2. 大学院総合科目

 専門科目の履修により,それぞれの専門分野に関する高度な内容の修得と理解を深めることができるが,これと同時に多面的なもののとらえ方や見方,異なる分野における論理と考え方,科学と工学が人間や社会とどのような関連をもっているのか,などを体験的かつ総合的に学ぶ必要がある。このように学問分野としての広がり,人間的な幅の広がりを得る契機として総合科目Cが開講されている。講義においては,ある特定の領域に関する知識の講述が行われるのでなく,人文科学,社会科学,自然科学にわたる広い領域のテーマを取り上げ,専攻や研究科の枠をこえて幅の広い視野を切り開くことができるよう総合化する力を,様々な講義形態で学ぶことになる。

 講義において学生は講義を一方的に聞くのではなく,調査,検討,ディベート,レポートなどにより,講義への積極的な参加が要求される。

授 業 科 目

単位

担当教員

学 期

備    考

材料を知る

2−0−0

中村 ほか

 

環境論

2−0−0

梅干野ほか

 

ベンチャービジネス特論

2−0−0

柿   本

 

化学工業R&D

2−0−0

山中 ほか

 

分野横断の最先端

2−0−0

猪原 ほか

 

合意形成学

2−0−0

猪原 ほか

 

科学技術コミュニケーションと教育

1−0−0

川本 ほか

 

サイエンスカフェ ― 組織と運営

0−1−1

西條 ほか

 

 

〔教 授 要 目〕

99501
材料を知る
(Essence of Materials Science)
 後学期 2−0−0  ○中村 吉男 教授・里  達雄 教授・谷岡 明彦 教授・篠崎 和夫 教授
            中島  章 教授・丸山 正明 講師(非常勤)・黒川  卓 講師(非常勤)
            叶  際平 講師(非常勤)・石黒  隆 講師(非常勤)
            浅見 重則 講師(非常勤)

 20世紀後半は材料の世紀であった。今後,あらゆる分野(工学,経済,外交,考古学など)で材料の重要性が飛躍的に上昇しよう。新材料の開発だけでなく,既存材料の有効利用など,材料の役割,意義を角解的に考え,それぞれの活躍分野で材料に対する意識の向上をめざして,材料研究や,材料開発の現場等からを含めて各教官の経験をもとに講義を行う。知識ではなく知識の使い方や考え方を学んでほしい学生にとって受身でないよう,対話形式を重んじ,また理解を深めるための小レポートの提出を求める。

99506
環境論
(Theory for Environment)
 後学期 2−0−0  梅干野 晁 教授 ほか

 理工学の研究・技術を志向する者の基礎的理解のために,地球規模の環境問題および都市・人間環境に関する諸事項の把握と今後の展開について講述する。
 人間環境システム,創造エネルギー,化学環境学,環境理工学創造専攻の教員によるオムニバス形式の講義。

99509
ベンチャービジネス特論
(Advanced Course for Venture Business)
 後学期 2−0−0  柿本 雅明 教授

 新しい産業を開拓するベンチャービジネスに対する関心が最近急速に高まっている。本講義では,ベンチャービジネスを巡る様々な話題,ベンチャービジネスの現状,それを支える科学技術政策・産業政策,ベンチャー企業の資金調達,知的財産の権利化,ベンチャービジネスの将来展望など,ビジネスの成功のために必要な知識を政策立案者の立場とベンチャービジネス実践者の立場から説明する。

99519
化学工業R&D
(R & D of Chemical Industry)
 後学期 2−0−0  ○渕野 哲郎 准教授・山中 一郎 准教授・石曽根 隆 准教授
            泰野 正治 講師(非常勤)・大田原健太郎 講師(非常勤)
            上野  巧 講師(非常勤)・鍛冶  誠 講師(非常勤)

 現代の社会は高い性能と機能をそなえた多種類の材料によって支えられており,さらに未来社会のあるべき姿も材料の革新なしには考えることができない。高性能,高機能材料開発の背景としての基礎化学と材料として発展してきた過程,製造プロセスの進歩および将来の発展方向について次の3つの具体例を取り上げて講義を行う。(1)化学工業,医薬産業における晶析技術 (2)自動車触媒の高機能化 (3)エレクトロニクス産業における有機材料の役割。

99524
分野横断の最先端
(Leading Edges of Interdisciplinary Fields)
 後学期 2−0−0  猪原 健弘 教授

 いま,科学技術と社会の間に,新しく,いくつかの分野横断型の学問領域が構築されつつある。科学技術を社会に「還元」し新たな社会を「創出」しようとする「サービス科学」。科学技術で社会を「把握・解釈」しようとする「ディジタル人文工学」。科学技術と社会を「接続」し社会を円滑に「運営」しようとする「合意形成学」。本講義では,理工系の専門知識と人文学・社会科学の融合を実現する,新世代の「分野横断型の理工系」を目指す学生に,これら3つの新たな学問領域の先端的な取り組みを紹介する。

99529
合意形成学
(Consensus Building)
 前学期 2−0−0  ○猪原 健弘・今田 高俊・木嶋 恭一・桑子 敏雄・出口  弘・金子 宏直
            新田 克己・原科 幸彦・坂野 達郎・内藤 正彦(非常勤講師)
            吉武久美子(非常勤講師)・松本 光崇(非常勤講師)

 合意形成学の広がりと深さを学ぶ。特に,1.合意形成の場と技法,2.合意形成学の方法論と応用,3.合意形成と提携形成,4.合意形成の法と数理,という4つのテーマから,合意形成学についての理解を深める。

科学技術コミュニケーションと教育
 前学期 1−0−0  ○川本 思心 助教・西條 美紀 教授・鈴木 正昭 教授・野原佳代子 准教授
            小川 哲男 講師(非常勤)ほか

 この授業では科学技術コミュニケーションを誰がどのような状況で必要とするのか,スキルとしての科学技術コミュニケーション力とは何かについて概観する。さらにその力を養成するための実践的な教育方法を考える。本年度は年少者にむけた科学読み物の作成を通じたプログラムを実施する。この授業の修了者には科学技術コミュニケーションに関連する諸機関への国内・海外インターンシップ参加の優先権を与える。

サイエンスカフェ―組織と運営
 後学期 0−1−1  ○西條 美紀 教授・日下部 治 教授・野原佳代子 准教授
            肥田安弥女 講師(非常勤) ほか

 科学技術コミュニケーションを学生が実践する場として,サイエンスカフェの企画・運営を行う。サイエンスカフェは科学や技術の話題についての専門家と非専門家の対話の場であるが,どのような場で何を誰に向けて話し,何を成果とするかについて様々な考え方がある。本授業では,受講生がサイエンスカフェの企画・運営に関わる全てを決定し,実行する。その中で自分とは異なる考え方と価値観を持った人々との対話について認識を深め,対話能力を向上させていくことを目的とする。あわせて,成員異質性の高い組織を作ることの意味とその維持方法についても検討する。