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村上 修一教授と大友 明教授が第9回日本学術振興会賞受賞

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公開日:2012.12.17

大学院理工学研究科物性物理学専攻の村上 修一教授と、大学院理工学研究科応用化学専攻の大友 明教授が、第9回日本学術振興会賞を受賞しました。

同賞は、独立行政法人日本学術振興会が、優れた研究を進めている若手研究者を見い出し、早い段階から顕彰してその研究意欲を高め、独創的、先駆的な研究を支援することにより、我が国の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させることを目的に平成16年度に創設されたものです。

受賞対象者は、人文・社会科学及び自然科学の全分野において、45歳未満で博士又は博士と同等以上の学術研究能力を有する者のうち、論文等の研究業績により学術上特に優れた成果をあげている研究者となっています。 受賞者には賞状、賞牌及び副賞として研究奨励金110万円が贈呈されます。記念受賞式は平成25年2月4日(月)に日本学士院にて開催される予定です。

村上修一教授・大友明教授

<理工系での受賞>

● 村上 修一 教授

受賞対象となった研究テーマ及び内容:
「スピンホール効果および量子スピンホール効果の理論的研究」

今回の受賞をうけ、村上教授は次のようにコメントしています。

「我々が理論的に予言したスピンホール効果が実際に実験で観測され、今ではスピンホール効果は固体のスピン物性の一分野となっています。さらにこれから派生して生まれたトポロジカル絶縁体の分野も大きく発展しています。こうして分野の誕生に関わることができたことは、科学者として大変な幸せと感じます。本賞受賞を大変嬉しく思いますとともに、お世話になりました共同研究者の皆様、研究室のスタッフ・学生など、多くの方々に深く感謝申し上げます。この賞を励みに一層研究に精進し、今後も新しい物性現象の理論的探索を進めていきたいと思います。」

● 大友 明 教授

受賞対象となった研究テーマ及び内容:
「高品質酸化物絶縁体界面での金属伝導」

今回の受賞をうけ,大友教授は次のようにコメントしています。

「金属酸化物は、原子生命が大気中に放出した酸素で地殻の鉱物が最も安定な状態になったいわゆる錆です。その錆は、安全・安心・安価なファインセラミックスとして近代社会に欠かせない材料として使われてきました。最近では電子材料としての多様な機能が注目され実用化が進んでいます。東工大は今まさにこの分野で世界をリードしています。江崎玲於奈先生が40年前に提案された半導体超格子のレベルを目指し、金属酸化物の品質向上にこだわって続けてきた研究を評価していただきました。これまで指導いただいた恩師、共に研究を行った同僚や学生、支えてくれた家族に感謝したいと思います。東工大の強みを活かして今後も研究に邁進していきたいと思っています。」

「錆」が高品位の電子材料に応用可能であることを実証

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