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東工大を含むECM共同研究開発チーム第15回「産学官連携功労者表彰」国土交通大臣賞を受賞

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公開日:2017.09.14

本学の物質理工学院 材料系の坂井悦郎特任教授が関わるECM共同研究開発チームおよび国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)は、科学技術イノベーションに係る産学官連携活動における大きな成果を称えることを目的として内閣府が主催する「第15回 産学官連携功労者表彰」において、国土交通大臣賞を受賞しました。

受賞関係者の記念写真(左が坂井特任教授)

受賞関係者の記念写真(左が坂井特任教授)

今般の受賞では、NEDOの助成のもと、「ECM®(エネルギー・CO2ミニマム)セメント・コンクリートシステム」を開発し、本学とセメント製造4社が持つセメント設計技術と、ゼネコン2社と混和剤製造1社が持つ建設技術とを、綿密に連携したオープンイノベーションにより融合・進化させ、環境と品質のバランスに優れた低炭素型セメントとその利用技術の実用化に成功した点が評価されました。

株式会社竹中工務店、鹿島建設株式会社、国立大学法人 東京工業大学、日鉄住金高炉セメント株式会社、株式会社デイ・シイ、太平洋セメント株式会社、日鉄住金セメント株式会社、竹本油脂株式会社

開発の背景

コンクリートの主要な材料であるセメント(普通ポルトランドセメント)は、製造時に石灰石などの原料を高温で焼成するため、多くのエネルギーを必要とするほか、大量のCO2が発生します。セメントの製造にかかるCO2排出量は我が国全体の3%強を占めていることから、セメント製造に係る低炭素化が重要な課題といえます。

ECMセメント・コンクリートシステムの概要

「ECMセメント」は、セメントの6~7割を、鉄鋼製造の副産物である高炉スラグの微粉末に置き換えることで、材料製造時のエネルギー消費量とCO2排出量を大幅に削減するものです。本学とゼネコン・メーカー7社の共同研究により、セメントの材料成分・構成の最適化や、新規の化学混和剤の開発を行い、構造物への適用に向けてのコンクリート・地盤改良技術を開発し、従来の品質・性能上の課題を解決しました。

高炉スラグは、製鉄所の溶鉱炉で銑鉄を作る際の副産物で、溶融して出てくる鉄以外の成分を水で急冷したものです。

ECMセメント・コンクリートシステム

坂井悦郎特任教授 コメント

坂井悦郎特任教授
坂井悦郎特任教授

この研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)助成事業にて、サプライチェーンを成す企業体(建設会社、材料製造メーカ)と大学が連携して行いました。大学・セメントメーカー4社による「ECMセメントの開発」、建設会社2社・化学混和剤メーカー1社による「ECMセメントを用いた建設技術の開発」に大きく分け、建設側の要求品質ニーズをセメント設計に的確に反映させ、重要でポジティブな結果を早期に発見、フィードバックして修正する連携体制を強化したことで、開発スピードが大幅に向上しました。今回の表彰はこのような産官の連携に対して評価されたものと思っています。

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