東工大ニュース
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国立大学法人東京工業大学(東京都目黒区、学長:三島良直、以下「東工大」)と株式会社Input Output HK(CEO、創業者:Charles Hoskinson、以下「IOHK」)およびその子会社であるInput Output JP(以下「IOJP」)は、2月15日に、東工大情報理工学院に「Input Output 暗号通貨共同研究講座(以下、「本講座」)」を開講しました。
IOHKと東工大は、2017年から2018年にかけて両機関の研究者チームにより、暗号通貨およびブロックチェーン関連技術の共同研究を推進します。IOHKの研究者は東工大に特任教員として所属し、この急速に発展している研究分野に東工大の教授陣及び学生と共に取り組みます。
現在、日本を含む様々な国において暗号通貨は注目されています。この魅力的な新しい研究分野は、金融取引をより包括的かつ効率的に行う手段を提供することなどで、金融システムだけでなく一般的な社会システムにも革命を起こす可能性を秘めています。
暗号通貨およびブロックチェーン関連技術分野は研究が始まったばかりの分野で、多くの課題が存在しています。本講座は、このような課題に取り組むこと、この分野の若手研究者を育成すること、さらには、社会に対してこの新技術の優位性を理解してもらうことを目標としています。
IOHKのCEO、創業者であるCharles Hoskinsonは次のように述べています。
「この共同研究には2つの主な目標があります。ひとつは、暗号通貨およびブロックチェーン関連技術という私たちの事業領域を発展させることです。もうひとつは、日本においてこの分野において優れた若手研究者を育成することです。」
また、東工大の三島良直学長も次のように語っています。
「東工大は、国内外の企業や大学との連携を強化し、革新的な研究成果を生み出すことに注力しています。その観点からこの協定は極めて重要であり、今後、国際的な学術誌や学術会議で優れた成果が発表されることを期待しています。」
本講座では、両機関の研究者がセミナー活動や学術論文の作成という共同活動を通じて知識を生み出します。これはこの分野において日本の高等教育機関における新しい取り組みです。東京工業大学の学生に提供される暗号プロトコルや暗号通貨の講義など、ブロックチェーン技術に関連した教育プログラムも開設予定です。従来の大学と企業との提携の形とは異なり、研究室で行われたすべての研究は公開され特許取得は行いません。これにより、研究成果が業界全体を支えることが期待できます。
本講座の設立に先立ち、6ヵ月に渡る東京工業大学とIOHKの小規模の共同研究を行いました。この共同研究は2016年7月1日から2016年12月31日の間に行われ、本講座の主たる研究者である田中圭介教授とその研究グループがIOHKと研究交流を行ってきました。
2017年からは、IOHKの研究者であるBernardo David博士とMario Larangeira博士を田中教授の東京工業大学研究グループに加え関係を強化します。
彼らは、東京工業大学の大岡山キャンパスに常勤の特任教員として配属され、田中教授らとともに研究を進めます。
本講座は、スコットランドのエジンバラ大学にある研究拠点と共に、IOHKのグローバルな技術研究拠点ネットワークの中で初めての拠点です。IOHKは今年後半と2018年にさらに拠点を設立する予定です。
東工大とIOHKは、暗号通貨およびブロックチェーン関連技術に関する研究および教育活動を共同で行うことを合意しました。本講座は具体的には次の目的で設立されます。
コンピュータサイエンス、分散システム、ゲーム理論、プログラミング言語、暗号理論など、ブロックチェーンに関連する分野の研究を進めます。
暗号通貨およびブロックチェーン関連技術を専門とする教育プログラムの設立を進めます。
2015年にCharles HoskinsonとJeremy Woodによって設立されたIOHKは、P2P革新を利用して30億人に金融サービスを提供するテクノロジー企業です。IOHKは、学術機関、政府機関、および法人向けの暗号通貨の構築とブロックチェーン関連技術を提供するエンジニアリング会社です。また、ヨーロッパ、アメリカ、アジアで密な学術関係を持ち、多くの社員がコンピュータサイエンス、数学、物理学の博士号を取得しています。IOHKは、ライブプロトコルを作成するための実用的なピアレビュー研究および次世代暗号技術への技術的基礎を重視しています。