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細野秀雄教授が井上春成賞を受賞

2015.06.16

細野秀雄教授が、井上春成賞を受賞しました。

「井上春成賞」は、国立研究開発法人科学技術振興機構の前身の一つである新技術開発事業団の初代理事長で、工業技術庁初代長官でもあった井上春成氏が日本の科学技術の発展に貢献した業績に鑑み、新技術開発事業団の創立15周年を記念して創設された賞です。

  • 研究題目
    「酸化物半導体In-Ga-Zn-Oスパッタリングターゲットの開発」
  • 研究者
    東京工業大学 応用セラミックス研究所 教授 細野秀雄
  • 開発企業
    JX日鉱日石金属株式会社 代表取締役社長 大井 滋
    (推薦者:JX日鉱日石金属株式会社 電材加工事業本部 ユニット長 鈴木 章仁)

本技術は、フラットパネルディスプレイの画素電極を駆動する薄膜トランジスタ(TFT)の半導体層に用いられる酸化物半導体In-Ga-Zn-O(インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物)、略してIGZOのターゲット材に関するものです。

細野秀雄教授は、高い電子移動度を有する透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)の設計指針を1995年に独自に提唱し、2004年には、TAOSの一つであるIGZOを活性層に使ったTFTをプラスチック基板上に作製し、従来のアモルファスシリコンの約20倍という高い移動度が得られることをNatureに報告しました。本論文は、酸化物半導体で容易に高性能TFTができるということを初めて示したもので、これをきっかけに国内外の多くの会社がIGZOに注目しIGZO-TFTの実用化に向けた研究開発が始まりました。

そのような状況で、JX日鉱日石金属は、高純度、高密度、均一微細な微構造のターゲットの開発を進め、2011年には他社に先駆け、初めて、8.5世代成膜装置に対応する大型スパッタリングターゲット(長さ2.7メートル)の量産化に成功しました。

JX日鉱日石金属のターゲット材を用い、国内外のパネルメーカが、欠陥の少ないIGZO薄膜を高い歩留りで制作できることを確認できたことにより、IGZO-TFTを用いたディスプレイの実用化が本格的に始まりました。IGZO-TFT搭載のディスプレイは、高精細、低消費電力といった優れた性能により評価され、今後ますますの市場拡大が見込まれています。また、IGZO-TFTは有機ELディスプレイやフレキシブルディスプレイへの適用も期待されており、製造プロセスの上流にあるIGZOターゲット材料の開発の重要性も増しています。

細野秀雄教授のコメント

細野秀雄教授

細野秀雄教授

「IGZO-TFTは、2003年に結晶についてScience誌に、2004年にはアモルファスについてNature誌に最初の論文を掲載しました。また、その前にJSTから特許申請を済ませました。IGZO-TFTのディスプレイ応用には、大型ガラス基板上にスパッタリングでその薄膜を形成するための、大型で緻密なセラミックスのターゲットが不可欠です。今回、共同受賞するJX日鉱日石金属は、最初にその技術を完成させ、2010年で東工大が主催した国際ワークショップ(TAOS 2010)の際に実物を展示しました。これによって実用化の準備が整いつつあることが参加者に伝わりました。また、特許ライセンスを最初に受け製品化に成功しました。その後、内外の多くの企業がそれに倣っています。同社の高い技術力とモラルに敬意を表します。」

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