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SSH指定校の高校生がすずかけ台キャンパスを訪問

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公開日:2014.08.05

7月16日、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校である埼玉県立松山高等学校の2年生42名および教員3名が、本学すずかけ台キャンパスを訪問し、講義の聴講および研究室の見学を行いました。松山高等学校は、埼玉県東松山市にあり、創立90年を越える県立の高等学校(男子校)です。今回、SSHの教育活動の一環として、松山高等学校の清水千津子先生から訪問の依頼があり、講義および見学会を開催することになりました。清水先生は、資源化学研究所 吉沢道人准教授の高校時代の恩師、清水則尚先生の奥様でもあります。

当日、大型バスで予定の約30分前に到着した高校生らは、講義会場のフロンティア研究機構の配慮で、館内の付属博物館への入場が可能となり、シーラカンスなどの見学で時間調整が出来ました。講義の部では、本学の学部および大学院の紹介の後、吉沢准教授の研究成果を中心に、「超分子化学:新しい分子フラスコを作る!」と題する講義を行いました。講義時間は、大学院の講義と同じ90分(45分×2回)として、その中で多くの質疑応答や分子模型を使ったカプセルの作製を行いました。自ら手を挙げて積極的に講義に参加する高校生が数多くいました。

講義中の様子
講義中の様子

講義の主題である「分子フラスコ」は、特別なものと思われがちですが、その代表例であるシクロデキストリン(糖の環状化合物)は、身の回りの飲料や食品に含まれています。また、ミセル(石鹸や洗剤からできる球状の集合体)は、日常生活で必要不可欠な分子フラスコです。吉沢准教授は、前例のない分子フラスコの作製を数年前から始め、約1 nmサイズのカプセル型の分子フラスコを開発することに成功しています[1,2,3]。本講義では、これまでの分子フラスコの紹介と、新しい分子フラスコの設計から合成、そして、その機能(フラーレンC60の選択的内包や蛍光性など)を、専門用語を出来るだけ使わずに説明しました。その努力もあり、講義後のアンケートでは、理解できたとの意見が多くありました。

講義後、高校生らは大学院生に混じってキャンパス内の食堂で昼食をとり、その後の自由時間に生協や図書館、博物館を見て回りました。見学会の部では、資源化学研究所の彌田・長井研究室、藤井・酒井研究室、そして吉沢准教授が所属する穐田・吉沢研究室という、研究分野の異なる3つの研究室(材料・分析・合成)を、4班に分かれて見学しました。測定中の最新の分析機器(電子顕微鏡やレーザー発生装置など)や合成反応中のガラスフラスコを目の前に見ながらそれぞれの説明を受け、高校生らは感動していました。合成の実験室では、穐田・吉沢研究室の学生が丁寧に説明しました。

今回、40人を越える高校生の訪問で、特に研究室の見学に関して心配されましたが、事前の安全確認(見学ルートの調整、実験メガネの用意など)により、全ての予定をトラブルなく終了することが出来ました。また、研究室見学が予想以上に、高校生らの印象に残ったことがアンケートから分かりました。

講義と見学会後の集合写真

講義と見学会後の集合写真

お問い合わせ先
資源化学研究所 准教授 吉沢道人
Email: yoshizawa.m.ac@m.titech.ac.jp

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