研究

東工大ニュース

東工大教員4名が平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰で「科学技術賞」を受賞

2016.05.11

このたび、東工大教員4名が、平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において「科学技術賞」を受賞しました。

「科学技術賞」は科学技術分野で顕著な功績をあげた者を対象としたもので、「開発部門」、「研究部門」、「科学技術振興部門」、「技術部門」、「理解増進部門」に分かれて表彰されています。

日ごろの研究活動、研究成果を認められ、本学からは「研究部門」で2名、「理解増進部門」で2名が受賞しました。

科学技術分野の文部科学大臣表彰には、「科学技術賞」の他、特に優れた成果をあげた者を対象とする「科学技術特別賞」、高度な研究開発能力を有する若手研究者を対象とした「若手科学者賞」等があり、「若手科学者賞」でも本学から8名の教員が受賞しました。

「科学技術賞」を受賞した東工大関係者は以下のとおりです。

科学技術賞(研究部門)

岩澤伸治 理学院 教授

受賞業績:遷移金属触媒を用いる二酸化炭素の再資源化反応の研究

岩澤伸治 教授
岩澤伸治 教授

二酸化炭素を炭素資源として再利用し、有用な有機化合物へと変換する方法の開発は、化石資源の枯渇の問題に対する一つの解決策となりうるものです。しかし二酸化炭素は反応性が低く、効率の良い触媒的な二酸化炭素固定化反応の開発研究は、これまで立ち後れていました。

我々は、独自の遷移金属錯体触媒の創製、ならびに新たな触媒系の構築に基づいて、入手が容易な有機分子と二酸化炭素を直接反応させ、有用な化合物へと変換することのできる効率の良い反応を開発し、二酸化炭素の再資源化への道を切り拓くことに成功しました。

本研究により、ベンゼンやトルエンなどの原油にも含まれる芳香族炭化水素や不飽和炭化水素を直接二酸化炭素と反応させるなど、従来困難であった触媒的二酸化炭素固定化反応を種々実現することができました。今後さらに新しく効率の良い二酸化炭素の資源化反応を開発していきたいと考えています。

ロジウム触媒を用いるベンゼンと二酸化炭素からの安息香酸の合成
ロジウム触媒を用いるベンゼンと二酸化炭素からの安息香酸の合成

これらの成果は、なかなか思うように期待する反応が進まない中、粘り強くさまざまな試行錯誤を繰り返し、新たな可能性を見出してくれた学生の皆さんの献身的な努力なしには、なし得なかったものであり、研究室の皆さんに心から感謝したいと思います。

山田功 工学院 教授/学術国際情報センター長

受賞業績:非拡大写像の不動点表現に基づく信号処理に関する先駆的研究

山田功 教授
山田功 教授

信号処理は観測データから価値の高い情報を推定するための基幹技術として、古くはユークリッドの時代から現代に至るまで、常に強力な数理と共に発展し、今やほとんどの計測システムや情報通信システムに応用されています。現代の信号処理技術の多くは、ガウスの「最小二乗推定」やフーリエの「直交関数展開」の戦略を踏襲しており、「(線形代数で学んだ)部分空間を用いた情報表現」と「直交射影定理(ヒルベルト空間に拡張されたピタゴラスの定理)」を共通の土台としています。私たちは「部分空間では表現できない情報を精密表現する数理」と「最適化の数理」の融合が生む相乗効果こそが信号処理を飛躍的に進化させる鍵となることを確信し、この方針を土台に据えた普遍的アルゴリズムの開発を目標にしています。

凸解析学の目覚ましい進化のおかげで、「表現の困難さ故に、信号処理や逆問題の分野で効果的に活用されることのなかった重要な情報」の多くが、実は「非拡大写像の不動点集合(全ての不動点からなる集合)」として統一表現可能であることが解ってきました(図1、図2参照)。

図1:「非拡大写像の不動点表現に基づく信号処理」の例
図1:「非拡大写像の不動点表現に基づく信号処理」の例

図2:本研究が活用する非拡大写像とその不動点集合
図2:本研究が活用する非拡大写像とその不動点集合

本研究で開発された「ハイブリッド最急降下法」は、「不動点理論の数理」と「凸最適化の数理」の融合の賜物であり、世界で初めて「非拡大写像の不動点集合上の凸最適化問題」の解決に成功した汎用アルゴリズムです (図1)。さらに、このアイディアを大胆に拡張することによって、「適応射影劣勾配法」を開発し、「凸関数列の漸近的最小化問題」を解決することにも成功しています。これらは非拡大写像の不動点表現に潜む驚異的な情報表現能力を丸ごと信号処理機能に活かすための基幹アルゴリズムとなっており、数多くの逆問題や適応信号処理問題やオンライン学習問題に応用され、優れた性能が実証されています。

このたびは、長年取り組んできた研究を高く評価していただき、大変光栄です。一緒に研究してきた研究室の学生諸君や共同研究者の方々の多大な御協力に深く感謝しています。長い信号処理の歴史の中で本研究の真価が試されるのはまだまだこれからですが、ようやくスタート地点に立つことができたように感じています。これからも信号処理、最適化、逆問題の領域でよい研究ができるよう一層楽しんで参りたいと思っています。

科学技術賞(理解増進部門)

受賞業績:「プログラミングを用いた理科教育実践による小学生の理解増進」

研究概要

情報通信技術(ICT)が日々発展する昨今、プログラミング教育の低年齢での導入が計画されるなか、児童の科学的論理的思考を育むためにどのような役割を担うのか検討することは必要不可欠です。本理解増進では、小学校の理科でプログラミングを用いることを前提に、児童によるプログラミングを教科教育の活動の一部として取り込んだ授業を展開しました。

本活動は、児童の「科学的な仕組みへの深い理解」「モデル化とシミュレーションによる問題解決力の育成」「論理的思考能力の育成」など、理数系の深い理解と学ぶ力の獲得に寄与しています。

小学校高学年授業風景
小学校高学年授業風景

「てんびんのつりあい」のシミュレーション(小学6年生)
「てんびんのつりあい」のシミュレーション
(小学6年生)

「きりんの足の動き」の再現(小学2年生)
「きりんの足の動き」の再現
(小学2年生)

受賞者

西原明法 工学院 特任教授

栗山直子 リベラルアーツ研究教育院 助教

齊藤貴浩 大阪大学経営企画オフィス 教授 (元 本学大学院社会理工学研究科 連携准教授(2016年3月まで))

西原明法 工学院 特任教授

西原明法 特任教授
西原明法 特任教授

大田区教育委員会や大田区立清水窪小学校等のご協力により進めている、私達の取り組みを評価していただいて大変光栄です。今後このプログラミング教育を他の多くの小学校にも展開し、さらなる理解増進を図りたいと考えています。

また、この学習をした児童達が科学への興味を持ち続け、将来社会に貢献してくれることを期待しています。

栗山直子 リベラルアーツ研究教育院 助教

栗山直子 助教
栗山直子 助教

このたびの表彰は、大田区立清水窪小学校の児童の皆様、校長先生や諸先生方、実践授業の際に手助けをいただきましたすべての皆様のご協力、ご支援の賜物です。心より感謝申し上げます。

今後も科学的な根拠に基づく効果的な教育方法を実践し、その普及を目指して精進してまいりたいと思っています。

この取り組みを開始する際にご指導をいただいた東京工業大学名誉教授鈴木正昭先生に深く感謝するとともに、東京工業大学基金:日本再生プロジェクトのご支援に感謝いたします。

関連リンク

お問い合わせ先

広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975