非常勤講師 前学期 2−0−0
記号論の解説を通じて〈哲学思想〉の基礎を掘り下げるのが授業の目的である。現代の記号学/記号論の創始者が,19世紀末から20世紀初頭を生きたソシュール(スイス)とパース(アメリカ)であることは広く知られている。授業では,二人の業績を参照しつつ,(1)21世紀の今あらためて記号学の将来への展望を考察し,(2)記号学の本来の目的と意義を明らかにし,(3)とりわけ新しい<言語観>を描くことを通じて,<記号>を機軸とした<哲学思想>を探求する。なお授業を聴講するために,哲学ならびに記号学に関する予備知識は必要とされない。
精神医学入門(Introduction to Psychiatry)
松本 聡子 非常勤講師 後学期 2−0−0
人はそれぞれ異なる物事の捉え方(=認知)をするため,物質的な意味で同じ世界に存在していても「こころ」というフィルターを通して見る世界は十人十色です。
本講では,心理検査や心理療法を実際に体験して頂く傍ら,脳や遺伝子,薬理,神経伝達物質,診断基準などに関するトピックスも交えて幅広く精神医学というものを説明していく中で,こころの働きの不思議さを皆さんにご紹介する予定です。
芸術言語論(Theory of Art Language)
吉本 隆明 特任教授 °田中 理恵子 非常勤講師 後学期 2−0−0
本講義は,詩人・評論家の吉本隆明特任教授が自著および現代詩について語り下ろした「芸術言語論」講義ビデオを上映し,田中がその内容の注解を行う。
文芸評論やコミュニケーションの道具としての言語の様態とは一線を画した,「言語の芸術的価値」とはいかなるものであるのか。吉本氏の長年の課題であるこのテーマを中心に,若い世代の現代詩作品についての吉本氏の見解を交えながら,芸術言語表現をめぐる今日的意義を検討する。
映像メディアとジェンダー(Audio/visual Media and Gender Representation)
鷲谷 花 非常勤講師 後学期 2−0−0
近現代の視覚文化史を「ジェンダーの表象」についての約束事(コード)の移り変わりという視点から把握することをめざし、映画史を主軸として,アニメーション,大衆演劇,マンガ,ゲームなどの対象の理論的・批評的読解を進めてゆく。また,ジェンダーとセクシュアリティの表現・描写をめぐる「規制・検閲」という事象にも注目することで,フィクショナルな「表象」と現実の「社会」の間に生じてきた葛藤についての関心と理解を深める。
近代日本の思想と文学(Modern Japanese Literature and Thought)
野網 摩利子 非常勤講師 後学期 2−0−0
いままた、異分野間の連携によって新しい何かを生み出そうとする時代が来ている。かつて明治時代は各分野が確立していなかったために、たとえば哲学といった分野には多種多様な知識人が乗り合わせていた。そのなかから明治大正を担う文学者も登場したのである。この授業では、現在もなお刊行されつづけている『哲学雑誌』(前身『哲学会雑誌』1887年より)刊行当初の、科学あるいは疑似科学の論考、紹介、翻訳を読んだうえで、執筆者たちののちの成長を見届ける。とりわけ、『哲学雑誌』の編集に携わっていた夏目漱石の発想源を明らかにする。横断的思考を身に付けることの大切さを味わってもらいたい。
現代メンタルヘルス論(Study of Mental Health)
野口 海 非常勤講師 後学期 2−0−0
現代社会(文明)は我々の心にどのような影響を及ぼしているのだろうか?現代に特徴的な心の病はあるのだろうか?
企業内における産業メンタルヘルス・終末期医療・医療制度問題などをトピックとして挙げながら,医学的背景を説明すると共に,実際的な対応について考えてみたい。
グローバルな正義(Global Justice)
浦山 聖子 非常勤講師 後学期 2−0−0
グローバルな正義とは,国際社会の公正さをめぐる思想である。なぜ先進国は開発途上国を支援しなければならないか。各国は国外の労働者を受け入れるべきか。外国人にはいかなる権利・義務が認められるべきか。そもそも,多様な文化や価値観が溢れる国際社会において,統一的な正義を追求することは可能か。以上のような問題をめぐって,その背景と英米の現代政治哲学について講義する。
西洋中世の宗教と医学(Religion and Medicine in Medieval Europe)
久木田 直江 非常勤講師 後学期 2−0−0
この講義では,キリスト教会の考え方が病気,健康,生,死などの問題に大きな影響を与えていた中世末のヨーロッパ社会に焦点を当て,医学と宗教の交差と接合について,主に文化史の観点から検討します。同時に、キリスト教文化の基本的コンテクストを文献と図像的資料(中世からルネサンスの絵画など)を通して学び,西洋社会への理解を深めます。
メディアアート入門(Introduction to Media Art)
°中嶋 正之 教授 中村 泰清 非常勤講師 林 正樹 非常勤講師
前学期 1−1−0
従来のアート技術に立脚し,コンピュータを利用した画像,映像の制作に取り組む。まず,鉛筆によるアナログデッサンの講義により対象の正確な描画方法について学び,その後コンピュータを利用したデジタルデッサンに取り組む。さらにCGアニメーションの作成を試みる。後期に開講される,実際にインスタレーション作品を制作するメディアアート技法を希望する学生は本講義を受講することが望ましい。本講義の目的としては,21世紀をリードする新しいアートマインドを持つエンジニア系の学部学生を教育することである。まさに東工大が誇る21世紀文明を担う人材を育成する。
メディアアート技法(Media Art Technological Method)
°中嶋 正之 教授 白井 暁彦 非常勤講師 宮原 誠 特任教授 後学期 1−1−0
従来のアート技術に立脚し,コンピュータを知要する実際のメディアアート作品の制作に取り組む。
目的としては,21世紀をリードする新しいアートマインドを持つエンジニア系の学部学生を教育することである。まさに東工大が誇る21世紀文明を担う人材を育成する。
ミュージックサウンド入門(Introduction to Music Sound)
河野 土洋(かわの・くにひろ) 特任教授 後学期 1−1−0
理工系学生のクリエイティブなセンスを刺激する上で,アートの世界に触れてみることは非常に大切なことです。「サザエさん」の音楽などで活躍中の本学出身の作編曲家・特任教授が講義を担当。
時代が変わり,音楽を生み出すディジタル機器が従来からの生楽器(acoustic)に取って代る勢いを見せ,現在では多くの音楽制作がいわゆる「打込み音楽」に殆ど委ねられるようになって来ています。しかしこの現象は,音楽制作のコスト削減などの理由が大きく,本来の,人間による楽器演奏の良さを超えるものではないでしょう。
講義では,従来の作曲編曲の理論に加えて,近年隆盛してきたコンピュータ・コントロールによる音楽制作(作曲)を課題とし,クラシックの和声学とジャズ・ポピュラー双方の理論と実際を取り上げ,人間にのみ与えられた音楽の深淵に挑んで行こうとするものです。
一見,冷たいと思われがちな「打ち込み音楽」に,どのように愛を盛り込んで行くか,また人間の演奏技術をはるかに越えた超絶技巧によるパッセージ,電源を切るまで演奏し続ける無限ループ音楽,そして,従来からの楽器の音色を越えた未体験のシンセサイザーの音色をどう扱っていくかなど,多くの音楽を実際に聴きながら,アートと工学におけるクリエイティブなセンスを感覚的に捉えていく。
映像基礎ワークショップ(Basic Visual Image Workshop)
Andoroniki Christodoulou 非常勤講師 前学期 0−2−0
A workshop on the basic elements that go into creating still images, the philosophy underpinning this creation and the techniques of composition and the use of light that make it possible.
Digital presentations/projections with photos by professional photographers will be presented in the class.
映像応用ワークショップ(Intermediate Visual Image Workshop)
班 忠義 非常勤講師 後学期 0−2−0
映像基礎ワークショップを踏まえ、動画、特に映画の技術をマスターした社会派ドキュメンタリー映画を独自の視点で制作できる人間を育てる。
受講者の個性を生かし,社会や人間,歴史などを主眼として独自の考察力と表現力の向上を目指す。
翻訳教室A,B(Translation Workshop A,B)
金子 靖 非常勤講師 前学期A 後学期B 0−2−0
毎回,英語で書かれた文章(新聞記事,エッセイ,小説)を日本語に訳してもらいます。英文の読み方,訳文の練り方,辞書の使い方,インターネットの調査方法など,翻訳に必要なことを,一緒に考えたいと思います。翻訳は毎回提出してもらいます。添削をして,返却します。提出された翻訳を通して,ディスカッションもしたいと思います。英語の効果的な学習方法もアドバイスしたいです。
出版ワークショップA, B(Publication WorkshopA, B)
吉田 弘 非常勤講師 前学期A 後学期B 各0−2−0
「出版は時代の文化を映す鏡である」と言われています。
出版業界はいま,新しいメディアの台頭,若者の活字離れの中で揺れ動いています。ニーズに応えることのできる新しいトレンドの創出が切望されているのです。この出版・編集ワークショップでは,学生がそれぞれに選択したテーマに沿って小雑誌を制作します。企画,取材,撮影,デザイン,印刷までの行程を全て自ら体験することによって,豊かな発想,明快なプロモーションを身に着ける一助となればと考えます。
歌舞伎への招待(An Invitation to Kabuki) 前学期 2−0−0
歌舞伎への美学(The Aesthetics of Kabuki) 後学期 2−0−0
おくだ 健太郎 非常勤講師
400年以上の歴史を持つ歌舞伎は日本の様々な美意識が結集したエンターテイメントです。理工系のさまざまな分野でこれから活躍していく方にもぜひ接していただきたい。
自分の国の文化や芸術に等身大の親しみを持つことこそ,これからの時代に一番大切な「国際感覚」だと思うのです。
歌舞伎未体験の方こそ大歓迎です。
芸術ワークショップ2011A,B(Art Workshop 2011 A,B)
Nico Vascellari 非常勤講師 前学期A 0−2−0
未 定 後学期B 0−1−0
世界を代表するアーティストから直接,現代アートに関して深い興味のある学生に対して講義,アートの実習,作品作成,鑑賞と討論をワークショップ形式で行う。
現代アートワークショップA,B(Modern Art Workshop A,B)
ズザネ・マイヤー 非常勤講師 前学期A 後学期B 0−2−0
In this course the students will produce art works, experimenting with different materials and techniques and mainly learning how to express themselves in two-dimensional and three-dimensional artworks, in the figurative and the abstract, by the means of drawing, painting etc.
The workshop will be inspired by and based on the artworks of main European and American artists, whom I will introduce with visual materials in the first 90 minutes of each class, with a focus on contemporary art and its sources in the past.The introduced artists will be different in Workshop A and B, each course following a main topic.
After the end of the course students will have the chance to show their artworks in a group exhibition.
Trained academic skills are not required. The language of the course is Japanese.
エスペラントの世界A,B(The World of Esperanto A,B)
佐々木 照央 非常勤講師 前学期A 後学期B 2−0−0
19世紀末にロシア統治下のポーランド系ユダヤ人ザメンホフによって作られた世界共通語エスペラントを学び,外国語速習法を教える。前半の講義では2ヶ月間(8回)で文法の基礎,その後2ヶ月でアンデルセン童話または秀れた古典文学作品を読む。同時に会話,作文の訓練もする。試験のために訓練されてきた英語と異なり,その足かせがない場合には極短期間で高度の水準に到達できることを体験させる。
後半の学期には受講者の意向も聴きながら,初歩の文法を習得させてから世界語の古典的文献,世界文学のエスペラント訳,現代のエスペラント文献などを使い,語学力(英語,日本語,その他)の向上をはかる。エスペラント語を通じて,ナショナリズムとインタナショナリズムの問題を考察させる。エスペラントの学習は外国語学習の気分を一新し,隠れた語学能力を開花させる機会を与えるであろう。
パフォーマンスワークショップA(Performance Workshop A)
Jean Laurent Sasportes 特任教授 前学期 0−2−0
This course is designed to give students insight into both the theory and practice of modern dance and dance-theatre. Works from the repertory of Pina Bausch and other important creators of modern dance will be analyzed and discussed in detail, to determine the elements that go into them. The workshopping and the lectures will be integrated so that students can further understand the spirit and performance of dance. Students will be expected to create short sequences of dance theatre choreography based on their life experience, as well as what they have heard and seen.
パフォーマンスワークショップB(Performance Workshop B)
Adam Broinowski 非常勤講師 前学期 0−2−0
This course provides students with an opportunity to tell their own stories (in English or Japanese) through theatre and movement practices and performance techniques. Aimed to encourage the capacity in students to tell their own stories in a creative manner using techniques which employ everyday materials in a lively and stimulating way.
Media and Journalism in Japan A
Lucy Birmigham 非常勤講師 前学期 2−0−0
An introduction to creative communication skills used by journalists in media including print, TV, radio and the Internet. Through practical news projects, students will learn the essentials of 'telling a story': developing a story idea, interviewing and reporting. There will be numerous field trips to media outlets and direct interviews. Students will be asked to keep a log of their activities. They will not be required to write lengthy essays in English or Japanese.
Media and Journalism in Japan B
(未定) 後学期 2−0−0
彫刻ワークショップ(Sculpture Workshop)
ズザネ・マイヤー 非常勤講師 前学期 0−2−0
I will introduce main works of sculpture in Western art, the figurative and the abstract and the expanded contemporary concepts of three-dimensionality. Based on the lectures the students will produce three-dimensional artworks with diverse materials, including clay and other materials, and also working with a model. Lectures given in English and Japanese.
ビジュアルアーツワークショップ(The Visual Arts Workshop)
ズザネ・マイヤー 非常勤講師 後学期 0−2−0
This is a course about the various uses and meanings of LIGHT in the Visual Arts. In the lecture, the changing expressions and contents of LIGHT in Western art will be introduced, beginning with painting, for example the work of Vermeer, up to contemporary light installations. Inspired and based on the lecture, the students will produce drawings, paintings, three-dimensional objects and installations etc.Lectures given in English and Japanese.
Creative Engineering for Ecological Art
Tanja Beer 非常勤講師 後学期 0−2−0
This intensive course Workshop will explore the potential that recycled materials and found objects have for creating unique art installations. Students will investigate the synergies between engineering and creativity, while exploring the possibilities of reconstructing everyday objects and materials to build extraordinary art pieces. The workshop will culminate in a collaborative exhibition that will also include experimentations with light and sound to enhance the overall installation. In English.
英語で読む思想特訓コース(Intensive English in Thought and Action)
°Roger Pulvers 特命教授 橋爪 大三郎 教授 前学期 4−0−0
国際的な舞台で活動し、欧米やアジアや世界各地の人びとと協働するには、ワーキングランゲージとしての英語が必須です。英語を聞き取り、理解し、話す。あなたの頭のなかに英語の回路を構築し、日本語の回路をオフにしなければならない。日常英語を越えた思想的なテキストを手がかりに、夏休みの数週間をかけて、毎日英語の集中特訓をします。これを修了したあなたは、英語パーソンになっているでしょう。