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大隅良典栄誉教授 ガードナー国際賞授賞式に出席

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公開日:2015.11.20

生命科学や医学の分野で世界的な発見や貢献をした研究者へ贈られるガードナー国際賞の授賞式が10月28日、カナダ・トロントで開かれ、東京工業大学フロンティア研究機構大隅良典栄誉教授が出席しました。大隅教授の受賞理由は、細胞自身が不要なたんぱく質を分解する仕組み「オートファジー(自食作用)現象」を分子レベルで解明した功績です。2015年のガードナー国際賞受賞者は、大隅教授、大阪大学の坂口志文教授ら5人です。

左からジョン・ダークス ガードナー財団理事長、大隅教授、門司健次郎 駐カナダ大使、ローネ・ティレル ガードナー財団理事会議長 (c)Gairdner Foundation/Della Rollins Photography

左からジョン・ダークス ガードナー財団理事長、大隅教授、門司健次郎 駐カナダ大使、
ローネ・ティレル ガードナー財団理事会議長
(c) Gairdner Foundation/Della Rollins Photography

授賞式が開かれたオンタリオ博物館は自然史と世界の文化紹介に焦点をあてた博物館

授賞式が開かれたオンタリオ博物館は
自然史と世界の文化紹介に焦点をあてた
博物館

授賞式はトロントのオンタリオ博物館で行われ、ガードナー財団関係者、研究者、カナダの大学、研究機関などから550人が出席しました。ガードナー財団のジョン・ダークス理事長による開会あいさつに続き、カナダ総督のデイヴィッド・ロイド・ジョンストン氏が登壇。「今日、受賞される研究者は人類の健康、そしてウェル・ビーイング(より健康的な生活)のために、ブレイクスルーを起こした方々です。彼らの研究に心から感謝したい」と受賞者たちを褒めたたえました。

大隅良典栄誉教授

受賞者として登壇した大隅教授は「この場に受賞者として居合わせられることを光栄に思います。関係者の方々に感謝したい」とあいさつをし、続けて「私は酵母研究者です。長い間、酵母研究に執着したその一番の理由は、ワイン、お酒、ビール好きの私にとって、酵母(ビール酵母やワイン酵母など、お酒には欠かせない要素)が“研究仲間”としてとてもやりやすい相手だったから」と述べ会場を沸かせました。また「好奇心でオートファジーの研究を始めましたが、今となっては、この研究が医療の進歩につながるところまできました。私たちの発見が、将来の病気の解明に役立つのであれば嬉しく思います。今まで協働してきた仲間たち、研究の環境を与えてくれた大学、支援をしてくれた政府、そして家族に感謝します」と述べてあいさつを締めくくりました。

大学での講演 /受賞者によるアウトリーチ活動

ガードナー国際賞の受賞者は、「ガードナーナショナルプログラム」の一環としてカナダ国内の大学で開かれる学生や一般市民に対する講演や交流会に出席します。これは、世界レベルの研究者をカナダ国内に紹介し、高校生や大学生、若い研究者たちに科学の研究の道を歩むことを奨励することが目的です。

トロント大学での講演
トロント大学での講演

トロント大学での講演

大隅教授も授賞式の3日前から、ブリティッシュコロンビア大学、ゲルフ大学、そしてトロント大学で計5回の講演を行いました。ブリティッシュコロンビア大学、ゲルフ大学での講演の合間には少人数での雑談形式の交流会も設けられ、出席した若い研究者や学生からオートファジーの研究に関する質問だけでなく、「留学先をどう決めたらよいのか」など進路についてのアドバイスを求められる場面もありました。大隅教授は「すべてのイベントにおいて若い学生たちに参加の機会が与えられ、学外の研究者との交流の場となっているのが印象的でした。自由に質問をしてくれるのが楽しい。若い時にこのような機会があるのはいいことです」と話していました。

ガードナー賞の盾

ガードナー賞の盾

約1週間の慌ただしいスケジュールを終えて帰国した大隅教授。今度は、日本の若者に向けて講演を行う予定です。11月23日に東工大のシアターホールで開かれる「高校生のための生命理工学レクチャー2015」にて研究の楽しさを高校生たちに伝えます。ご興味のある方は事前申し込みのうえ、ぜひご参加ください。

講演の合間にトロントを拠点にする日本語雑誌「bits」の取材を受ける大隅教授

講演の合間にトロントを拠点にする日本語雑誌「bits」の取材を受ける大隅教授

2015年のガードナー賞受賞者とダークス理事長、ティレル理事会議長(大隅教授は左から4番目)(c)Gairdner Foundation/Della Rollins Photography
2015年のガードナー賞受賞者とダークス理事長、ティレル理事会議長(大隅教授は左から4番目)
(c)Gairdner Foundation/Della Rollins Photography

大隅教授のカナダでの主な行程

10月26日(月)
7:15
ブリティッシュコロンビア大学にて講演
Life Sciences Breakfast: Looking back on my 27 years of autophagy studies
10:50
子ども家庭研究所(Child and Family Research Institute)にて講演
Autophagy – Intracellular recycling system
12:30
研究所の研修生とランチセッション
16:10
ブリティッシュコロンビア大学生命科学研究所にて講演
Autophagy – Intracellular recycling system
18:30
同大学研究担当副理事と会食
10月27日(火)
 
ゲルフ市へ移動
10月28日(水)
9:00
ゲルフ大学の教員、学生とラウンド・テーブル・セッション
10:35
ゲルフ大学にて講演
Lessons from yeast – Molecular machinery of autophagy
12:00
ゲルフ大学幹部と会食
 
トロント市へ移動
17:30
ガードナー財団によるウェルカム・レセプション
10月29日(木)
9:00
トロント大学医学部にて講演
Lessons from yeast – Molecular machinery of autophagy
17:00
ガードナー賞 授賞式

ノーベル生理学・医学賞2016 特設ページヘ

大隅良典栄誉教授が「オートファジーの仕組みの解明」により、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。受賞決定後の動き、研究概要をまとめた特設ページをオープンしました。

ノーベル生理学・医学賞2016 特設ページヘ

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