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RU11「グローバル化時代における我が国の責務としての研究基盤の抜本的強化にむけて」

2014.08.26

学術研究懇談会(RU11)は、日本における最先端の研究・人材育成を担う、国立・私立という設置形態を超えたコンソーシアムです。北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の11大学で構成されています。

このたび、RU11の総長・塾長・学長は、グローバル化時代における我が国の責務としての研究基盤の抜本的強化にむけて提言をまとめました。

平成26年8月26日

グローバル化時代における我が国の責務としての研究基盤の抜本的強化にむけて(提言)

学術研究懇談会(RU11)

北海道大学総長
山口 佳三
東北大学総長
里見  進
筑波大学学長
永田 恭介
東京大学総長
濱田 純一
早稲田大学総長
鎌田  薫
慶應義塾長
清家  篤
東京工業大学学長
三島 良直
名古屋大学総長
濵口 道成
京都大学総長
松本  紘
大阪大学総長
平野 俊夫
九州大学総長
有川 節夫

グローバル化時代において、人類社会をより豊かなものに導くためには、人々が国家や地域の枠を越えて知恵を出し合い協働することが不可欠です。とりわけ、普遍性の追求を目的とする学術研究は、人類全体の未来を照らす灯りです。我が国は、世界の第三極となるべきアジアのリーダーとして、学術を先導してきた学術先進国です。今後とも我が国が学術研究を先導し、学術知を人類共通の資産として蓄積していくことは我が国の責務であり、国際社会の中で尊重される地位を維持していく上で重要です。特に研究大学の役割は極めて大きく、その活動基盤の強化は喫緊の課題です。我が国が世界の先頭を競っている強い分野を持続的に発展させるとともに、学際的研究や融合領域などにおいて、新しい学術を生み出し育て、学術の多様性創出においても、より一層貢献して行かねばなりません。

現在、欧米では産業革命以降、学術研究の進展とともに国家の隆盛した歴史を踏まえ、継続的・持続的な研究発展のための公的資本の投入を続けています。中国、シンガポールなどアジア諸国では、より戦略的かつ集中的な科学技術投資が行われ、それらの国々の急伸は、論文数・被引用論文数の推移、世界大学ランキングなどにも顕著に現れています。しかしながら、日本の現状を見ると、国立大学では十年以上も続いている運営費交付金の削減、私立大学では私学助成の伸び悩みの中、教育・研究環境の劣化が急速に進んでいます。とりわけ、将来を担う若手研究人材の雇用環境の悪化は深刻です。

今後、世界との競争に打ち勝ち、世界から優秀な研究者、留学生を引き付けるためには、我が国の弱点を克服する大胆な対策を迅速に講じる必要があります。すなわち、数十年から五十年にわたる未来の方向と道筋について、社会全体でビジョンを共有し、そこから今行うべき学術活動を見定め、その推進・ビジョン実現の方策を明確にし、大学政策、学術政策、科学技術・イノベーション政策にかかわる諸施策を相互に整合性をとって連動させながら推進することが求められています。

そこでは、「質の高い多様な学術研究をコアにした社会的な価値創出のための知的循環」を共有すべき理念として確立する必要があります。平成 28 年度からスタートする第5期科学技術基本計画においては、この理念が全体を通じた重要な柱として位置付けられるべきです。さらに、同時にスタートする国立大学法人第3期中期計画などにおいて、それを実現する仕組みが大学に装着されるべきです。

先端的学術研究を指向する研究大学の連携体である学術研究懇談会(RU11)は、総合科学技術・イノベーション会議や科学技術・学術審議会等ともしっかりと議論を重ね、この理念の実現を図りたいと考えます。このような大学を取り巻く状況に鑑み、国立・私立という設置形態を問わず、大学における学術研究の継続的発展が、今後の我が国の発展にとって極めて重要、不可欠であるとの認識のもとに、特に、以下の点について提言致します。

I 研究大学を支える財務基盤の強化

(1) 自律的改革を促すための、資金の安定化と効率化を高める方策の実施

運営費交付金や私学助成の充実・確保と研究環境整備の原資となる間接経費の拡充により、研究大学の財政基盤を安定化し強化する。これにより、教育研究組織の再編成、学内資源の再配分など資源を効率的に活用するための大学改革を加速するとともに、競争的資金改革と大学改革を一体的に推進する環境を構築する。

(2) 基盤的研究からその成果の社会実装への切れ目のない研究資金の改革・拡充

我が国が国際社会の中で存在感を示し続けるためには、研究における国際的競争力を抜本的に強化する必要がある。まず、イノベーション創出の土壌としての自由な発想による質の高い基礎研究の広さと深さを充実させなければならない。このような基盤的研究を幅広く支える、科学研究費補助金の拡充が極めて重要である。若手支援、分野融合、国際共同研究等の推進により研究を発展、深化させる。さらに、基礎研究の成果を社会に着実に実装するために、産学官連携支援を強化するべきである。安定した研究環境を確保するための基盤的資金、幅広い多様な研究を支える研究費、研究成果を社会実装するための戦略的な競争的プロジェクト研究資金をバランス良く組み合わせるべきである。これにより、世界をリードする研究力とイノベーションを効果的に創出する環境を実現する。

なお、科学研究費補助金は、全国の研究者の活動を幅広く底支えすると共に、能動的に活動している研究者を可視化・選別することに資する。

II 研究人材を取り巻く環境の整備

(3) 人事制度の抜本的改革

研究者の雇用の安定化と流動性の両立を図るとともに、研究者の明確なキャリアパスの確立を図ることが重要である。その為、大学や研究機関を越えて研究者を雇用する研究人材プール制度の検討に加えて、研究者の多様性確保、特に女性研究者の充実が重要となる。さらに、研究支援人材育成と活用による研究環境の整備を図る必要がある。

(4) 若手研究人材育成のための雇用増員計画実施と卓越した大学院形成に向けた改革

若手研究者育成・雇用のため、彼らが確実に将来を展望できる大胆な雇用増員計画の構築・実施は最重要課題である。加えて、社会の幅広い分野で活躍する優秀な人材を高度博士として育成するための支援制度の確立、競争的資金による大学院生支援の制度化、さらに、国際的求心力のある大学院への転換を図り、先端研究、新しい融合学術の創出のための卓越した大学院教育研究拠点整備を行う必要がある。そのため、研究大学における大学院定員の再設定を行い、大学院学生定員充足管理と教員ポスト管理を廃した基礎財源措置システムの構築を行うべきである。

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