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細野秀雄教授が、IGZOターゲットの開発により「第40回井上春成賞」を受賞

2015.07.28

細野秀雄教授が、IGZOターゲットの開発により「第40回井上春成賞」を受賞
―高精細・低消費電力・フレキシブルなディスプレイの実現に寄与―

国立大学法人東京工業大学応用セラミックス研究所の細野秀雄教授とJX日鉱日石金属株式会社(社長:大井滋)は、「酸化物半導体In-Ga-Zn-Oスパッタリングターゲットの開発」により「第40回井上春成賞」を受賞しました。同賞は、大学・研究機関などの独創的な研究成果をもとに企業が開発・事業化した優れた技術について、研究者および企業の双方を表彰するという日本の代表的な技術賞の一つです。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の前身である新技術開発事業団の初代理事長であり、工業技術庁初代長官でもあった井上春成氏が、わが国科学技術の発展に貢献した業績に鑑み1976年に創設されました。過去の受賞歴は井上春成賞ウェブサイトouterをご参照ください。

酸化物半導体In-Ga-Zn-O(IGZO)は、細野教授により1990年代半ばより独自に研究がはじめられ、2004年に高性能TFT(薄膜トランジスタ)へ利用可能であることが示されました。その後各社による実用化に向けた開発が行われる中、2010年にJX日鉱日石金属(電材加工事業本部薄膜材料事業部)が他社に先駆けて初めて、長さ2.7メートルの大型スパッタリングターゲットの量産化に成功しました。IGZO-TFTを用いたディスプレイは、高精細・低消費電力・フレキシブルといった優れた性能をもち、今後ますますの市場拡大が見込まれています。その技術の概要と特徴については添付資料PDFをご参照ください。

2015年7月15日に日本工業倶楽部で行われた表彰式には、細野教授と大井社長が出席し、表彰状と賞牌が贈呈されました。細野教授と大井社長による受賞あいさつの要旨は以下の通りです。

細野教授

IGZO-TFTは、2003年に結晶についてScience誌に、2004年にはアモルファスについてNature誌に最初の論文を掲載しました。また、その前にJSTから特許申請を済ませました。IGZO-TFTのディスプレイ応用には、大型ガラス基板上にスパッタリングでその薄膜を形成するための、大型で緻密なセラミックスのターゲットが不可欠です。今回、共同受賞するJX日鉱日石金属は、最初にその技術を完成させ、2010年で東工大が主催した国際ワークショップ(TAOS 2010)の際に実物を展示しました。これによって実用化の準備が整いつつあることが参加者に伝わりました。また、特許ライセンスを最初に受け製品化に成功しました。その後、内外の多くの企業がそれに倣っています。同社の高い技術力とモラルに敬意を表します。

大井社長

細野教授が発明されたIGZO酸化物半導体は、これまでのアモルファスシリコン半導体に比べ10倍の電子移動度を持つ画期的なものです。当社は、スパッタリングターゲットのトップベンダーとして長年培ってきた非鉄金属材料技術をベースに、「高電導度」、「高強度」、および「高平滑度」の品質要求に応え、細野教授による発明の実用化に大きく貢献出来たと考えております。ウェアラブル端末や高機能ディスプレイへの応用が可能なIGZO-TFTは、来るべきIoT社会のキーデバイスとして今後も利用の拡大が期待されており、更なる高品質化を通じて、このような社会の潮流変化の一端を担ってまいります。

受賞式の様子(2015年7月15日、於日本工業倶楽部)
受賞式の様子(2015年7月15日、於日本工業倶楽部)

(後列左から3人目)井上春成賞委員会 中村委員長(科学技術振興機構理事長)
(前列左から3人目)東京工業大学 細野教授
(前列左から4人目)JX日鉱日石金属 大井社長

問い合わせ先

東京工業大学 広報センター

Email : media@jim.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-2975 / Fax : 03-5734-3661

JX日鉱日石金属株式会社 広報・CSR部

Tel : 03-5299-7082 / Fax : 03-5299-7343