東工大ニュース

東工大レクチャーシアターお披露目 高校生向け講義「魔法教室」開催

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公開日:2015.06.10

5月23日、ホームカミングデイに連動し、この春竣工したばかりの「東工大レクチャーシアター」が広く一般にお披露目されました。

「粉だらけの人生」の様子

東工大では現在、2016年4月スタートに向けて、教育システムの抜本的な改革を進めています。「東工大レクチャーシアター」は、改革の一環として整備された新しい教育環境です。国内外から最先端の研究者やノーベル賞級の発見・発明者を講師に招き、主に初年次の学生を対象に、創造的討論や実験の実演を伴った講義を開講します。

高校生向け講義「魔法教室」は、お披露目の企画のひとつとして開催されました。あいにく多くの高校が中間試験と重なる日程でしたが、130名以上の高校生が熱心に足を運んでくれました。事前に本学教員が各高校を訪問して、高大連携(高校と大学の連携のもとに行なわれる教育活動)についての情報交換をしつつ、入場チケットを配付するという広報の努力も功を奏しました。

丸山俊夫理事・副学長(教育・国際担当)が本学の教育改革について紹介するオープニング・スピーチのあと、いよいよレクチャー開始です。

講演中の細谷曉夫 特命教授

講演中の細谷曉夫 特命教授

まずは宇宙へのいざない。細谷曉夫 特命教授による「月はひと月でできた」です。

「この中で月を見たことない人?」

「・・・・・・」

「いないよね、もしいたら、その人はうそツキです」

と洒脱なトークで引き込みます。太陽系のなかでこれほど大きな衛星を有しているのは地球だけで、しかもアポロが持ち帰った月の石は地球と組成がそっくりであること。そこから、45億年前に火星くらいの大きさのテイアという惑星が地球にぶつかって、そのときのバラバラの破片がしだいに集まって月になった、という学説が生まれたことが紹介されます。いかにもとんでもない説に聞こえますが、コンピュータ・シミュレーションをしたら、きちんと立証できたそうです。スクリーンいっぱいに展開する壮麗な宇宙映像を堪能しつつ、要所要所で大学院生の芝池諭人さんが適確な質問や補足説明をはさむことで、参加した高校生達はすっきり理解できたようでした。

質問タイムでは、「衝突は1回だけなの?」「宇宙は寒いのに熱源はどこから?」と、次々と手が挙がりました。

「月はひと月でできた」の様子

講演中の戸倉和 特命教授

講演中の戸倉和 特命教授

ついで身近な粉の話。戸倉和 特命教授による「粉だらけの人生」です。よく見る粉は砂時計、隠れている粉は車の塗装。いろんな粉を紹介して走査型電子顕微鏡で覗き込みつつ、ついでに走査型電子顕微鏡の原理を解説しました。パンっとざぶとんを叩いて舞い上がる埃にたとえて顕微鏡の仕組みを解説するなんて前代未聞だと驚いているうちに、もう話題は次へ。さらさらと液体のように器に収まるけれど、固体のように形も作れる粉ならではの特質が、どう製品に応用されているか。まるで粉のように変幻自在の展開でした。

「では、粉のスカスカ度を測定してみましょう。この200CCのカップに、ぎっしりお米を入れます。そして水を注ぎます。何グラム増えた?」

はかりの目盛りが、頭上カメラでスクリーンに映し出され、全員が結果に納得しました。終了後も電子顕微鏡の回りに集まって熱心に観察する高校生達に、科学ごころがしっかり刺激された様子が伺えました。

事後のアンケートの集計結果の一部を掲載します。講義内容、会場の雰囲気ともに、高い評価をいただきました。

アンケートの集計結果:レクチャー内容は?
アンケートの集計結果:雰囲気や居心地は?

アンケートの回答者の半数にのぼる60名が、自由記述欄にも熱い応援メッセージを寄せてくださいました。その一部を紹介します。

  • 顕微鏡の設備がすごくて感動しました。2年後ここで授業を受けたいです
  • 細谷教授も戸倉教授もとても興味深く面白いお話をどうもありがとうございました。
  • 「月はひと月でできた」:とても面白かった。「粉だらけの人生」:いつもの授業の3,000倍面白かった。
  • 大学の授業、研究というものがどういったものなのか、その一端をつかめたように思います。ますます貴校に行きたいという気持ちが深まりました。

まだまだ始まったばかりの東工大レクチャーシアター。内容にも機器操作にもさらに磨きをかけて、よりスリリングに、よりファンタスティックに、サイエンスとテクノロジーの最先端に親しめる機会を提供していきます。

東工大教育改革

2016年4月、東工大の教育が変わります。現在推進中の教育改革の骨子と進捗をまとめた特設ページをオープンしました。

東工大教育改革

問い合わせ先

国際フロンティア担当

Email : kokusais@jim.titech.ac.jp

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